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『高圧経済①』三橋貴明 AJER2017.12.26
https://youtu.be/HeaDZQ8hpTg
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さて、久しぶりのギリシャの話題。
『ギリシャ、中央政府の17年基礎的財政黒字が目標上回る
https://jp.reuters.com/article/greece-budget-surplus-idJPKBN1F42RH
ギリシャ財務省が15日遅くに発表したデータによると、同国中央政府の2017年の基礎的財政収支は19億6000万ユーロの黒字となり、目標の8億7700万ユーロを大幅に上回った。歳出の抑制が目標達成につながった。
中央政府の財政黒字は社会保障関連機関や地方政府の予算が含まれない。欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)がギリシャ向け金融支援プログラムで基準にしている財政収支と算出方法が異なるが、財政状況の目安になる。
税収は488億ユーロと、目標を1億1000万ユーロ上回った。歳出は目標を17億5000万ユーロ下回る555億ユーロだった。 (後略)』
というわけで、ギリシャの名目GDP(所得の合計)、インフレ率、プライマリーバランスをグラフ化しました。
【ギリシャの名目GDP・基礎的財政収支(左軸、十億ユーロ)とインフレ率T(右軸、%)】
http://mtdata.jp/data_58.html#Greece
ギリシャのプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)は、バブル崩壊後の2009年に360憶ユーロでピークをつけ、その後は容赦なき緊縮財政により削減されていきました。
2016年には、ついにPBが黒字転換。
ギリシャ政府がPB赤字削減に懸命になる、つまりは緊縮財政が継続した結果、ギリシャ国民の所得の合計は、2008年の2500憶ドルから、2016年には1845憶ドルに激減。
GDPが八年間で26%も減ってしまいました。ギリシャの経済規模が、四分のさんになってしまったのです。
日本でいえば、GDPが375兆円に減ってしまうようなものです。
インフレ率の方も、延々とマイナス状況が続き、2016年にようやく+0.013%となりました。
バブルが崩壊した国、あるいはデフレ化した国がPB黒字化を目指すと、国民が貧困化する。ものの見事に、ギリシャが証明してくれたわけです。
何しろ、記事にもありますが、ギリシャ政府はPB黒字化のために、
「国民からより多くの税金を取り、支出を削った」
わけです。
所得創出のプロセスにおいて、増税や「政府支出削減」がなされた場合、「誰か」の所得が減るのは自明の理です。そして、所得の合計こそがGDPなのです。
無論、ギリシャはユーロ加盟国です。何しろ、金融主権がないため、「国債発行+国債買取」により政府が支出を増やすことはできません。しかも、ギリシャ政府におカネを貸しているのは国際機関、ドイツやフランスの銀行などです。
デフォルト(債務不履行)を回避するためには、ギリシャ政府は「国内」からユーロを搾り取り、返済するしかないわけです。
というわけで、ギリシャ政府はPB黒字化を強要され、国民がひたすら貧乏になっていく。特に、若年層失業率47%のギリシャでは、緊縮財政とGDP縮小により、現在の所得はもちろん、将来の成長をも犠牲にしてしまったのです。
現在の若者が社会の中核層をなす頃、その半分近くが「働いたことがない」という状況になってしまう。普通に発展登場国化でしょう。
ギリシャの問題については「解決策がない(ユーロに加盟している限り)」状況が続きますが、日本は違います
。
日本の場合、PB黒字化目標を破棄し、国債を発行。日銀が国債を買い入れ、長期金利を調整しながら支出を拡大すれば、普通にデフレ脱却や経済成長が実現します。
ギリシャと日本は違うのです。、
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