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『失業率と実質賃金(後編)①』三橋貴明 AJER2017.9.26
https://youtu.be/a-seRvhJg5s
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月刊WiLL (ウィル) 2017年 11月号 に連載「反撃の経済学 なぜ日本の実質賃金は低迷しているのか?」が掲載されました。
さて、総理は「国難」について北朝鮮危機と「少子化」であると説明しています。
2016年の合計特殊出生率は1.44。2015年と比較すると、0.01ポイント低下しました。出生数も97万6979人と、戦後、初めて100万人を割ります。
日本の少子化の主因は、文句なしで「婚姻率の低下」になります。1970年代は10前後だった婚姻率(人口千人当たりの婚姻件数)が、2014年に5.1まで下がり、2015年も同じく5.1。
なぜ、結婚が減っているのか。
18歳から32歳までの未婚者を調査すると、「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合は、男性が85.7%、女性が89.3%。実は、この値は他の先進国と比較して「高い」数字なのです。
日本の若い世代の結婚願望は、決して低くありません。それにも関わらず、結婚が増えない。
理由はもちろん、所得水準が下がっていっているためです。
【日本の20代・30代の所得分布(1997年と2012年)】
http://mtdata.jp/data_57.html#2030
上記の通り、「問題の年」である1997年と比較すると、20代、30代の所得分布は、明らかに左にシフトしてしまっています。
特に、97年時点で年収500万円~699万円の30代が25%近くいたのに対し、2012年には15%に落ち込んでしまっているのには驚かされます。
と言いますか、97年は30代において最も所得分布が集中しているのが、500万円から699万円だったわけです。それが、2012年には300万円から499万円。
この惨状で結婚や出産が増えたら、むしろ奇跡でございます。日本の若い世代にとって、出産どころか結婚そのものが「贅沢品」になってしまっているのです。
2013年以降は、さらなる実質賃金の低下に見舞われましたので、当然ながら所得分布はさらに左に移っているでしょう。
安倍総理が本気で少子化が「国難」であると考えているならば、20代と30代の所得分布を「右にずらす」必要があるのです。
無論、名目で上げればいいという話にはなりません。給料の額面の上昇率が、物価の上昇を上回る実質賃金で所得を引き上げていかなければならないのです。
というわけでで、17年8月の実質賃金(速報値)が発表になりました。
【平成29年8月の実質賃金(速報値)】
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/29/2908p/2908p.html
現金給与総額:対前年比0.1%
きまって支給する給与:対前年比▲0.2%
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現金給与総額は辛うじてプラス化しましたが、わたくしが重要視している「きまって支給する給与」はマイナスに落ち込んでしまいました。
【日本の実質賃金の推移(対前年比%)】
http://mtdata.jp/data_57.html#JC1708
ちなみに、2016年に実質賃金が上がっているのは、賃金の上昇というよりは、物価の下落によるものです。
2017年は物価の下落は止まりつつあるのですが、名目賃金が伸びないため、きまって支給する給与は昨年9月を最後にプラス化したことがありません。
日本国民の貧困化は継続中です。所得分布が左にずれていっているのです。
少子化を本気で国難と思うならば、まずは実質賃金の低下に歯止めをかけなければなりません。
具体的には、政府の需要創出と生産性向上、そして労働分配率の規制です。この種の間違いなく効果がある「少子化対策」を実施せずに、「消費税の使い方の見直し」が少子化対策などと言われても、
「あ、どうせ、それでは解決しませんから」
と、断定せざるを得ないのです。
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