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『第零次グローバリズム(後篇)①』三橋貴明 AJER2017.8.22

https://youtu.be/-5uKaphgykI
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 日本経済新聞が、安倍総理が2019年10月の消費税率引き上げに際し、

〇 1兆円超を教育などの充実策に振り向ける
〇 基礎的財政収支(以下、PB)黒字化目標の先送り


 の検討に入ったと報じています。


財政黒字化目標先送り 消費増税、教育に1兆円超 
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS19H5E_Z10C17A9MM8000/
 安倍晋三首相は2019年10月の8%から10%への消費増税の増収分のうち、1兆円超を教育などの充実策に振り向ける検討に入った。幼児教育の無償化などの財源を大胆に確保し、教育環境を整える狙いだ。財政再建にまわる税収が減るため、20年度としてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標の達成も先送りする意向だ。25日にも表明する。(後略)』


 消費税率を8%から10%に引き上げると、デフレが深刻化せず、他の税収が減らないという前提で、増収分が5兆円台半ばになる見込みです。政府はそのうち約4兆円を「国の借金」の返済に充て、1兆円分を医療、介護といった社会保障の充実に回す予定でした。


 安倍総理は、負債返済分の4兆円のうち、1兆円を教育に回す。結果、PB黒字化目標を先送りせざるを得ない。財政規律の緩み、一段と!


 という記事なのですが、もはやどこから突っ込めば良いのか分からないのです、全部突っ込みます。


                  


(1) 消費税増税分は社会保障充実ではなく負債返済に回されてきた 


 そもそも「税と社会保障の一体改革」は、「社会保障の安定化のために消費税増税を」という議論だったはずです。少なくとも、国民はそう理解していました。


 ところが、現実には消費税増税分の多くは負債返済に回されました。結果、PBの赤字は縮小しましたが、その分、日本経済にはマイナス成長の圧力がかかり、2016年以降、我が国の経済は再びデフレ化しました。


【日本の基礎的財政収支(十億円)の推移】

http://mtdata.jp/data_57.html#PB


 図の通り、安倍政権は14年、15年とPB赤字を強引に圧縮しました。具体的には増税し、政府の支出を切り詰め、負債を返済したわけです。


 結果的に、日本の需要は不足し、16年に再びデフレ化。税収が減ったため、またもやPB赤字は拡大に転じてしまいます。


 デフレの国は税収が伸び悩むため、当然ながらPB赤字は拡大します。


 一度、14年に「完全に間違えた」にもかかわらず、またもや同じことをする。頭が悪いというよりは、頭が「おかしい」と表現した方が適切でしょう


(2) 教育への支出は「投資」である

 教育への支出は「投資」です。将来の日本国民の生産性を高めるための「人材投資」こそが、教育なのです。
 そうである以上、普通に国債を発行すればいいものを、結局は「増税による教育支出」というわけで、「子ども保険」と発想が変わりません


(3) そもそも、PB黒字化目標がナンセンス 


 財政健全化の定義は「政府の負債対GDP比率の引き下げ」であり、他にはありません。もちろん、PB黒字化でもありません。


 それにも関わらず、BP黒字化目標の破棄すらできず、達成期限の延期。地獄の苦しみが長引くだけですね


 しかも、PB黒字化目標先送りと「引き換え」に、消費税増税の決定。悪夢です。


 さらに、PB黒字化目標達成時期の延期を、マスコミが、
PBのさらなる悪化は不可避」(日経新聞の記事より引用)
日本の財政への信認を毀損する恐れがある」(同)
 と、批判する。


 ここまでくると、もはや悲劇ではなく、喜劇でございますね


 今回の解散総選挙は、民進党の前原代表が「消費税増税+社会保障充実」が持論であるため、そこに乗っかる形にし、増税路線について「国民の信任を得る」ことが目的としか思えないのです。というか、十中八九、そうなのでしょう。


 結局、我が国は安倍政権にしても「財務省主権国家」からは逃れられず、このまま小国化していくことが確定的になって参りました。


 来月に行われるであろう総選挙は、まさに「希望なき選択」の選挙となりそうです。
  
「安倍政権の増税・緊縮路線に反対する」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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