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『グローバル化疲れ(後編)①』三橋貴明 AJER2018.1.30

https://youtu.be/zTZAffiW9yU
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 デフレ型経済成長とは、国民の需要(=所得)の合計を金額で見た名目GDPの成長率がマイナスになり、需要縮小の局面であるにも関わらず、インフレ率(GDPデフレータ)がマイナスになってしまったため、実質GDPがプラスで「計算される」状況のことです。


 つまりは、物価が下落し、需要が縮小しているにも関わらず、経済成長している風に「見えてしまう」のです。


 理由は、経済成長率である実質GDPの成長率は、計測できないためです。統計可能な名目GDP(付加価値の金額の総計)から、これまた統計可能なGDPデフレータの影響を排除し、実質GDPを計算します。


 つまりは、物価下落率(GDPデフレータのマイナス)が需要縮小率(名目GDPのマイナス)を上回ると、実質GDPはプラスで計算されてしまうのです。


『GDP実質年0.5%成長、消費・投資けん引 10~12月
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2687698014022018MM0000/
 内閣府が14日発表した2017年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.1%増、年率換算で0.5%増だった。プラス成長は16年1~3月から8四半期連続で、約28年ぶりの長さとなった。好調な輸出と設備投資を背景に企業部門がけん引し、個人消費も昨夏の天候不順による低迷から持ち直した。(後略)』


 2017年10-12月期の経済成長率が発表され、実質GDPが前期比0.1%増、年率換算で0.5%増という「微妙な数値」だったため、
「まさかね・・・」
 と、思い、内閣府の詳細を確認してみたらば、案の定・・・・。(数値は全て対前期比)


〇 名目GDP ▲0.0%
〇 GDPデフレータ ▲0.1%
〇 実質GDP +0.1%


 名目GDPがマイナスであるにも関わらず、GDPデフレータの下落率が上回り、実質GDPがプラスで「計算」されてしまう。


 日本はまたもやデフレ型経済成長に陥りました。
 

                


 問題のGDPデフレータについて、対前年比(上記は対前期比)の増加率をグラフ化すると・・・・。


【日本のGDPデフレータ(対前年比%)の推移】

http://mtdata.jp/data_59.html#GDPD


 対前年比のGDPデフレータは、一年前(17年1-3月期)を底に、プラス方向に向かい、17年7-9月期に一瞬、プラスに顔を出したのですが、今回は0に逆戻りしてしまいました。


 コアコアCPIやGDPデフレータを見る限り、日本経済が「再デフレ化」している可能性は濃厚です。


 ところが、新聞は「デフレ型経済成長」については説明せず、
「プラス成長は16年1~3月から8四半期連続で、約28年ぶりの長さとなった
 とやってくるわけです。


 すると、日本国民は、
「あ、今は景気が良いんだ」
 と、デフレ環境下で誤解してしまい、予定通り来年の消費増税が行われる。というシナリオが見えるわけでございます。


 結局、日本国民が、例えば「経済成長率」といった「言葉」についても、その意味や定義、統計手法を正しく知ることなく、「経済成長率がプラス」(嘘じゃないですが)といったレトリックにコロリと騙され、真実を見なくなるというのが、現在のわが国の困窮の根底にあるわけです。


 言葉を知ると同時に、その意味や他の指標との関係を理解しなければなりません。情報の正しい読み方を知らない限り、我々は騙され続けることになります。

   
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