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『財務省が日本を滅ぼす(その2)①』三橋貴明 AJER2017.11.21
https://youtu.be/UXDrKkdq3yk
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「日本の未来を考える勉強会」第2ステージ・第2回ー日本経済の嘘と真実ー 平成29年12月5日
http://www.nicovideo.jp/watch/sm32407192
明日は6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/
さて、昨日、日本の給与が上がらない現象に関連し、黒田総裁の講演から、
「正規雇用の給料が抑制される反対側で、パートタイム・アルバイトの給料は上昇している。
つまりは、企業が解雇が容易なパートタイム・アルバイトは給料を引き上げても確保する。反対側で、正規雇用の給料は抑制するという「怯え」がある行動をとっていることを分析しましたが、もう一つ問題があるわけです。
すなわち、グローバル株主資本主義です。
企業の損益計算書は、売上から売上原価を引き、粗利益。
粗利益から人件費、減価償却費(投資のコスト)等を引き、税引き前総利益。
税引き前総利益から法人税を引き、純利益という形で流れていきます。
問題になっているのは、企業の純利益の処分方法です。
何しろ、「史上最高益!」などと言われているにも関わらず、内部留保としての現預金がひたすら積みあがっていっているわけでございます。
プラス、やはり「配当金」も増えているのです。
『配当、最高の12.8兆円 配分比率3割横並び 余る資金活用課題
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO24381210X01C17A2MM8000/
好業績を裏づけに上場企業の配当が増えている。2017年度の配当総額は前年度比7%増の12兆8000億円と最高を更新する見通しだ。だが純利益に対する配当の比率を示す配当性向(総合2面きょうのことば)は3割強と過去5年はほぼ横ばいで推移し、欧米企業に見劣りする。個々の企業の配当性向も3割前後に集中し、それぞれの個性が見えづらい。投資か分配か。日本企業はどっちつかずの横並びの配当を脱し、余る資金の最適な使い道を探る局面に来ている。(後略)』
日本経済新聞の書き方では、まるで配当性向が相対的に低いことが悪いことであるかのように書かれていますが、それ以前に配当を対前年比7%も増やしているにも関わらず、給与水準を横ばいでとどめていることを批判するべきでしょう。
別に、配当を増やすなとか、配当性向を引き下げろと言いたいわけではありません。
給与水準を横ばいにとどめ、反対側で配当を増やすのは、「日本国」のインフラや労働に依存している企業としていかがなものか。まずは人件費や投資の割合を高めるのが先なのではないか、と言いたいだけです。
トマ・ピケティが「21世紀の資本」で、資本主義は放置しておくと必ず「r>g」の状況、つまりは資本収益が労働による所得を上回り続けることを証明しましたが、日本はそのまんまやっているわけです。
結局、株主の影響力が増すグローバル株主資本主義の世界では、政府が何らかの規制をかけない限り、人件費や投資が抑制され、さらには政治力で法人税も引き下げられ、配当金や自社株買いを最大化する方向に進まざるを得ないという話です。
企業が人材や投資におカネを使わないわけですから、長期的には「滅びの道」だと思います。グローバル市場における価格競争力は高まる(人件費抑制で)かも知れませんが、それだけです。少なくとも、製品やサービスの生産能力は着実に落ちていくでしょう。
特に、若者が正しく仕事の経験を重ね、キャリアを向上する、分かりやすく書くと「モノやサービスの生産能力を身に着ける」ことが妨害されるわけですから、企業のみならず「国家」にも致命的な影響を与えることになります。
というわけで、日本政府は原丈人氏の「公益資本主義」の精神で、企業の経営に対する関与を強めなければならないのです。
参考:原丈人「公益資本主義」
「会社は株主のもの」という英米流株主資本主義の「短期利益」重視と「中長期投資」軽視で、株主だけが潤い、会社は資金と研究開発力を奪われ、従業員の賃金は下げられる。米国で米国流ビジネスの限界を学んだ最強のベンチャー事業投資家が、「会社は社会の公器」という日本発の21世紀型資本主義を提唱する!
残念ながら、日本の企業(少なくとも大企業)は原氏が指摘する、
「「短期利益」重視と「中長期投資」軽視で、株主だけが潤い、会社は資金と研究開発力を奪われ、従業員の賃金は下げられる」
英米流資本主義に完全に染まってしまっています。
この状況から、「長期利益重視」「中長期投資重視」の公益資本主義に転換できるのか。
日本に構造改革が必要だとすれば、それは「市場原理」「規制緩和」「民営化」「自由化」ではなく、その逆、企業が公益資本主義を重視せざるを得ない環境を作ることであると確信しているのです。
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