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『プライマリーバランス黒字化というという毒針(後篇)①』三橋貴明 AJER2017.7.25

https://youtu.be/5G_x11KDpKE
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 高松にいます。いつ来ても、
「良いところだなあ・・・」
 と、嘆息が漏れる街でございますね。


 つくづく、新幹線が欲しい・・・。


 さて、6月の実質賃金が大きく下がってしまいました


6月の実質賃金0.8%減=下落幅2年ぶり
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017080400285&g=eco
 厚生労働省が4日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、現金給与総額(名目賃金)の伸びから物価変動の影響を差し引いた実質賃金は前年同月比0.8%減と3カ月ぶりのマイナスになった。夏のボーナスが前年割れした影響で、下落幅は2015年6月以来、2年ぶりの大きさとなった。』


 対前年比▲0.8%というのは、ボーナス含めた現金給与総額であるため、より重要な「きまって支給する給与」も併せて見てみましょう。


【日本の実質賃金(2015年平均=100)の推移(対前年比%)】

http://mtdata.jp/data_56.html#JC0617


 2016年の実質賃金がプラス化しているのは、物価がマイナスになってしまったためです。実質賃金とは、名目賃金から物価の上昇を控除し、計算されます。2016年に日本経済は再デフレ化し、皮肉なことに実質賃金がプラス計算されてしまったのです。


 逆に、現在の実質賃金の低迷は、名目賃金の伸びがわずかでしかなく、物価上昇に追い付かないために起きています。


 特に、「きまって支給する給与」は、2017年1月以降、六カ月連続で対前年比マイナスに陥ってしまっています。


 「きまって支給する給与」の名目値(金額)を見ると、一応、平均で0.29%ほど、対前年比でプラス化しています(17年6月は+0.4%)。とはいえ、物価の上昇には追い付かず、実質値ではマイナスが続いているのです。


 もちろん、現在の日本の物価上昇率は、コアCPIで+0.4%、実質賃金を計算する際に使う「持家の帰属家賃を除く総合」で+0.5%と、デフレ脱却にはほど遠い状況です。そのわずかな物価上昇にすら、名目賃金の伸びが追い付かないため、実質賃金がマイナスになっているというわけでございます。


 まさに、「停滞」という表現がしっくりきます


                                  


 ちなみに、実質賃金の低迷を受け、厚生労働省は、
「基本給が伸びているため、賃金は基調として増加傾向にある」
 とコメントしています。基本給とは、恐らく「きまって支給する給与」を意味するのでしょうが、実質賃金のマイナスとは、ミクロでは、
国民が買えるモノやサービスが減っている」 
 ことを意味します。すなわち、日本国民の貧困化は未だに続いているのです。


 国民が貧困化している状況で、「賃金は基調として増加傾向」も何もあったものではありません。


 マクロの視点では、実質賃金の低迷は「生産性が伸びていない」ことそのものです。そして、なぜ生産性が伸びないのかといえば、もちろん需要が不足しているためです

 需要が不足しているからこそ、生産性を伸ばす投資をする「必要がない」わけでございます。


 というわけで、政府は早急に「需要創出のための財政出動」に乗り出す必要があります。西田昌司参議院議員が、先月のJCのサマーコンファレンスや、『真アベノミクスを求める要望書』で提言した通り、
政府が積極的に財政出動をせずに民間に積極投資を期待するのは無理があった
 のです。


 一応、麻生財務大臣は、8月3日の内閣改造後の会見で、
「(個人や企業が資金を活用しない中)政府支出が1番大きく期待される
「(マイナス金利政策下で、生産性の向上につなげるために)有効需要を作り出していくという面で財政を使わないといけない」
 と語っています。


 とはいえ、政府支出による有効需要創出のためには、とにもかくにもプライマリーバランス黒字化目標を破棄しなければなりません


 安倍政権には、自分たちが国民をひたすら「貧困化」させていっているという現実を認め、PB黒字化目標の破棄を決断して頂きたい。PB黒字化目標を維持したまま、「政府支出による有効需要創出」などと言われても、全く信用できません。


「政府はとにもかくにも早急にPB目標を破棄せよ!」に、ご賛同下さる方は、

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