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『人口と経済①』三橋貴明 AJER2018.3.27
https://youtu.be/fMtW3R0otL4
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 最近、月刊三橋で「歴史」系のコンテンツを提供していることもあり、「国境」「国家」について考える機会が増えています


 インドネシアに行った際に、国家の権力が小さく、規制が弱いまま都市が膨張してしまった「ジャカルタ」の惨状を目の当たりにしたことで、改めて国家の規制についても考えさせられました。


 もちろん、
「とにかく、国家権力が規制をすればいい」
 という話ではなく、全面的な規制と、全面的な規制緩和の間のどこかで「バランス」を取らなければならないという話でございます。


 国家、国境、そして「母国語」。


 我々は、普段は意識しませんが、国家に付随する様々な制度により「守られて」います


 例えば日本語は、日本国民を「グローバル市場」との競争から守ってくれる参入障壁です。日本語の「壁」があるからこそ、日本国民は欧米諸国ほどには「外国人」と苛烈な競争をすることなく、教育を受け、働き、結婚し、家族を作り、一生を過ごしていけるのです。


 国境の向こう側から、民族、人種、言語、文化、伝統、歴史、習慣、宗教が異なる人々が押し寄せたとき、どうするべきなのか。


 しかも厄介なことに、国境の向こう側からやってくる人々には「悪意」はありません。ただ単に、現在の我々が享受している「豊かな生活」を求めているに過ぎないのです。


『トランプ氏、メキシコの「移民キャラバン」に激怒
http://www.afpbb.com/articles/-/3169767
 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は2日、約1500人の中米出身者から成る移民の「キャラバン」が米国境を目指していることに怒りを表明し、メキシコ政府や米議会を激しく非難した。
 バズフィード(BuzzFeed)などの米メディアが日々の行程を追うこの「キャラバン」について、トランプ大統領は、その行動を阻止しようとしないメキシコ政府を非難するツイッター(Twitter)投稿を2日連続で行った。(中略)
 移民たちの「キャラバン」は、そんな大統領の怒りの火に油を注いだ。ホンジュラスやグアテマラ、エルサルバドルからの総勢1500人の一行については最初にバズフィードが報道。さらに先週末には、トランプ氏がよく視聴するFOXニュース(Fox News)でも報じられた。
 この運動は、「Pueblo Sin Frontera(国境なき人々)」と呼ばれる活動家団体が5年連続で実施しているもの。活動家の一人、イリネオ・ムヒカ(Irineo Mujica)氏はAFPに対し、移民らは「貧困と、犯罪組織からの暴力が原因で」母国を後にしたと説明した。
 一行は今月25日、米国境を目指してメキシコ南部チアパス(Chiapas)州を出発。ムヒカ氏の話では、このうちの多くが国境での難民申請を希望しているという。』

   
   


 現在、メキシコを行進中の「国境なき人々」の移民キャラバンは、主にホンジュラス出身者です。彼らは、本国の貧困や暴力問題を訴えるために、メキシコ南部からアメリカ目指してデモ行進を続けています(現在は停止中)。


 デモは毎年、行われていたのですが、今年は1000人を超える大規模なデモ隊となり、トランプ大統領の逆鱗に触れました。


 トランプ大統領は、メキシコ政府に対し、キャラバンの行進を阻止せず、移民を本国に送還していないとして、猛烈な批判を展開。移民問題を巡り、NAFTA(北米貿易協定)離脱や、メキシコ国境に軍隊を派遣する意向を示しています。


 あまりにも騒ぎが大きくなったため、キャラバンの多くはアメリカ行きを諦めたようですが、それでもアメリカへの移民を望む人々が、4月3日にホンジュラス国旗を振りながらメキシコの街を行進。トランプ大統領の移民制限政策に対する抗議活動を展開しました。


 ホンジュラスでは、犯罪組織による暴力や政治混乱が継続。アメリカ司法省によると、2010年から2016年にかけ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスからの難民申請は、何と9倍になりました。


 ホンジュラスで苦しみ、アメリカ移民を望む人々に「悪意」があるわけではないでしょう。


 あるいは、祖国における貧困に苦しみ、先進国への移民を目指す人々に「悪意」があるわけではありません。


 悪意なき「国境なき人々」がアメリカや日本に押し寄せた際に、それを「国家権力」で制することは「悪」なのでしょうか。「善」なのでしょうか


 どちらでもないでしょう。世界が「残酷」である。ただ、それだけの話なのです


 理想論的な話をするならば、本来、先進国は「移民」として外国に流出する人々が出ないよう、移民送り出し国の「経済成長」を支援するべきであり、実際にはやってきました。


 それでも、所得の格差は歴然としており、「豊かな生活を求める」という、極当たり前の感情に突き動かされ、人々は「国境なき人々」として国境を越えます。


 グローバリズムの理想、「世界に国境はない」は、確かに机上では美しいです。とはいえ、現実世界には様々な軋轢、混乱、そして「不幸」をもたらす。


 この手の話を「リアル」に議論するべき時期を迎えたのだと思います。移民について「可哀想だから受け入れよう」などと、感情的な議論しかできない国は、亡国に至る厳しい時代、あるいはリアルな時代が訪れたのです。

「感情ではなくリアルに移民問題を考えよう」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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