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『プライマリーバランス黒字化というという毒針(後篇)①』三橋貴明 AJER2017.7.25

https://youtu.be/5G_x11KDpKE
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 安全保障の肝は、○○は起きえない、と勝手に決めつけることなく、現実に可能な範囲で「想定」を大きくし、それに備えることです。


 大地震は発生しない。津波は来ない。
 台風や豪雨でも、水害土砂災害は発生しない。堤防は決して決壊しない。
 外国は自国が天候不順で不作になったとしても、必ず日本に必要な食料を輸出してくれる。
 全農がカーギルの手に落ちたとしても、「カーギル全農株式会社」は未来永劫、日本国民のことを思って行動してくれる。
 ペルシャ湾は常に平和で、マラッカ海峡や東シナ海が航行不能になることはなく、日本は常にエネルギーを外国から輸入できる。
 運送業者が外資系だらけになっても、物流はいかなる状況でも維持できる。


 北朝鮮は、日本に向け核ミサイルを絶対に発射しない
 
 そんなわけがないでしょ。非常事態は、いつでも起きえるのです。


 少なくとも、アメリカは「起きえる」という前提で行政が動いています。


北朝鮮の核兵器攻撃も想定 グアムが緊急ガイドライン
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170812/k10011097821000.html
 北朝鮮がグアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射を検討していると発表する中、グアムの当局は、核兵器による攻撃も想定して住民にさまざまな準備をしてもらうための緊急のガイドラインを発表し、警戒を強めています。
 北朝鮮がグアム島周辺に向けた弾道ミサイルの発射を検討していると発表する中、グアムの当局の情報センターは11日、核兵器による攻撃も想定した緊急のガイドラインをウェブ上に発表しました。
 ガイドラインでは、人々が攻撃された際に屋外にいた場合、失明する可能性があるためせん光や火の玉を直視しないことや、頭を抱えて地面に横たわること、それに放射性物質による体への影響を防ぐため、汚染された衣服を直ちに脱ぐことなどを呼びかけています。(後略)』


                                       


 グアムの行政が動いている以上、「コスト」がかかります。とはいえ、国民の生命は「おカネ」よりも大切であるという、極々当たり前の認識を、グアム行政府は持っているわけですね。 


 もちろん、グアム当局が北朝鮮に対する備えをしたとしても、ミサイルは発射されないかも知れません。発射されたとしても、領海外に落下するかも知れません。さらには、核を搭載している可能性は極めて低いです。


 それでも、「国民」を守るために、コストを費やしても動くのが「国家安全保障」というものです。なぜならば、万が一、いや兆が一、北朝鮮がグアムに核ミサイルを撃ち込んだ際の被害は、取り返しがつかないためです。


 人命が地球よりも重いかどうかは知りませんが、「おカネ」より重いのは確かだと思います。


 上記を理解すると、おカネに至上価値を置くグローバリズムと、国家安全保障が極めて相性が悪いことが理解できるはずです。


 グローバリズムのテーゼによれば、政府は小さければ小さいほどいい、財政は緊縮でなければならない。なぜなら「おカネがもったいないから」という話になります


 とはいえ、もったいないおカネの使い方をしても確立しなければならないのが、国家安全保障なのです。


 少なくとも、我が国では大地震は発生し、津波も襲来するのです。
 台風や豪雨で、水害土砂災害が頻発します。堤防は決壊し、大洪水が起きます。
 外国が天候不順で不作になった場合、日本国民は飢えて死ぬのです。
 全農がカーギルの手に落ちた時点で、日本の食料安全保障は崩壊し、亡国なのです。
 ペルシャ湾、マラッカ海峡、東シナ海。いずれの海域も、いつタンカーが航行不能になるか分からないというのが現実です。
 運送業者が外資系だらけになった日には、大規模自然災害の際に被災者が見捨てられます。
 北朝鮮は、日本に向け核ミサイルを発射するのです。


 その前提に立ち、「現実的に取りうるあらゆる手段」を講じるのが政府の仕事であり、国家安全保障なのです。


 もっとも、現実の日本は緊縮思想に洗脳され、日本がすでに「安全ではない」という事実から目をそらし続けています


 現在の日本は、デフレという総需要不足に苦しんでいます。そして、政府による安全保障の強化は、もちろん「需要」に該当します。


 日本は防衛、防災、防犯、食料、エネルギー、医療、物流といった安全保障強化のために政府が支出をすることで、デフレ脱却と安全保障確立と「二兎」を捕まえることができるのです


 それにも関わらず、やらない。緊縮財政至上主義により、最低限、必要な安全保障に対してすら、支出を絞る。


 挙句の果てに、
「敵国がミサイルを撃つことも、自然災害が発生することもないよ。心配し過ぎだなあ(笑)」
 と、目の前の危機から目をそらし続ける。


 これで、亡国に至らなかったら、そちらの方が不思議でございます。


 日本には、「クニノシャッキンデハタンスル~ッ!」といった危機は存在しません。とはいえ、防衛をはじめとする各種の安全保障が脅かされているという危機は、確実に存在するのです。


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