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『プライマリーバランス黒字化というという毒針(後篇)①』三橋貴明 AJER2017.7.25

https://youtu.be/5G_x11KDpKE
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地上 2017年9月号 」に、「わが国は、あらゆる面で「安全保障」の崩壊に向かっている。それが実態です」を寄稿しました。


幸いな人 2017年7月号 」に、「アジアの火薬庫、朝鮮半島」を寄稿しました。


 日本国の小国化、発展途上国化の始まりは、90年代の大蔵省(当時)の「お小遣い帳」発想でした


 日本は91年のバブル崩壊により、総需要(消費と投資)が不足気味になりました。同時に、高齢化により日本政府の社会保障支出が増大する見込みでした。


 政府が高齢化や社会保障支出を「気にせず」に、普通に医療費、年金、介護費としての支出を増やしていけば、我が国の需要不足は終わったでしょう。もちろん、バブルが崩壊し、名目GDPと税収が減っていた、財源として赤字国債を発行する必要がありますが、逆に言えばただそれだけの話です。


 90年代後半の日本政府が、大蔵省の「お小遣い帳」発想を排除し、「国の借金で破綻する」系のプロパガンダに騙されず、普通に赤字国債を発行し、高齢化により必要となった医療、年金、介護への支出を増やしていけば、我が国のデフレギャップ(総需要の不足)は埋まったはずなのです。結果的に、日本はデフレにならず、GDPは今頃、普通に1000兆円を超していたでしょう。


社会保障給付費114兆円超で過去最高
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170802/k10011083861000.html
 平成27年度に年金や医療、介護などに支払われた社会保障給付費は高齢化の進展などの影響で、前の年度よりおよそ2兆7000億円増えて、114兆8000億円余りとなり、過去最高を更新しました。
 国立社会保障・人口問題研究所のまとめによりますと、平成27年度の社会保障給付費は114兆8596億円で、前の年度より2兆6924億円、率にして2.4%増え、過去最高を更新しました。
 国民1人当たりでは90万3700円となり、前の年度より2万2200円、率にして2.5%増えました。
 分野別では最も多い「年金」が54兆9465億円、次いで「医療」が37兆7107億円、介護などの「福祉そのほか」が22兆2024億円と、いずれも前の年度より増えました。(後略)』


 社会保障関係費が増えている。素晴らしいことじゃないですか(デフレの国にとっては)。医療、介護への支出は、そのまま「GDP=需要」になります。また、年金受給者が消費を増やせば、これまた需要拡大です。


 拡大する需要に、政府が淡々と支出をすれば、日本の需要不足は解消され、デフレ脱却に向かいます。この状況は、90年代から全く変わっていません。


 ところが、現実には大蔵省主導の「財政破綻プロパガンダ」が始まり、日本国は1997年に橋本政権下で「財政構造改革の推進に関する特別措置法」を可決。悪夢の緊縮路線が始まります。


                              


【財政構造改革の推進に関する特別措置法】
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO109.html


 具体的には、財政赤字対GDP比を、毎年3%未満にする(第四条)。


 高齢化に伴う社会保障関係費の増加額をできる限り抑制する(第七条)。


 平成十年度の公共投資関係費について、平成九年度当初予算における公共投資関係費の額の93%を上回らないようにする。平成十一年度、十二年度については、公共投資関係費の額が前年度の当初予算における公共投資関係費の額を下回るようにする(第十四条)。


 義務教育に対する一般会計の負担及び私立学校に対する助成等の在り方について見直し、抑制する(第十六条)。


 防衛費の額が、前年度の当初予算における防衛関係費の額を上回らないようにする(第二十条)。


 主要食糧関係費の額が、前年度の当初予算における主要食糧関係費の額を上回らないようにする(第二十四条)。


 科学技術振興費の額が、平成九年度の当初予算における科学技術振興費の額の105%を上回らないようにする(第二十六条)。


 エネルギー対策費の額が、前年度の当初予算におけるエネルギー対策費の額を上回らないようにする(第二十九条)。


 中小企業対策費の額が、前年度の当初予算における中小企業対策費の額を上回らないようにする(第三十一条)。


 人件費(国家公務員以外の者に係る人件費に対する国の補助及び負担に要する費用を含む。)の総額を極力抑制する(第三十二条)。


 地方への補助金等の額の各省各庁の所管ごとの合算額が、前年度の当初予算の90%を上回らないようにする(第三十五条)。
 
 などなど、「財政構造改革の推進に関する特別措置法(以下、財政構造改革法)」により、社会保障関係費を除く全ての予算に「マイナスシーリング(前年比で引き下げること)」がかかるようになってしまいました。さらに、社会保障関係費自体も、支出の伸びを抑制することが求められたのです。


 上記の「財政構造改革法」により、我が国は公共投資、教育費、防衛費、食料安全保障費、科学技術振興費、エネルギー対策費、中小企業対策費、各種人件費、地方の補助金と、国家の基幹に関わる分野で悉く「予算削減」が続く事態になりました。結果、日本は小国化し、発展途上国化します


 お分かりでしょうが「財政構造改革法」の発想、つまりは「お小遣い帳発想」を受け継いでいるのが、プライマリーバランス黒字化目標になります。


 「社会保障給付費114兆円超で過去最高」の報道を受け、日本国民の多くは「お小遣い発想」で、
このままでは国の財政が破綻する! 増税だ! 政府支出削減だ!
 と、緊縮財政を支持することになるでしょう。


 国家は外国の軍事力よりも、むしろ国内の情報の誤りにより滅びるという事実を、我が国は実証しているのです。


 財務省のお小遣い帳発想から脱却しない限り、我が国に未来はありません。


「財務省のお小遣い帳発想を打破せよ!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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