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『人口と経済①』三橋貴明 AJER2018.3.27
https://youtu.be/fMtW3R0otL4
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 ソーシャルレンディング最大手maneoの瀧本憲治氏との大人気コンテンツ「第2次グローバリズムで壊されたもの 」 がリリースになりました.。

https://youtu.be/wxLoaXpjisA


【Front Japan 桜】なぜ移民を入れてはいけないのか / 人手不足を解消するためには (略)[桜H30/3/28]
https://youtu.be/I6RIOyqdzjA
http://www.nicovideo.jp/watch/so32958501


 何度も繰り返していますが(これからも繰り返しますが)、経済成長とは、
「総需要が供給能力を上回るインフレギャップ期に、生産性向上で人手不足を解消しようとした」
 ときに起きる現象です。


 細かい話は、上記Front Japan 桜の番組をご覧頂きたいのですが、生産性が向上すると、生産者一人当たりの所得が拡大します(そういう統計なのです)。

 労働分配率が適正であるならば、生産性向上により国民の実質の所得が拡大。豊かになった国民がおカネを使うため、総需要が拡大し、またもやインフレギャップ。


 インフレギャップすなわち、人手不足を生産性向上で解消しようとすると・・・、と、経済成長の黄金循環が回っていきます。

 もう一つ。上記の番組では触れませんでしたが、生産性向上のための投資(設備投資、公共投資、技術投資)自体が「総需要」を押し上げる効果を持ちます。何しろ、三つの投資は全てGDPの需要項目です。そして、GDPは総需要そのものなのです。


 というわけで、
(1) 生産性向上で豊かになった国民が消費を中心に総需要を押し上げる
(2) 生産性向上のための投資自体が総需要を押し上げる
 と、二つのルートで経済にインフレギャップ、人手不足の深刻化、生産性向上のための圧力がかかり続けます。これがいわゆる「高圧経済」ですね、


 日本の高度成長期は典型的な高圧経済でした。


 高圧経済とは、要するに「超人手不足」の状況が続くという話です。高度成長期の日本は、失業率が1.5%に達したことがほとんどありませんので、今以上の人手不足でした。

 今後の日本は、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下により、人手不足が深刻化していき、生産性向上を欲する強い圧力がかかってくるでしょう。


 問題は、我々日本の経営者や政治家、国民が、「その準備ができていない」という点なのだと思います。人手不足を生産性向上で埋める「資本主義の王道」を、長年のデフレで忘れてしまっているからこそ、「外国人労働者で」と、決して選んではならない道を主張する人が多数派なのでしょう。
   

                                                               


 準備ができていないといえば、この国も間もなく訪れる「超人手不足」への備えができていないとの記事が出ています。


『ブレグジット後の移民規制、成長鈍化につながる恐れ=英諮問機関
https://jp.reuters.com/article/britain-eu-migration-idJPKBN1H3186
 移民政策に関する英政府の諮問機関である「移民諮問委員会(MAC)」は27日、英国への移民流入を規制すれば、生産および雇用の伸び鈍化につながる可能性が高いとする中間報告書を公表した。企業は労働市場の逼迫への備えが十分できていない可能性があると警告した。(後略)』


 ロイターの記事が興味深いのは、イギリスの移民諮問委員会は、「移民規制」が生産、雇用の伸びの鈍化につながる理由について、
「報告書は、労働市場が逼迫し、人材の獲得競争が激化する公算が大きいが、多くの企業は十分な備えができていない可能性があるとした。 」
 と、イギリス企業が「人手不足への備えができていない」ことを挙げていることです。

 「人材の獲得競争への備え」とは、果たして何を意味するのでしょうか。より具体的に書くと、中小企業が大企業に対抗し、「人材獲得競争」を戦い、勝てるとでもいうのでしょうか


 あるいは、日本の「地方」が東京圏と正面から人材獲得競争をするべきなのでしょうか。


 いずれにせよ、限りある「人材」「人手」というパイを奪い合う形で「競争」が始まると、日本の企業や地域は「勝ち組」と「負け組」に別れていきます。それでいいとは思えません。

 何を言いたいのかといえば、人手不足を最終的に生産性向上で埋めるのは当然として、同時にバリューチェーンの上流から下流まで、あるいは「競合同士」、さらには「地域全体」で、人材や人手を「協同」して乗り切る考え方が必要なのではないか、という話です。


 つまりは、限られた人材を「分け合う」という形が今後の日本で必要になってくると思うのです。「競争」ではなく、「協同」です。

 過去のデフレ期、「競争! 競争!」と、ひたすら競争に追いまくられてきた日本企業(今もですが)にとって、「競争ではなく、協同」と言われてもピンとこないかも知れませんが、それほどまでに日本の人手不足は深刻化しているのです。


 この状況で、これまで通り「競争せよ!」などとやっていた日には、自社は人材を確保できても、バリューチェーンの上流が人手不足で生産不可能になり、結局自社もダメージを受ける。あるいは名の知れた大企業のみが人手確保に成功し、中小企業が次々に人手不足倒産に追い込まれる、といった事態を招くことになります。


 ひたすら人手不足が深刻化していく時代、人手確保についても「新たな考え方」が必要だと思うのですが、この手の論調を当ブログ以外で見かけたことがないと思います。そういう意味で、日本国民は確かに人手不足への備えができていないのでしょう。

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