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『プライマリーバランス黒字化というという毒針(後篇)①』三橋貴明 AJER2017.7.25

https://youtu.be/5G_x11KDpKE
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 一昨日は八尾市、昨日は相模原市、本日は阿蘇市と、明後日は名古屋市と、相変わらず全国をグルグル回っております。


 先週土曜日、わたくしが今年のアドバイザーを務める日本青年会議所(JC)で、一年に一度の大イベント、サマーコンファレンス2017が横浜で開催されました。わたくしや西田先生が登場したシンポジウムの後に、「グローバリズムからの脱却」というテーマで、藤井聡先生、中野剛志先生がパネリストを務めるフォーラムが開催されました。


【グローバリズムの脱却 経済再生フォーラム 講師 藤井聡 中野剛志】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm31626198


 上記のフォーラムにおいて、中野先生が非常に印象的なことを仰っていました。


 グローバリズムとは、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化し、国内においては(藤井先生が指摘された通り)構造改革、規制緩和、緊縮財政を推進。政府を「小さくする」ことで、国家の主権を弱体化させていくスキームになります。


 民主主義国家においては、中野先生の解説通り、「国家主権」とは、国民主権であり、同時に民主主義でもあるのです。グローバリズムとは、各国の民主主義を破壊する仕組みなのでございます。


 なぜ、グローバリズムにより民主主義が壊れるのか。


 一つは、所得格差の拡大です。所得格差が拡大すると、「所得上位層」の政治力が肥大化します(現在のアメリカのごとく)。すると、結局は所得上位に都合がいい政治が行われるようになってしまい、民主主義が形骸化します。


 採図社から刊行した「生産性向上だけを考えれば日本経済は大復活する シンギュラリティの時代へ 」において、シンギュラリティ(ハイパーデフレーション)の時代が必ずしもハッピーな社会にならないと解説した理由は、まさに「政治力」です。


 第五次産業革命(シンギュラリティ)後、生産者の生産能力が極大化し、一般の人々はベーシックインカムで暮らすようになった社会において、特定の生産者と一般人の間の政治的パワーの差は、やはり極大化します。結果的に、ベーシックインカム組は「下層階級」として生きざるを得なくなり、社会は二極化するでしょう


 現在のアメリカでは、所得上位1%層(実際は0.1%層のようですが)が、代表的ぶがウォール街がワシントンを乗っ取り、自分たちに都合がいい政治を行わせています


 グローバリズムは、民主主義を敵視すると書きました。それはまあ、「自分に都合がいい政治」を強引に推し進めたいのであれば、民主主義は邪魔です。 


 だからこそ、アメリカではロビイストが、日本では○○会議に乗り込んだ民間議員と称する民間人が権力をふるい、政策を決定できるスキームを構築するわけです。


 グローバリズムとは、民主主義を破壊するスキーム。グローバリズムに支配された世界では、民主主義がグローバリズムに支配されているが故に、民主主義でグローバリズムを修正することができない


 これが、現在の世界が抱えている不整合ですが、日本国では、不思議な状況になっています。


              

 

加計学園 獣医学部新設 問題の真相どこまで明らかに?
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170725/k10011074361000.html
 2日間にわたり行われた衆参両院の予算委員会。加計学園の獣医学部新設をめぐる問題の真相はどこまで明らかにされたのでしょうか。
◆“加計ありき”だったのか
 最も注目されたのが獣医学部新設の選定過程が加計ありきでなかったかどうかという点です。政府側は今回の予算委員会でも、獣医学部新設の選定は第三者の民間委員が入った国家戦略特区諮問会議が「一点の曇りなく行った」とその適切さを改めて強調しました。
 安倍総理大臣もみずからが加計学園の獣医学部新設について知ったのは加計学園が事業者に決定したことし1月20日だったと答弁しました。
 これに対し、野党からは一斉に反発の声が上がりました。特に指摘されたのは過去の総理自身の答弁との整合性についてです。
 例えば先月16日の参議院の予算委員会で、安倍総理大臣は社民党の福島みずほ議員から加計学園が獣医学部新設を目指しているのを知ったのはいつかと問われた時、構造改革特区において、加計学園が申請していたことは知っていたとしたうえで、「国家戦略特区に申請すれば私の知り得るところになる」と答弁していました。
 しかし、構造改革特区の時点から知っていたとすれば平成19年度また、国家戦略特区に加計学園が事業者として申請した時点であれば知ったのはことし1月10日ということになり、いずれも24日の答弁とは食い違います。結局、安倍総理大臣は「加計学園と今治市とで、少し混同があった」と述べて、過去の答弁を修正するとともに陳謝しました。(後略)』


 加計問題が面白いのは、総理がたとえ加計孝太郎理事長と個人的関係が深く(深いです)、加計氏に便宜を図るつもりで加計学園における獣医学部新設を文科省に「示唆」したとしても、それは国家戦略特区法上、「合法」という話です。


 何しろ、国家戦略特区とは、内閣総理大臣主導で、特区における規制改革を推進するという制度なのです(そのように書かれています)。本来、安倍総理は、
「加計学園の獣医学部新設は、わたくしがGOを出しました。何か問題が? だって、合法でしょ?」
 と、国会で答弁しても、一向に構わないのです。


 ところが、現実には「自分との関係の深さゆえに、加計学園の獣医学部新設を認めた」とは言えないため、答弁が二転三転し、なぜか追い詰められる事態になりました。


 そもそも、加計学園が獣医学部新設を言い出したのは、小泉政権時代の「構造改革特区」の時代からなのです。しかも、その後、安倍総理は加計理事長と何度もゴルフ、会談をしており、「加計学園の獣医学部新設を望んでいる」という理事長の意向を「知らない」などと言われても、誰も納得しないでしょう。


 とはいえ、繰り返しますが総理が加計理事長の意向を知って、国家戦略特区における獣医学部新設を認めたとしても、合法なのです。


 それでは、済まない。


 という話なのです。少なくとも、今の日本では。


 グローバリズム、あるいはデフレ経済により、国民は貧困化し、心の内に鬱屈としたルサンチマンを溜め込んでいきます。結果的に、安倍総理の「依怙贔屓のグローバリズム」の方針は、結局は国民のルサンチマンを煽り、「自分」に矛先が向くようになってしまうという話です。


 本来、グローバリズムとは「戦争」によってしか解決しないものです。ところが、現実にはグローバリズムにより貧困化が進み、「国民のルサンチマン」が国内政治を混乱させ、非グローバリズム的な方向に向かう「可能性もある」という話なのでございます。


 グローバリズムは、「戦争」もしくは貧困化した「ルサンチマン」、もしくはそれによる政治混乱によって抑制がかかる可能性がある。という仮説を立てたのですが、いかが思われたでしょうか。


 ルサンチマンに基づく民主主義の「暴走」こそが、実はグローバリズムを抑制する「平和的な唯一の方法」ではないかという、救われない話です。


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