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『国土経済論(前編)①』三橋貴明 AJER2018.2.20
https://youtu.be/A-NfdYbNwkk
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暦の上では、本日から「春」ということになるのですが、3月1日は2019年卒業する大学生の採用活動解禁日でございます。
以前、高崎の「中小企業の新卒に対する有効求人倍率」が6倍(!)に達していることをご紹介致しましたが、超売り手市場であることは間違いありません。
『1日、就活解禁 売り手市場で短期決戦に、メガバンク動向が影響も
http://www.sankei.com/economy/news/180228/ecn1802280074-n1.html
平成31年卒業の大学生を対象にした就職・採用に関する会社説明会の開催などが1日に解禁され、企業の採用活動が本格化する。ただし景況感改善と人手不足が続く中、解禁前に動き出す企業も目立ち、説明会は4月中旬までには一段落する見通し。各社は人材獲得に向けた短期決戦を想定している。また今年の採用活動では銀行の人気低下や、各社が打ち出す新しい採用活動にも注目が集まっている。(後略)』
昨年の就活の際に、業界としての人気トップが「銀行」だっため、思わずクラクラしてしまった(AIにより職を奪われる可能性が高いため)のですが、今年は四位とのことです。
みずほ銀行が2026年度末までに、約1万9千人を人員削減する大規模リストラ策を公表したことが影響しているのでしょう。
OECD直近データで見ると、日本の若年層失業率は5.1%。もちろん、OECD諸国最低です。
アメリカ、中国、韓国、台湾、イギリスなど、主要国が軒並み二桁である中、日本の数値は光っています。ちなみに、ギリシャは47%、スペイン45%、イタリア38%と、南欧諸国は相変わらず「国が亡ぶ」レベルに悪化した状況が続いています。(ポルトガルは28%)
何しろ、人材は「働くこと」なしでは育ちません。
南欧諸国は、このままでは十年後、二十年後に、社会の中核をなすべき人々の半数近くが、
「働いた経験を持たない」
という有様になりかねないのです。普通に発展途上国化すると思います。
さて、折角ですので、我が国の高度成長期末期(1970年)から直近までの若年層失業率をグラフ化しました。
【日本の若年層(15歳-24歳)失業率の推移】
http://mtdata.jp/data_59.html#jakusitu
高度成長期は2%(!)程度で推移したのが、その後は上昇。80年代からバブル崩壊までの好況期は、4%から6%で推移しています。
その後、橋本緊縮財政による経済のデフレ化、そしてリーマンショックと、我が国の若年層失業率は「二度」の上昇期があったのが分かります。
わたくしの少し後ろの世代が、第一次就職氷河期。今の20代後半の世代が、第二次就職氷河期というわけです。
リーマンショックで10%を超すところまで悪化した若年層失業率が、その後は民主党政権期、安倍政権期と、ほぼ同じペースで下がってきており、直近(17年12月)では4.6%と、5%を下回っています。17年11月は4.1%でした。
少子化が継続する限り、我が国の若年層失業率は下がり続け、3%台が普通になっていくと予想しています。
特に、中小企業の新卒に対する有効求人倍率は、6倍どころではないところまで上昇していくでしょう。深刻化する一方の人手不足を少しでも緩和するため、政府は二度の氷河期でキャリアに乗り損ねた人々に対する支援も強化するべきだと思います(あるのかな?)。
さて、低下していく若年層失業率、深刻化する一方の人手不足を受け、どのように考えるのか?
「儲け時が来た」「経済成長のチャンスだ」
と捉えるのか、あるいは、
「人手不足でもう駄目だ」
と、マスコミ的な悲観論を叫ぶのか。
多くの日本国民、経営者、政治家が「儲け時=経済成長のタンスが来た」と考え、「日本人」の人材をフル活用し、生産性向上のための投資を蓄積していけば、我が国は「経済大国」に戻れるでしょう。
そうではなく、「人手不足なら移民」といった短絡的な選択をしてしまうと、生産性向上が抑制される上に、将来世代に「移民国家」という負担を押し付けることになってしまいます。
まさに、日本が今「分岐点」に立っていることが、若年層失業率の一方的な低下から読み取れるのです。
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