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『グローバル化疲れ(後編)①』三橋貴明 AJER2018.1.30

https://youtu.be/zTZAffiW9yU
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 NY株式市場のダウ工業株30種平均が大幅続落。前週末比1175・21ドル安の2万4345・75ドルで取引を終えました

 一日の株価の下げ幅としては、リーマン・ショックを受け世界的に景気が悪化した2008年9月29日の777ドルを抜き、過去最大となりました。


 これで、本日の日本の円高と株安も必至でしょう


 さて、田村秀男先生が、日曜経済講座で、実に真っ当な「脱デフレ論」を展開されているので、ご紹介。


 田村先生の言説がジャーナリズム、経済評論の主流になれば、我が国のデフレ脱却や最強国化は近づくでしょうが、現実には少数派です。と言いますか、極少数は派ございます


賃上げ主導の「脱デフレ」 政府は緊縮財政で邪魔するな 
http://www.sankei.com/premium/news/180128/prm1801280017-n1.html
 安倍晋三首相は今月22日に衆参両院本会議で行った施政方針演説で、賃上げ主導による脱デフレに意気込んだ。経団連と連合も3%賃上げに前向きなので機運は上々だが、ちょっと待てよ。20年間も日本経済に取りついてきたデフレ病を、賃上げ頼みで克服できるのだろうか。
 日本の慢性デフレの期間は1930年代の大恐慌時代の米国をはるかに上回る歴史上未曽有の経済事象で、米欧流の経済学教科書では説明できない。特徴は緩慢な物価低落傾向の中で賃金がしばしば物価以上の幅で下がることだ。(中略)
 日本では物価下落を上回る速度で賃金が下がる「賃金デフレ」に陥りがちだ。今は物価がわずかずつ上がる傾向にあるが、賃上げ率がインフレ率を下回る限りデフレ圧力が加わり、需要が押し下げられる。総需要を左右する政府・日銀の財政・金融政策が、賃上げ以上に脱デフレの鍵を握るはずだ。(後略)』

         
                  

 本ブログで何十回も書いていますが、デフレの問題は「物価の下落」ではありません。

 物価の下落を上回るペースで賃金が落ちていく、実質賃金の低下こそが問題なのです。すなわち、国民の貧困化です。


 現在は、田村先生も書いていらっしゃるように、物価は多少のプラス(対前年比+0.x%)となっていますが、賃金の上昇が追い付かず、実質賃金が低迷し続けている状況に変わりはありません。


 実質賃金の上昇をもたらすには、


(1) 生産性の向上
(2) 労働分配率の上昇


 の二つが必須ですが、そのためには現在の日本で唯一、負債増大を気にせずに支出を拡大できる存在、すなわち「政府」の財政拡大が必要なのです。


 とはいえ、現実には緊縮財政路線の継続。


 これでは、企業は人手不足を「リスク」を伴う生産性向上のための投資で補おうとはしませんし、労働分配率の引き下げにも動けません。円安で多少、輸出企業の収益が増えたところで、内部留保に現預金が積みあがるだけに終わります(実際に、そうなっています)。


 また、これまた田村先生が指摘していますが、過度な「円安」への依存も危険です。何しろ、為替レートの変動は、日本の外部要因であり、我が国が主導して維持することは現実的に不可能です。


『(引用)円安は外部要因によって左右されがちだ。日銀の黒田東彦総裁は大規模な金融緩和とマイナス金利政策の堅持を強調して、円高阻止に努めているが、トランプ政権要人の「ドル安容認」が伝わった途端、外国為替市場で円が大量に買われる始末だ。円高による収益源を恐れる企業は賃上げに慎重になりかねない。』


 実際、昨日のNY株価大暴落を受け、本日は確実に円高に向かうでしょう。


 他国の情勢で為替レートが大きく変動してしまう以上、企業経営者は、
「円安で日本円建ての収益が増えた。ならば、労働分配率を引き上げ、給与を上げよう」
 とはなりません。多少、円安になったところで、将来的な円高に備え、やはり「内部留保」として現預金が積みあがるだけです


 結局、過去五年間の安倍政権の経済政策は、金融政策や円安により「実質賃金上昇」を目指すと同時に、反対側で緊縮財政を継続。実質賃金を引き下げる政策を並行して行ってきたのです。


 結果的に、日本銀行が340兆円ものマネタリーベースを拡大したにも関わらず、デフレ脱却は果たせませんでした。


 まさに、田村先生が書いている通り、


『(引用)民間給与がつくり出す需要増を奪い取ってきたのは政府のほうである。』


 が真実なのです。

 もっとも、政府が緊縮財政路線を継続するのは、毎年6月に閣議決定する「骨太の方針」において、PB黒字化目標を掲げているためです。


 いくら現実が安倍政権の緊縮路線の間違いを証明したところで、骨太の方針にPB黒字化目標が載ってしまうのでは、19年の消費増税は確実に行われ、社会保障支出が増える分、他の予算が削られる「お小遣い帳」路線は続くでしょう。


 18年6月の骨太の方針閣議決定に際し、PB黒字化目標を破棄できるか否か。全ては、ここにかかっていると言えます。 

「政府はPB黒字化目標を破棄せよ!」に、ご賛同頂ける方は、↓このリンクをクリックを!
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