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『高圧経済①』三橋貴明 AJER2017.12.26

https://youtu.be/HeaDZQ8hpTg
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 厳密には「ビットコイン・バブル」の崩壊なのですが、経済現象として極めて典型的なので取り上げておきたいと思います。


『「ビットコイン」が急落 1か月で半分に 規制強化への懸念受け
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180117/k10011292231000.html
 インターネット上の仮想通貨「ビットコイン」は、各国で規制が強化されることへの懸念から価格が急落し、国内の大手取引所では17日、一時、1ビットコイン当たりおよそ100万円と、この1か月で一気に半分程度にまで値下がりしました。
 仮想通貨の大手取引所、「ビットフライヤー」によりますと、17日は、ビットコインの売り注文が膨らんで、1ビットコイン当たりの価格は午前7時半ごろ、16日の夕方時点と比べて、およそ60万円安い102万円台まで急落しました。その後は買い注文も出て、一進一退の値動きになっています。(後略)』


 そもそも、ビットコインとは、それ自体は何の所得や便益も生み出さない「資産」に過ぎません。辛うじて、国際決済をする際に、手数料が安く済むという程度の便益しかないのです。


 それが、2017年にビットコインの価格が何と20倍に跳ね上がりました


 17年4月時点では、1BTC=10万円程度だったのが、一時的に200万円を突破したわけですから、半端ありません。


 ちなみに、ビットコインの売買は「資産の購入」に該当するため、10万円で買った1BTCが200万円で売れたとしても、GDPは増えません(取引所の手数料のみ所得になる)。


 なぜ、ビットコインがここまで急激に値段を上げたのか。もちろん、
「もっと価格が上がる!」
 と、確信した人が、信用取引(要は借り入れ)までを使って「資産の値上がり益(キャピタルゲイン)」を目的に買い込んでいったためです。


 すなわち、典型的な「投機」による「バブル」なのでございます。


 ちなみに、暴落直前には、ビットコインの購入者の四割が日本人になっておりました。証券業界で有名なのですが、この手のバブル系投機商品は、
「日本人が買い始めたら、売り時
 というのがジンクスになっております。今回も、ジンクスは裏切られなかったようです。

  


 さて、バブルとは崩壊するからバブルなのですが、バブルが崩壊すると、特に信用取引などの「借金」で資産を買っていた人が悲惨な目に会います。



 バランスシートでいうと、借方のビットコインの現在価値が暴落したにも関わらず、資産を買うために借り入れた負債は消えないのです。


 というわけで、別にビットコインバブルに限らず、バブルが崩壊すると、人々は「借金返済」を始めます。お分かりでしょうが、借金返済は消費でも投資でもないため、誰の所得にもなりません。


 ビットコインバブル崩壊でこしらえた借金が返済されると、その分だけ消費や投資が増えない。つまりは、需要が縮小するわけです。


 ビットコインバブルの崩壊の効果は限定で気なのでしょうが、91年頃から日本では「土地」のバブルが全国的に崩壊。国民が借金返済に勤しむようになり、その段階で政府(橋本政権)が緊縮財政を強行したため、ますます消費や投資が激減。


 我が国はデフレ(総需要不足)に突入しました。


 無論、ビットコインバブルの崩壊が、日本をデフレ化させるほど大きな影響を持つという話ではないです。といいますか、ビットコインと無関係に、日本はデフレ化が進行しています。


 ともあれ、ビットコインバブルの崩壊を見ていると、


 バブル崩壊⇒バランスシートの毀損(借方の資産は消えるが、貸方の負債は残る)⇒借金返済の激増⇒消費や投資という「需要の縮小」


 というデフレ化のプロセスが分かりやすく説明できるため、今回はビットコインバブルについて取り上げました。


 くどいですが、デフレとは「貨幣現象」とやらではなく、バブル崩壊&緊縮財政によりもたらされる、総需要(消費と投資の合計)の不足という経済現象なのです。

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