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『ビットコイン①』三橋貴明 AJER2017.10.24
https://youtu.be/DZlNjsT05aA
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 時局 2017年12月号 に連載「三橋貴明の経世論 経済成長の黄金循環(中編)」が掲載されました。


 本日はチャンネル桜「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651


 先週、先々週と金曜日のFront Japan 桜に出演しているため、何となく毎週レギュラーみたいになっていますが、偶々です。特に、先週の佐波さんとのFront Japanは、わたくしは元々、出る予定はなかったのです。連休ということもあり、他の方々のスケジュールが付かず、わたくしが別件の前に無理やりスケジューリングし、出演したのでございます。


 本日は、Sayaさん。


 さて、次期日本銀行総裁に、本田悦朗氏が就任するのではないかという報道が出ています。


日銀総裁に就任すれば、全力でデフレ脱却実現する=本田・駐スイス大使
http://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2017/11/202886.php
 安倍晋三首相の経済アドバイザーとして知られる本田悦朗・駐スイス大使は8日、ロイターとのインタビューに応じ、次期日銀総裁に指名され就任が決まれば、2%の物価目標実現によるデフレ脱却を全力で実現すると述べ、ポストに強い意欲を示した。
 また、消費増税までに強じんな日本経済の実現が必要であり、拡張的な財政政策が必要であるとの見解を示した。
<目標未達の黒田総裁、続投望ましくない>
 本田氏は、2014年4月の消費増税によってアベノミクスの効果が相殺されたとして、金融緩和と拡張的な財政支出を同時に展開しなければデフレになじんだ人々の物価観を転換することはできないと強調。(中略)
 本田氏は、税収拡大ペースと比較して歳出拡大が緩やかであるとし現状の財政運営を「緊縮的」と表現。企業部門の貯蓄超過が解消されることを目指し、必要であれば補正予算・当初予算の編成を通じ、財政を「より拡張的」にすべきと論じた。
 2019年に予定されている消費税率の引き上げについては「理想的には凍結が望ましい」としつつ、自民党が衆院選で「引き上げを公約とした事実は重い」と指摘。
 現実的には「増税に耐えうる強じんな日本経済を作るしかない」と述べた。消費増税分は「全額社会保障に充当して欲しい」とも付け加えた。 デフレ脱却を確実にするため「2013年に策定した政府・日銀の共同声明を書き改め、名目600兆円のGDP(国内総生産)を共通目標に掲げるのが望ましい」と指摘した。』


 財政政策に理解がある方が、日銀総裁に就任することは、現在の日本にとって望ましいとは思います。もっとも、本田氏が日銀総裁に就任すれば、すぐに財政拡大に転じることができる。

 などといった甘い話はありません。


 何しろ、PB黒字化目標は閣議決定として残っています



                        

 
 日銀の国債買い入れを100兆円に増額したところで、政府が緊縮財政を継続する以上、物価が上がるはずもありません


 すでに、2013年3月と比較し、日本銀行は340兆円以上もマネタリーベースを拡大しました。ところが、コアコアCPIは対前年比0%。直近のGDPデフレータは、対前年比▲0.4%

 普通に、デフレに戻っている。これが現実です。


 我々は、デフレが「総需要の不足」である以上、政府が消費や投資(つまりは「需要」)を削減する緊縮財政を強行している以上、日本銀行がいくらおカネを発行したところで、デフレ脱却ができるはずがないと主張し続けてきました。なぜなら、デフレーションとは「総需要の不足」であり、「貨幣現象」とやらではないためです。


 それに対し、アベノミクスの理論的支柱である「リフレ派理論」は、インフレ目標と量的緩和のコミットメントにより、
期待インフレ率が上昇し、円安により輸出が増え、設備投資や住宅投資、消費が増えることで、デフレギャップが縮小し、デフレ脱却できる」
 というものでした。いわゆるリフレ派の中心的な存在である、岩田規久男日銀副総裁「量的・質的金融緩和の波及経路」に、そう書かれています


 すなわち、
インフレ率(あるいは期待インフレ率)の上昇⇒消費・投資拡大⇒デフレ脱却⇒雇用増加」
 という現象が起きているならば、日本の雇用改善はアベノミクス、あるいはリフレーション政策の「おかげ」という話になりますね。とはいえ、現実にはインフレ率は低迷し、デフレーションが継続。それにも関わらず、雇用「だけ」が改善していっているのが、現実の日本です。

 フィリップス曲線という考え方があります。フィリップス曲線は、インフレ率と失業率が反比例の関係にあるという仮説です。すなわち、インフレ率が高まれば、失業率は下がる。逆に、インフレ率が下がり、経済がデフレ化すると、失業率は上昇してしまう。


 いわゆる「リフレ派理論」は、フィリップス曲線が成立するという前提で、
「期待インフレ率(あるいはインフレ率)を引き上げれば、需要が拡大し、雇用が改善する(=失業率が下がる)」
 というデフレ脱却政策だったのです。そして、インフレ率、期待インフレ率を引き上げるためにこそ、
日本銀行がインフレ目標をコミットメントし、量的緩和を継続し、マネタリーベースを拡大する
 という政策が提唱されました。


 ところが、現実には日本銀行が340兆円もの日本円を発行したにも関わらず、インフレ率は上昇していません。


 岩田規久男教授、浜田紘一教授といった「リフレ派」リフレ派理論によるデフレ脱却の最初の一歩、すなわちインフレ率や期待インフレ率の上昇は、全く起きていないのです。これが、現実です。


 結局、田教授に代表される「デフレは貨幣現象」という間違った考え方(経済学的には正しいのかも知れませんが)は、財務省の緊縮財政派に見事に利用されたのです。岩田教授の理論が正しいならば、
「政府が消費税増税をしても、財政支出を削減しても、デフレ脱却できる」
 という話になります。何しろ、岩田教授の「量的・質的金融緩和の波及経路」には、「財政」という概念は全く登場しません


 本田氏は、名目GDP600兆円を目標に掲げることなど、拡張的な財政を主張している点で、黒田総裁よりは評価できます。とはいえ、本田氏が日銀総裁に就任し、拡張的な財政拡大を要求(これ自体は正しいですが)したところで、PB黒字化目標がある限り、どうにもなりません。


 とりもなおさず、我が国はPB黒字化目標が存続する限り、日本銀行総裁に誰を据えたところで、状況は改善しないという現実を理解しなければなりません。


 小学館「財務省が日本を滅ぼす 」が売れ続けています。Amazon在庫が戻っていないにも関わらず、総合で51位になったのは吃驚しました。



 日本国が「財務省が日本を滅ぼす 」に書かれている「事実」を認識し、政治家を変え、政治を変える努力をしない限り、我が国の小国化は終わりません。


 もちろん、「財務省が日本を滅ぼす 」の情報が国民に共有されれば、全て解決、などという簡単な話にはなりません。とはいえ、最低限の「正しい知識」の共有なしでは、問題解決の糸口すらつかめないという現実を、我々は理解するべきなのです。

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