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『人口と経済①』三橋貴明 AJER2018.3.27
https://youtu.be/fMtW3R0otL4
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 IMF(国際通貨基金)は、中央銀行が保有する「自国通貨建て国債」について、デフォルト(債務不履行)の確率を「ゼロ」と定義しています


 それはまあ、中央銀行が中央政府に逆らい、
「金返せ!」
 などとやることはあり得ませんので、デフォルトの確率はゼロに決まっています。
 ということで、本来、
「国の借金で破綻する!」
 などなどと騒ぐのであれば、中央銀行が保有する国債分は「除く」必要があります

 日本でいえば、日本銀行が保有する国債を「国の借金!」に含めてはならないのです。もちろん、日本銀行が保有する以外の国債にしても、借り換えされるため、返済の必要はないのですが、一応、建前上は「償還する負債」になっています。


 改めて、財政健全化の定義は「政府の負債対GDP比率」の引き下げです。そして、政府の負債には、


(1) 日本政府の負債総額
(2) 日本銀行が保有する国債等を除く政府の負債額


 の二種類があるのです。

   
  


 というわけで、(1)と(2)を用い、日本政府の負債対GDP比率をグラフ化してみました。


【日本政府の負債対GDP比率の推移】

http://mtdata.jp/data_59.html#GDPhiritu


 確かに、(1)のみで見ると、日本政府の負債対GDP比率は200%近くに達しており、非常に高いです。(本グラフでは、政府の負債=国債+財投債+国庫短期証券と定義しています)


 とはいえ、日本銀行が保有する国債を除くと、何しろ量的緩和政策を継続するため、政府の負債対GDP比率は下がり続けています。2016年度の時点で102%にまで下がっているため、2017年度には100%を切るでしょう(2017年度はGDP統計が発表になっていないので、算出していません)。


 財政健全化云々の議論をするのであれば、上記のごとく「数字」「データ」「ロジック」で語らなければならないはずです。抽象的な「市場の信認」云々で語ってはなりません。


 というか、そもそも「市場の信認」って何だ? 金利のことですか? 金利であるならば、長期金利0.027%の日本は、市場の信認がありすぎる、という話になってしまいます。


『財政健全化、市場の信認確保が重要 政府の取り組み期待=日銀総裁
https://jp.reuters.com/article/kuroda-idJPKCN1HA0XI
 黒田東彦日銀総裁は3日の衆議院財務金融委員会で、政府による財政健全化ついて、市場の信認を確保する重要性を訴えるとともに、政府・日銀の共同声明に沿った持続可能な財政の実現に向けた取り組みに期待感を表明した。
 野田佳彦委員(無所属)の質問に答えた。
<出口戦略、部内では議論>
 黒田総裁は日本の財政問題について、政府債務残高が「極めて高い水準」にある中で、「政府が中長期的な財政再建、財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することが極めて重要」と指摘。(後略)』


 財政健全化についての市場の信認とは、具体的に何を意味しているのでしょうか?



 分かりません。


 この手の抽象論で日銀総裁が「財政」を語り、そして「出口戦略」までをも検討する。恐るべき国です。我が国は。ダメな方に。


 財政に限らず、経済、歴史などなど、全てにおいて具体的な議論ができず、抽象論ばかりが幅を利かせ、政策を間違え、小国化していっているのが我が国です。


 せめて、大本の「財政」「デフレーション」についてだけでも、抽象的な議論を排し、具体論で「日本に財政問題は存在しない」ということを国民と政治家が早急に理解しない限り、我が国に繁栄の未来はありません。

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