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『グローバル化疲れ(後編)①』三橋貴明 AJER2018.1.30

https://youtu.be/zTZAffiW9yU
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 バズワードとは定義が曖昧であるにも関わらず、マスコミなどで記事の「印象」を強めるために、目を引くキャッチフレーズとして使われる言葉を意味します。

 元々はIT用語であり、
「そもそも、バズワード自体が定義曖昧で、バズワードなのではないか
 といった批判もありますが、とりあえず脇に置き、本日は「規制緩和」というバズワード


 規制緩和と聞くと、我々日本国民の多くが、その定義や内容を理解しないまま、
「規制緩和はやるべきだ」
 などと、ある種の思考停止下で思ってしまいます。そういう意味で、「民営化」「構造改革」も同じでございますが。


 規制緩和とは、政府が「参入障壁」である法律を改正し、新規参入を促す政策です。国境を越えた規制緩和の場合、広義の「自由貿易」になります。


 何度も繰り返していますが、わたくしは別に「規制緩和は悪だ」などと言いたいわけではありません。現在の日本においても、例えば宅配便のラストワンマイルの供給能力不足を補うため、ドローンの規制を(安全に配慮しつつも)緩和するといった規制緩和は必要なのではないでしょうか。


 とはいえ、規制緩和が正当化されるためには、少なくとも二つ、条件を満たさなければならないとも考えます。


 すなわち、
(1) 規制緩和により、国家の安全保障(防衛だけではありません)を弱体化しないこと
(2) 該当分野が、供給能力不足のインフレギャップ状態であること


 たとえば、安倍政権は電力産業において「発送電分離」を強行しようとしています。しかも、外資規制がありませんので、将来的に我が国の発電事業が、
「全て中国系資本」
 といった事態になることも、可能性はゼロではないのです。


 その場合、日本のエネルギー安全保障は維持されるのでしょうか。そんなはずがないわけです。


 また、すでに供給能力が十分な分野で規制緩和を強行すると、競争激化と価格下落をもたらし、国民の貧困化に繋がります。あるいは、デフレ深刻化です


 規制緩和とは、基本的には物価を押し下げることを目的とする「デフレ化政策」なのです。


 日本はデフレ下であるにも関わらず、様々な分野で規制緩和を強行し、事態を悪化させてきました。
 ついに、やはり規制緩和が推進された「バス」の分野において、反乱が勃発


         
                  

赤字31路線を一斉廃止へ バス会社、規制緩和に抗議
https://www.asahi.com/articles/ASL285SDXL28PTIL02B.html
 岡山県を中心にバス事業などを営む両備グループは8日、傘下2社の78路線のうち赤字31路線を一斉に廃止すると、国土交通省に届け出たと発表した。割安運賃を売り物にする他社が、両備の数少ない黒字路線への参入を計画。国も認める見通しとなったのに抗議する、異例の「実力行使」に踏み切った。地域住民の足への影響が懸念される。
 2002年の道路運送法改正で、路線ごとの乗客数に応じ、国がバス事業者の数を制限する需給調整は廃止された。小嶋光信・両備グループ代表は8日の会見で「法制度を抜本的に改めない限り、どこの地方でも同様の問題が起きる。泣き寝入りはできない」とし、国や関係自治体、住民らを交え、問題解決に向けた協議の場の設置を訴えた。(後略)』


 元々、両備グループは基幹路線である「西大寺線」から上がる利益で、利益にならない路線の赤字をカバーする形で事業を運営してきました。


 虎の子の黒字路線に、新規事業者として八晃運輸が参入しようと図り。国土交通省が認可する見通しとのことです。


 両備グループは、
「過当競争が起きる」
 と、反発しましたが、八晃運輸側は「参入を申請するのは自由だ」と、新規参入の姿勢を崩していません。


 国土交通省は、
「参入が不当な競争を生まないかはきちんと審査する」
 とのことですが、いかなる結末になるかは、現時点では不明です。

 いずれにせよ、規制緩和というバズワード(あるいは「参入は自由だ」でもいいです)に対し、それが「国民経済」において、いかなる影響を及ぼすのか


 過去二十年、デフレ下で「デフレ化政策」である規制緩和を繰り返してきた日本の国民は、一度、立ち止まり、落ち着いて考え直す必要があると思うのです。 

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