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『国土経済論(前編)①』三橋貴明 AJER2018.2.20
https://youtu.be/A-NfdYbNwkk
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さて、2017年実質賃金の確報値が出ました。
『実質賃金0.2%減、2年ぶりマイナス 17年確報値
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27290340T20C18A2EAF000/
厚生労働省が23日発表した2017年の毎月勤労統計調査(確報値)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年より0.2%減った。速報値と同じ数値で2年ぶりのマイナス。名目賃金にあたる同年の現金給与総額は0.4%増と、4年連続で増えた。物価上昇が実質でみた賃金を押し下げた。(後略)』
物価上昇が実質賃金を押し下げたと書いていますが、実質賃金計算時の基準となる「持家の帰属家賃を除く総合」のインフレ率は、2017年は対前年比+0.6%。
高々、+0.6%のインフレ率にすら、名目賃金の上昇が追い付いていないと判断するべきなのでしょう。
しかも、2016年は確かに実質賃金が上昇しましたが、同年のインフレ率は▲0.1%でした。
物価が下がった結果、実質賃金が上昇した! などと喜ぶわけにもいきませんし、逆に少し物価が上昇するだけで、途端に実質賃金がマイナスに陥る。
これが、日本経済の現実というわけです。
年ごとの実質賃金について、2005年以降の数値をグラフ化しました。
2015年=100でございますので、指数の絶対値よりも、「動き」に注目して下さいませ。
【日本の実質賃金の推移(2015年平均=100)】
http://mtdata.jp/data_59.html#Jchingi
ちなみに、実質賃金は2005年以前から下がり続けています。ピークはもちろん、橋本政権が緊縮財政を強行した1997年でございます。
それにしても、05年比で見ても、2017年の実質賃金は「現金給与総額」で▲8.9%、「きまって支給する給与」では▲7.9%。
第二次安倍政権が発足する前の2012年と比較すると、2017年の実質賃金は「現金給与総額」で▲4.1%、「きまって支給する給与」では▲5.3%。
安倍政権下で、2013年以降の日本国民は5%「貧困化した」。これは、紛れもない事実なのです。
結局のところ、デフレ対策について「おカネの問題(貨幣現象)」であると間違った認識を抱き、
「日銀がおカネを発行すれば、デフレ脱却できる」
と、いわゆるリフレ派理論に基づくデフレ対策を実施。反対側で、財務省主導の緊縮路線を突っ走った結果、円安による輸入価格の上昇や、消費税増税により、物価は+圏内で推移し始めたものの、肝心の「需要」が増えず、実質賃金のマイナスが続いたわけです。
名目賃金とは、名目値で見た所得です。名目値で見た所得の総計は、もちろんGDPです。
そして、GDPは生産の合計であり、所得の合計であり、需要の合計でもあります。
わたくしどもが「デフレは総需要の不足」と表現したのは、イコール「名目所得の合計値が足りない」でもあるわけです。
無論、名目値で所得が大きくなったとしても、労働分配率が低迷すれば、生産者の名目賃金は上昇しません。とはいえ、現在の日本は「幸いなことに」人手不足に突入しています。
人手不足が深刻化していっている以上、総需要の継続的な拡大さえ明らかになれば、労働分配率は引き上げられ、名目賃金は物価上昇率を追い抜く勢いで上昇します。
ところが、安倍政権はPB黒字化という狂った目標に縛られ、総需要拡大政策に乗り出そうとしない。
結果的に、物価上昇に名目賃金が追い付かず、実質賃金が低迷する国民の貧困化が続いたわけでございます。
五年間の実験でわかったでしょ?
どれだけ中央銀行がおカネを発行しても、政府が緊縮路線を進む限り、国民の貧困化は終わらないのです。
「政府は国民を貧困化させる緊縮路線を破棄せよ!」に、ご納得下さる方は、
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