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『財務省が日本を滅ぼす(その1)①』三橋貴明 AJER2017.11.14
https://youtu.be/sRjEjSTLbTQ
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 1950年代から70年代にかけ、日本以外の西側先進国もそれなりに経済成長を遂げました。

 当時の高度経済成長期のことを、ドイツは「経済の奇跡」、フランスは「栄光の30年間」と呼んでいます。

 もっとも、日本以外の先進国の成長率は、高いとは言っても日本の半分程度でした(それでも高いのですが)。


【高度成長期の西側先進国の経済成長率(%)】

http://mtdata.jp/data_57.html#kodosensin


 図の通り、高度成長期の日本の経済成長率は、明らかに突出しています

 などと書くと、
「それはまあ、日本は焼け野原にされて皆貧しくなったから、伸びしろが大きかったんだよ」
 と、訳知り顔でそれっぽい出鱈目を吹聴する「知ったかさん」が出てくるのですが、第二次世界大戦後の欧州諸国は、イギリス以外は日本並の焼け野原状態でした


 何しろ、日本は空襲で都市や工場を破壊されましたが、欧州諸国は地上戦の戦場になったのです。


 同じように「スクラップ」状態からの「ビルド」を強いられ、なぜ成長率にここまで差がついてしまったのでしょうか。日本人が相対的に優秀だったから? そうは思いません。


 一つ特徴的なのが、「西ドイツ」の成長率です。


 「経済の奇跡」序盤の西ドイツの成長率は10%に近かったのですが、その後は低下し、他の欧州諸国同様に5%前後に落ち着きました。



 西ドイツの成長率が低下する時期においても、日本は10%前後の経済成長率を維持します。


 当時の日本と、欧州諸国との間には、一体、いかなる違いがあったのでしょうか


  


 もちろん、
「移民を入れることができたのか? 入れることができなかったのか?」
 であり、他にはありません。(人種的な違いはほぼ無関係でしょう)


 経済成長とは、インフレギャップ(総需要>供給能力)の状況で、生産性向上のための投資により、ギャップを埋めようとしたときにおきます


 移民という外国人労働者の投入は、生産性向上ではありません。しかも、大抵のケースで経営者は「安く雇う」ことを目的に移民を雇用するため、国民の実質賃金の伸びは抑制されます


 国民の実質賃金が増えないと、総需要が十分に膨らまず、生産性向上が必要となるインフレギャップの圧力は弱まります


 すなわち、移民は経済成長を抑制します


「そんなことはない!」
 と、否定するならば、移民を入れなかった日本が高度成長期に10%近い経済成長を続け、移民を入れた西ドイツの成長率が急速に低下し、やはり移民を入れた他の西側先進国と同じ程度になってしまった理由について説明する必要があります。


 ところで、当時はイギリスにはインド・パキスタンなど、フランスにはマグレブ、西ドイツには当初は南欧、後にトルコから移民が流入し、生産性の伸びを「抑制」していったわけですが、なぜ西欧諸国は成長率を低下させる移民受入に動いたのでしょうか


 当初は、↓こんな感じだったに違いありません。


『人手不足で倒産増 外国人就労拡大を要請へ
http://www.news24.jp/articles/2017/11/16/06378104.html
 人手不足で企業の経営が回らなくなり倒産が増える中、日本商工会議所は、政府に外国人の就労受け入れ拡大の検討を求めることを決めた。
 日商の調査では、会員の中小企業のうち6割が人手不足としている。そのため、政府に外国人の就労条件見直しを求める意見書を提出する。
 現在、日本では、外国人の就労は原則、専門的・技術的分野などに限定し、大卒や10年以上の実務経験などを条件としている。しかし、日商は条件が厳しすぎるとしている。
 また、建設現場や運送などを念頭に、今は認められていない単純労働の分野の受け入れも検討を求めている。
 一方で、外国人の就労条件をゆるめることは治安の面などから反対の声もあり、受け入れの基準をどうするのか議論を呼びそうだ。』


 高度成長期の日本は、冷戦の最前線で、かつ周囲は全て共産国か独裁国。中国との国交もなく、移民受入が困難でした(何しろ、当時の日本から最も近い民主主義国は、オーストラリアでした)。


 結果的に、超人手不足を生産性向上のための投資で埋めざるを得ず、まさにそれこそが日本に高度成長をもたらす原動力となったのです。


 もちろん、今後も深刻化する人手不足は、経営者にとっては頭が痛い問題です。

 とはいえ、それは高度成長期も同じでした。


 高度成長期は深刻化するインフレギャップ、人手不足を「官民一体」となり、設備投資、公共投資、人材投資、技術投資とうい四つの投資で乗り切ろうとしたからこそ、我が国は世界第二位の経済大国に成長したのです。


 なぜ、自分たちの先人たちが実現した「経済成長の黄金循環」から目を背け、移民受入という「実質賃金を引き下げ、経済成長を妨げる」ソリューションばかりが主張されるのでしょうか。


 もちろん「根性」といった問題もあるのでしょうが、それ以前に、日本国民の多くが、
「経済成長は、なぜ起きるのか?」
 について、あまりにも無理解であることが問題なのだと思います


 中長期的な経済成長は、インフレギャップを生産性向上のための投資で埋め、国民の実質賃金が上昇し、需要が拡大。またもやインフレギャップとなり、それを生産性向上で埋めるという「循環構造」でしか起きません。

 逆に、移民受入は高度成長期の欧米諸国の例からも分かる通り、成長率を押し下げます。そして、今の欧州がまさにそうですが、将来世代に「移民国家」を引き継ぐことになってしまうのです。

 移民受入ではなく、生産性向上のための投資による経済成長を求める。それができるか否かで、日本の将来は決定的に変わってしまうのです。
 
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