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『国土経済論(後編)①』三橋貴明 AJER2018.2.27
https://youtu.be/d1Wb6lbcE4I
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 彩図社から「日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム 」が刊行になりました。


 中野剛志先生が自民党の「日本の未来を考える勉強会」でご講演されました。

【「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と経済成長ー 平成30年3月7日 講師:評論家 中野剛志氏 】
https://youtu.be/PIVG7XDGrH4


 スパイスの聖地であるインドネシア(厳密にはジャワ島ではなく、もっと東の香料諸島ですが)、スパイスロードの始まりであるインドネシアを訪れた以上、大量のスパイスをお土産として買って帰ります。


 さて、噂のジャカルタの渋滞ですが、本当に凄かったです。


【写真 ジャカルタの渋滞】

撮影:三橋貴明


 今回、ジャカルタを訪れてショックを受けたのは(結構、あるのですが)、インドネシアが「コメの輸入国」であるという事実でした。


【図 インドネシアのコメの生産量、輸出量(百万トン)】

http://mtdata.jp/data_59.html#kome


 図の通り、インドネシアはコメの生産量を消費量が上回っている年が多いのです。生産量が不足している分は、当然ながら「輸入」です。


 例えば、2000年はコメの消費量が生産量を約300万トンも上回っています。300万トンといえば、日本の年間コメ消費量(約600万トン)の半分に匹敵します。



 インドネシアは、何しろ一年間にコメを三度も収穫することができます。それにもかかわらず、主食であるコメの一部を輸入に頼っている。

 2011年のインドネシアの穀物自給率は87%。農業大国のはずが、100%に達していません。

                                               


 もっとも、インドネシア政府は「インドネシアは農産物の輸出大国」と主張しています。確かに、それは嘘ではないのです。


 とはいえ、インドネシアが輸出している農産物は、45.4%がパーム油、19.8%が天然ゴムと、商業農業の製品に限られています。インドネシアは商業農業の農産物を輸出し、コメ、小麦、大豆などの穀物を輸入しているのです。

 何のことはない。オランダ植民地化で、国民農業(小麦、コメ、大豆など、国民の胃袋を満たす農業)を商業農業(油、ゴム、コーヒー、芥子、藍、綿花など、ビジネス目的の農業)に強制的に変換され、モノカルチャーのプランテーションが展開された「帝国主義」時代と、あまり状況が変わっていないのです。


 「日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム における第零次グローバリズムの時代、西欧史観では「大航海時代」。


 アジアでは、イギリスがインドにおいて綿花、茶、マレーシアにおいてゴムのプランテーションを展開。インドでは、元々は現地住民の胃袋を満たすための国民農業に従事していた農民たちが、イギリスのビジネスの都合で、綿花などを生産する商業農業に転換させられていきます。


 同じように、インドネシアのジャワ島では、オランダ東インド会社がアブラヤシ、コーヒー、サトウキビ、藍のプランテーション農業を強制しました。

 アブラヤシもコーヒーも、藍も、人間は食べることができません。


 国民の胃袋を満たす「国民農業」から、ビジネス(利益)目的の商業農業に強制的に転換され、インドネシアの「食料安全保障」は崩壊。現在に至っても、インドネシアはコメの輸入国のままなのです。


 ちなみに、現在の東インド会社であるグローバル企業が、世界各地で農業の商業農業化、あるいはモノカルチャー化を推し進めています。


 例えば、アルゼンチンです。


 2001年、外貨建て負債の返済が不可能になり、財政破綻したアルゼンチン経済は混乱状況にありました。アルゼンチン中部のラプラタ川流域に広がる草原地帯バンパは、元々は世界最大の牧草地帯のひとつで、トウモロコシ、小麦、サトウモロコシ、ひまわり、落花生、大豆、野菜、果物など、多種多様な農産物が生産されていました。


 01年のアルゼンチン危機を「チャンス」と捉えた、遺伝子組み換え(GMO)種子の最大手モンサント社は、GMO大豆とラウンドアップを売り込みます。しかも、あらかじめ農地を耕す必要もなく、収穫後の農地に種を撒くだけで発芽する「直接播種」の手法とパッケージになっていました。


 さらに、モンサントは直接播種、GMO、ラウンドアップのパッケージを、通常の三分の一の価格で、ダンピングして売り込んだのです。その上、支払いは「収穫後で構わない」という寛容さでした。バンパの農家は、一斉にモンサントの「ソリューション」に飛びつきます。

 結果は、悲劇でした。

 GMO大豆はバンパから周辺地域へ広がっていき、アルゼンチン東北部の大豆栽培面積は、1971年の3万7千㌶から、2002年には1160万㌶、2007年には1600万ヘクタールへと激増。実に、432倍超にまで膨れ上がったのです


 1600万ヘクタールいうことは、アルゼンチン全体の耕地の60%を占めることになります。大豆だけで、耕作地の六割を超えたのです。まさに、モノカルチャー化です(アルゼンチンでは「国家の大豆化」と呼ばれました)。

 しかも、大資本による農地の買収が進み、91年と比較すると、01年には15万人の農民が廃業してしまいます。耕作地の集約化も進み、わずか6000人が、アルゼンチンの耕作面積の半分を所有するに至りました。土地所有者には、もちろん外国資本が含まれています。まさに「植民地」と化してしまったわけです。


 来月、日本で種子法が廃止され、モンサント社などグローバルなアグロバイオ企業にとっての「ビジネスチャンス」が訪れる可能性は、極めて濃厚です。


 種子法廃止の何が問題なのか。一連のグローバリズムの政策が、実は「500年前」に始まり、過去の日本人も対応に苦慮していたという歴史物語を知らなければ、そもそも問題を理解することはできません。


 だからこそ、わたくしはこのタイミングで「日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム 」を刊行することにしたのでございます。


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