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『プライマリーバランス黒字化というという毒針(後篇)①』三橋貴明 AJER2017.7.25
https://youtu.be/5G_x11KDpKE
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間もなく、月刊三橋から「真・日本近代経済史 日本近代の歴史は、グローバリズムとの戦いだった」というタイトルのコンテンツをリリースするのですが、日本に限らず、世界の近代経済史は「国民主義 対 グローバリズム」の戦いの歴史でした。
ここでいうグローバリズムとは、定義的な「モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由化」に加え、個人の利益最大化に至上の価値観を置く抽象的な概念も含まれています。
世界の歴史は、クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸に到達し、ヴァスコ・ダ・ガマが喜望峰ルートでインドに到着した時点から、激変を始めました。それ以降、経世済民、国民主義、人権、人道等を無視し、「利益最大化」を目指す欧州人(ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスなど)の欲望が、世界の歴史を動かすようになってしまったのです。
興味深いことに、同時に世界のおカネに関する価値観、すなわち「貨幣観」は、本来の「債務と債権の記録」から、金属主義の色合いが強くなってきました。それはまあ、欧州の人々が香料諸島(現インドネシアのモルッカ、バンダ諸島)からスパイスを買い付ける際には、「国内で譲渡性が保障されている債務と債権の記録」たるおカネで交易はできません。
当然ながら、グローバリズムの世界における「おカネ」は、共通に「価値がある」と認められる金、銀に集約していくわけです。金や銀により金貨、銀貨を鋳造できる国が、当初は有利な位置に立ちました。
すなわち、アメリカ大陸で先住民を奴隷化し、鉱山から金や銀を収奪していったスペインやポルトガルになります。
特に、ポルトガルはヴァスコ・ダ・ガマ以降、他の西欧諸国に先駆け、香料諸島に拠点を築き、スパイス貿易を独占しようと図りました。(後に、オランダに権益を奪われてしまいました)
ポルトガル人は交易先をマカオ、マニラと拡大していき、ついに1543年(1542年説もあり)に日本国の種子島に漂着。日本の「南蛮貿易」が始まります。
その後、日本は秀吉の伴天連追放令を経て、江戸幕府が交易相手をオランダ、清国に限定する鎖国令を発令。1853年、ペリーが黒船の艦隊を率いて襲来するまで、グローバリズムの悪影響を排除することに成功します。
とはいえ、明治維新により、日本は「再び」グローバリズムにビルトインされてしまいました。
その時点では、香料諸島はオランダの支配下になり、インドからビルマ、マレーシアにかけてはイギリス領、インドシナはフランス領、フィリピンはアメリカ領と、清帝国は次第に欧米の支配下に入りつつあり、日本とタイを除くアジアの国々は、ことごとくが欧米の「植民地」として、彼らの「利益最大化」のために国民(というか、住民ですが)の利益が阻害されるシステムが完成していました。
その延長線上に、大東亜戦争があるわけです。
大東亜戦争の発端は、自己利益最大化を目指した欧米諸国のグローバリズムであり、他にはありません。1543年のポルトガル人漂着から、1945年の大東亜戦争敗北までの我が国の歴史は、連続性があるわけであり、大東亜戦争のみをクローズアップして語ることは、ナンセンスな上にナイーブ(幼稚)です。
興味深いのですが、現在の日本では、大東亜戦争を正当化する割に、現在進行形でグローバリズム路線を突き進む安倍政権を擁護しようとする「保守派」の論客が少なくありません。
何にも、分かっていないなあ・・・・。。
1453年から2017年までの日本の歴史は、「国民主義 対 グローバリズム」という観点では完全に連続しており、安倍政権が日本国民の経世済民を妨害するグローバリズム路線に立っているからこそ、わたくしは批判しているわけでございます。
安倍総理大臣は、南蛮貿易の時代に日本人をさらってマカオや東インド、アルゼンチンやポルトガル本国に奴隷として売り飛ばしたポルトガル人らと「同じ思想」に立脚しているのです。
安倍総理に代表されるグローバリストに「いかに立ち向かうか?」が、現在の日本人に問われているわけであり、この問いは1453年以来、日本人が悩み、苦しみ、逆らうべくあがき続けた道であることを知らなければなりません。
我々の苦難は、別に今始まったわけでも何でもないのです。
『英 EU離脱後も一時的な関税同盟提案へ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170816/k10011101171000.html
イギリス政府はEU=ヨーロッパ連合からの離脱をめぐって貿易分野における交渉の方針を発表し、離脱のあとイギリスが目指すEUとの新たな自由貿易協定に移行するまでの間、経済的な混乱を避けるため一時的な関税同盟を結ぶことを提案する考えであることがわかりました。(後略)』
もっとも、グローバリズムを是正するとはいっても、いきなり「鎖国しろ」と極論を言いたいわけではありません。
その国には、その国なりの「グローバリズムとの距離の置き方」というものがあるはずで、それを追求することを責めることは、いかなる国にもできないという話です。
イギリスは、EUと「関税は自由貿易。その他は制限」という道を求めています。何度も書いていますが、ドイツやフランスは対イギリスで貿易黒字である以上、イギリスの提案はWin Winです。
イギリスは、関税関連ではこれまで通りの条件で交易する。それ以外では、ヒトの移動は制限し、イギリス国民の主権を回復する。
これで構わないと思うのですが、EU=グローバリズムを至高の善とするEU諸国にとっては、それでは済まないのです。
毎度毎度、グローバリズムを始めるのは、常にイギリスです。そのイギリスが、今やグローバリズムの国際協定たるEUから離脱しようとしている。
この現実を踏まえ、我々日本国民は、過去に「第零次グローバリズム(1453年から鎖国まで)」「第一次グローバリズム(イギリスの金本位制採用から、1931年まで)」「第二次グローバリズム(1979年のサッチャー政権発足から現代まで)」と、三回のグローバリズムに翻弄されてきた史実を基に、
「経世済民を達成するためには、どうしたらいいのか?」
を、真剣に考えなければならないと確信するわけでございます。
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