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『国土経済論(後編)①』三橋貴明 AJER2018.2.27
https://youtu.be/d1Wb6lbcE4I
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 本日は彩図社「日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム 」の発売日です。


 わたくしは今、インドネシアのジャカルタにいます。つまりは、ジャワ島です。


 ジャワ島から二千キロほど東に、バンダ諸島、マルク諸島、ティモール島などがあります。すなわち、香料諸島です。


 かつて、香辛料の中でもニクヅク(ナツメグ、メース)と丁子(クローブ)は、現インドネシアのモルッカ諸島(現マルク諸島)やバンダ諸島でしか手に入りませんでした。


 当初、スパイスロード(香料の道)、中国商人やイスラム商人が香料諸島の香料交易で栄えていました。イスラム商人はレヴァント(現シリア)やコンスタンチノープル(現イスタンブール)、あるいは紅海を経てアレクサンドリア(エジプト)までスパイスを運びます。さらに、中東から欧州には、ヴェネチアやジェノバのイタリア商人たちが海の道をたどり、欧州へとスパイスを海運しました。


 オスマン帝国が勃興すると、スパイスが欧州に入り難くなります。とある事情から、欧州におけるスパイスの「需要」は膨張する一方でした。


 というわけで、ポルトガル人のヴァスコ・ダ・ガマが喜望峰ルートでインドにたどり着きます。ガマのインド到達(及びコロンブスの西インド諸島漂着)こそが、現代に至る「グローバリズム」の始まりとなりました。


 ガマのインド到達以降、ポルトガル人は東南アジアのマラッカ(現マレーシアのムラカ)などに拠点を築き、香料諸島で香辛料を買い付け、欧州で売却していきます。


「神はティモールを白檀のために、バンダをナツメグのために、そしてモルッカ諸島をチョウジのために造り給うた(ポルトガル人のトメ=ピレス)」


 さらに、ポルトガル人は中国のマカオの使用権を獲得。マニラにも拠点を開き、交易先を求めて北へ、北へと進んでいきます。1543年(1542年説もあり)に、ポルトガル人が種子島に漂着し、我が国に鉄砲が伝来したのは、そういう事情なのです。


 もっとも、香料諸島におけるポルトガルの優位は、瞬く間に覆されることになりました。ポルトガルから香料諸島の権益を奪ったのはオランダでした。


 オランダは1619年にジャワ島のジャカルタに要塞を建設。オランダは自国の先住民バタウィにちなみ、ジャカルタをバタヴィアと改称します。


 その後、ジャカルタはオランダ東インド会社の基地として、後にはオランダ領東インド(現インドネシア)の中心都市として発展していくことになりました。


 インドネシアはオランダの「植民地」になりましたが、パキスタンからインド、バングラディッシュ、ミャンマー、マレーシア、シンガポールはイギリス領、ベトナム、ラオス、カンボジアはフランス領、フィリピンはアメリカ領となります。

 本書で解説していますが、帝国主義とは「グローバリズム」です

 アジアを支配した欧州諸国は、各地域で「貿易収支」「所得収支」の形で、所得を吸い上げていきます。所得を吸われ、貧困化するアジアの"住民"達には、法的に抵抗する術がありませんでした。


 理由は、アジアの住民には「主権」がなかったためです。



                                              


 帝国主義とは、相手国の住民から主権を奪い、あるいは主権を与えず、所得を継続的に吸収する仕組みを構築することを意味します。相手国の「住民」の主権を奪い取る手段は、何も軍事力の行使には限りません。


 国際協定、でも構わないのです。


 あるいは、何らかのシステムで相手国の「政治」を動かし、自国あるいは「自社」の利益最大化を実現できるよう、制度変更、法律改定をさせる。


 さて、中長期的に日本の食料安全保障を破壊する可能性が高い「種子法廃止」が来月に迫っています。

 種子法廃止が過去の日本国民を悩ませ続けてきたグローバリズムの延長線上にある以上、物語の始まりは、15世紀末までさかのぼらなければなりません


 実は、過去500年のわが国の歴史は、各施政者たちが、
「いかに、グローバリズムから国民を守るのか?」
 について苦心惨憺、試行錯誤を続けてきた積み重ねなのです。


 過去の日本人の努力により、ときに我が国はグローバリズムからの悪影響を最小化することに成功しました。とはいえ、もちろん失敗するケースもあり、グローバリズムの下で国民が損をする政策が延々と推進される時代もありました。


 大東亜戦争に敗北する以前の日本には、西欧史観でいう大航海時代以降について、
「現代に連なるグローバリズムの歴史」
 としてとらえる歴史観が存在したのです。ところが、大東亜戦争敗北後には皆無となります。


 戦争に敗北し、GHQから受けた思想統制を未だに引きずっている我が国の言論空間の中で、国民の多くがグローバリズムに対し、
「自由貿易? 自由だから素晴らしい」
 などと、幼稚な感覚で接していた日には、将来的な亡国は回避しがたいものになるでしょう。とはいえ、戦後のお花畑的平和主義に毒された我が国では、グローバリズムの危険性はともかく、歴史的な意味について誰も語らないというのが現実なのです。


 そういう意味で、本書「日本を破壊する種子法廃止とグローバリズム 」は日本国において、およそ七十年ぶりに書かれた、グローバリズムという歴史を動かす怪物の正体を解き明かす一冊なのです。


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