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『国土経済論(後編)①』三橋貴明 AJER2018.2.27
https://youtu.be/d1Wb6lbcE4I
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 インドネシアのジャカルタに滞在しています。

 ジャカルタに到着し、一日回らせて頂いただけですが、
● 交通インフラが不十分を通り過ぎ、絶望的に酷い。道路等の補修がなされておらず、特に歩行者には冷たい街
● ヒト(特に若い労働者)が余っている
 という二点を、強く感じました。


 ちなみに、インドネシアは全体の失業率(2016年)は4.1%なのですが、若年層失業率は14.9%でした。実際に、若い労働者は余っています。

 経済学者を含め、経済について「知ったかさん」をする人が、高齢者が少なく、若年層が多い国の「人口ピラミッド」が、美しいピラミッド型をしていることを「経済成長」と絡めようとします。美しい人口ピラミッドが、今後の消費拡大を云々という話なのでしょうが、本当にそうなのでしょうか。


 冷戦期はともかく、現在は技術発展で生産性が上昇し、需要に対し供給能力が過大になりがちです。


 しかも、グローバルな時代でございますから、仕事が「外国」に移る懸念が常にあります。

 その状況で、人口ピラミッドが「美しいピラミッド型」の場合、若年層が「余る」環境にならざるを得ません。実際、ジャカルタの町では、日本では一人でこなすべき仕事場に二人、三人と「若者」が働いており、
「ああ、ヒトが余っているんだなあ・・・」
 と、つくづくと感じました。


 完全雇用が成立していない状況で、人口ピラミッドが「美しいピラミッド型」の場合、本当に中長期的な経済成長が実現できるのでしょうか。何しろ、ヒトが余っているため、生産性向上が「不要」になってしまうのです。


 生産性といえば、ジャカルタの名物「渋滞」は、生産性を思いっきり引き下げています


 つまりは、政府(政府でなくてもいいですが)が交通インフラを整備し、特に都心部について鉄道、地下鉄ネットワークを構築。人々が自動車やバイクではなく、徒歩で通勤、通学できるようにする。

 生産性が向上しやすいインフラ環境を作った上で、若年層が増えていくというならば話は分かります。生産性向上で実質賃金が上昇し、「豊かになる若い世代」を中心に中長期的な経済成長を実現できるでしょう。


 もちろん、インドネシアは消費中心の経済成長を継続中ですが、交通インフラの未整備と「若年層が多いこと」の二つが、成長のボトルネックになるのは確実だと思います。

 もっとも、インドネシア政府は問題を認識しており、懸命にジャカルタ中心部や周辺の交通インフラを整備していっていますが。

                                             


 さて、日本の10-12月期の都道府県別失業率(モデル推計値)が発表になりましたので、ベスト10とワースト10のみをグラフ化しました。


【日本の都道府県別失業率(17年10-12月期)】




http://mtdata.jp/data_59.html#todouhuken


 失業率最低は相変わらず島根県(1.2%)なのですが、お隣の鳥取県が1.3%とすぐ後ろにつけています。

 今回の結果で注目すべきは、ベスト10に入っている島根県、鳥取県、福井県、岩手県、和歌山県、三重県、山形県、石川県、岐阜県、滋賀県であることです。いわゆる「大都市」は一つも入っていません。

 逆に、ワースト10の方に福岡県、大阪府、そして東京都と、大都市が入ってきました。

 経済力とは、モノやサービスの生産の拡大であること。モノやサービスの生産の拡大が、一人当たり生産量の拡大=生産性向上により達成されたとき、国民が豊かになること。国民が豊かになり、消費や投資が増え、生産性向上が誘発されること。


 上記の経済成長のプロセスを理解し、「知ったかさん」に影響されず、自らの頭で考えたとき、
「インドネシアで若年層労働者が余っている」
「日本の山陰地方で完全雇用が成立している」
 の二つが何を意味するのか、次第に見えてくるはずなのです。

 今後の日本の経済成長は、大都市部ではなく「地方」が牽引します。先陣を切るのは、もちろん山陰地方です。


 皮肉な話ですが、インドネシアも日本も、政府がやるべきことは同じなのです。すなわち、交通インフラの整備です。

 日本の地方への交通インフラの整備がなければ、生産性は抑制され、「地方が日本経済の成長を牽引する」も絵に描いた餅に終わるでしょう。


「日本政府は地方のインフラ整備に着手せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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