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『失業率と実質賃金(後編)①』三橋貴明 AJER2017.9.26
https://youtu.be/a-seRvhJg5s
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 スペイン政府が、カタルーニャの自治権を停止する動きに入りました。


スペイン政府:カタルーニャ自治停止の手続き進める、21日に閣議
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-19/OY2A306JIJUO01
 スペインはカタルーニャ州の自治を停止する手続きを前に進める。プチデモン自治州首相が19日、独立の主張撤回を拒否したことを受け、スペイン政府が声明を発表した。
 カタルーニャを直接統治下に置くというスペイン政府の前例のない決定が、同州と中央政府の対立をさらに激化させることは必至だ。
 政府は声明で、カタルーニャに関し「政府は憲法155条が定める手続きを続ける」と表明した。(後略)』


 スペインのラホイ首相は、
カタルーニャ自治政府の合法性を取り戻すため、スペイン政府は憲法155条に明記された手続きを進める
 と声明を発表。


 フランコ将軍の死から3年後の1978年にスペインは民主制に移行したのですが、その際に施行された憲法の155条に「危機の際には中央政府による直接統治が可能になる」と定められているのです。


 カタルーニャの独立の是非を問う住民投票以来、スペイン政府と自治政府との間の緊張状態が続いていました。住民投票では独立派が多数を占めましたが、スペイン政府は「住民投票は違法」との立場を崩していません


 スペイン憲法155条では、地方自治体が国家に深刻な被害を与える際に、上院の過半数の支持を得た上で、自治停止を遂行するための必要な手段を取れます。現在、スペインの上院は与党が多数派であるため、カタルーニャ州の自治停止の提案は承認される可能性が高いです。


 自治停止とは、具体的には州議会の解散と、前倒し選挙などになるとのことです。


 カタルーニャの独立騒動の記事を見るたびに、わたくしは日本における「ある政策」が頭をよぎるのです。すなわち、道州制です


                                     


 道州制とは日本を複数の道もしくは州に分割し、現在の都道府県より高い地方自治権を与える構想になります(北海道のみ、そのまま)。各道州が、中央政府のコントロールから離れ、独立した道州として自治を行うのです


 一見、良さそうな政策に思えたりもするのですが、道州制構想の基本には「自己責任」があります。すなわち、各道州は自らの地域から徴収される税金のみで行政を提供しなければならないのです。現在の地方交付税は廃止され、各道州は全て自前の税収で、行政サービスの支出を賄うことになります。


 問題は、現時点で日本の各都道府県には、生産性について圧倒的な格差があるという点です。分かりやすく書くと、生産性が高い「東京」を取り込んだ道州は、間違いなく勝ち組になるという話でございます


 ただでさえ人口や企業が集まっている東京圏が、「東京州」として独立すると、地元のために使える税収は間違いなく増えます。何しろ、地方交付税として各地に配分されていた税金まで、東京州のために使えるのです。


 というわけで、東京のインフラはますます充実し、公共サービスも強化されていきます。充実したインフラや公共サービスを目指し、全国各地から陸続と人間や企業が集まり、ますます税収が増えるという好循環になるでしょう。


 逆に、生産性が低い地域を取り込んだ負け組の道州はどうなるのか。


 生産性が低いとは、所得が小さいという意味になります。税金は所得から支払われる。所得が小さい道州は、当たり前ですが税収が極端に不足する状況になり、インフラ整備も公共サービスの提供も困難になっていきます。


 インフラがボロボロで、修理もされない。医療サービスや介護サービスが劣悪で、警察や消防といった基本サービスすら、まともに提供されない


 当たり前ですが、負け組の道州から人々は次々に「東京州」へと移っていくことになるでしょう。東京は人口と税収が増え、インフラ整備や公共サービスの充実が進む。反対側で、負け組の道州からはひたすら人口が流出し、貧困化していく。


 日本が勝ち組道州と、負け組道州に二極化し、勝ち組の道州は支援を求める負け組道州に対し、
「自分たちは努力したから勝ち組になった。負け組の道州は甘えている!」
 などと、傲慢な思いを抱き、ナショナリズムが壊れていくことになるわけです


 世界屈指の自然災害大国で「ナショナリズム」が破壊されると、我々は「次なる災害」を生き延びることはできません


 要するに、道州制は地方自治の「小さな政府版」なのです。中央から地方に対する支出を減らし、各自治体に「自己責任」を要求。負け組の自治体は「潰す」という前提になっており、国家全体で成長し、安全保障を強化するという「国家の責務」を放棄する政策です。


 さて、今回の総選挙。道州制を「公約」として掲げた政党があります。希望の党です。


 もっとも、自民党の地方創成策にしても、各地方自治体に「競争」させ、勝ち組には地方交付税を厚く配分。負け組の地方は自己責任で切り捨てという点で、道州制に近い発想なのですが。


 ちなみに、
「(地方間で)競争しろというのか、その通り。そうすると格差がつくではないか、当たり前だ。努力した自治体としないところを一緒にすれば国全体が潰れる
 と発言したのは、石破茂地方創成担当大臣(2016年当時)でした。
 
 特に、現在の日本はナショナリズムが瓦解する政策は絶対に採用してはなりません


 スペインの混乱は、道州制を採用した日本の未来です。

「ナショナリズムが瓦解する道州制に反対する」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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