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『グローバル化疲れ(後編)①』三橋貴明 AJER2018.1.30

https://youtu.be/zTZAffiW9yU
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 本日は三橋経済塾第七期第二回講義開催日です。メルマガでも予告しましたが、講義の後半で「おカネを発行しよう」の実習プログラムをやってみたいと思いますので、ご参加される皆様、よろしくお願いいたします。


 さて、日本銀行が発行するおカネである日銀当座預金は、我々一般国民は借りることも使うこともできません。とはいえ、「銀行預金」は借りられますし、使えます。


 と言いますか、そもそも我々が銀行から借りた時点で「銀行預金」というおカネが「発行」されているわけでございます。


 なぜ、我々が銀行預金を「使える」のかといえば、取引相手も銀行に口座を持っているためです。無論、銀行同士で「振込不可」(昔は結構、あった気がします)ならばともかく、現在の日本では「全国銀行データ通信システム」に加盟している銀行(ゆうちょ銀行含む)間で、手数料を支払うことで振り込みが可能です。


 銀行預金をおカネとして使えないケースは、取引相手が銀行口座を持っていない場合です。


 数年前、ミャンマーに取材に行った際に、当時は未だ銀行システムが整備されていませんでした。そのため、結構、高額なガイド料の振り込み支払いができず、ドル紙幣を持ち込まざるを得なくなり、結構、ドキドキものだった記憶があります。


 さて、銀行は企業や国民におカネを貸し出すことで、銀行預金というおカネを「発行」します。銀行員ですら勘違いしていますが、別に銀行は預金(というか現金)を集める必要はありません。


 ただ単に、貸し出すだけで、銀行はおカネを発行できるのです。


 なぜ、企業や国民が銀行からおカネを借りるのかと言えば、基本的にが「投資」目的です


 投資とは、将来の所得(あるいは便益)のための支出です。将来的に所得(企業でいえば利益)を稼ぐことが可能であるため、現在、銀行から融資を受けて投資して構わないのです。


 銀行があることで、企業や国民は「おカネを貯める」というプロセスを省略することが可能です。要は、投資までの時間を短縮することができます


 この「投資までの時間短縮」のサービスに対し、我々が支払う費用が「金利」になります。


 (主に)企業が銀行から融資を受け、金利を支払う。これこそが、資本主義経済の根幹中の根幹なのですが、今や我が国の銀行システムは瀕死の状態に陥っています

                


『金利ゼロ%台融資、6割超 揺らぐ銀行ビジネスモデル 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26953920V10C18A2MM8000/
 日銀がマイナス金利政策を導入して2年、銀行を起点にした金融システムのひずみが目立っている。銀行の貸出金利は下がり続け、2017年末の貸出金残高のうち金利0%台の融資は全体の62%に拡大。金融緩和が景気を下支えする効果は大きいものの、企業の資金需要を引き出すには至らず、銀行業績を下押しする面が目立つ。利ざやで稼ぐ伝統的な銀行のビジネスモデルは抜本見直しを迫られている。(後略)』


 国内の銀行貸出残高を金利別に見ると、1%未満の貸出金が290兆円と、過半を越えています(総額は471兆円)。2%超の貸出金は10%で、二年前と比較し5ポイント低下。


 しかも、貸出金自体はマイナス金利導入前より6%増えたものの、企業融資ではなく「不動産融資」がメインです。そもそも、大手企業の過半は無借金状態になっており、デフレ継続で投資意欲もないため、資金需要はありません。


 そして、不動産融資にしても「限界」に達しています。


 わたくしが東京都の不動産業からヒアリングしたところ、さすがに都内の不動産案件に対しては、もはや銀行側が貸さなくなっているそうです。(地方の駅近は、まだしばらくは大丈夫だと思いますが)


 講演で全国を回り、各地で某政府系金融機関が(複数の条件を満たすことで)、0.2%(年率)という狂気の金利で貸し出しを行っているという現実を知り、
「国債か!」
 と、思わず突っ込んでしまったのですが、資金需要がない中、貸し出し増を迫られた金融機関は、金利引き下げ競争をせざるを得ないわけです。


 結果、0%台の金利融資が全体の六割を超えるに至ったわけですが、資金需要が高まらない理由は分かりますよね。もちろん、デフレ継続で需要が拡大しないためです


 結局、現在の日本経済の問題は金融ではなく「需要」なのです。


 銀行が融資に際し、十分な金利を稼げないとは、「資本主義の死」そのものです。政府が緊縮財政路線を改め、総需要を拡大し、企業の資金需要を高めない限り、我が国の資本主義は「死」の状態から抜けられないでしょう。


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