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『デフレ型経済成長①』三橋貴明 AJER2017.6.20
https://youtu.be/Lugmcy9cUfA
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ソーシャルレンディング最大手maneo代表の瀧本憲治様との対談シリーズ、第9回がリリースされました。
【お金とは何か?お金の正体を暴く!】三橋貴明氏に教わる 第9回
今回は「おカネよりも大事なモノ」についてお話しています(「愛」とかではありません)
「経済界 2017年 8月号 」に、連載「三橋貴明の深読み経済ニュース解説 デフレ型経済成長」が掲載されました。
本日は、長崎県大村市で講演なのですが、メインテーマはもちろん「九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)」!
『長崎新幹線、揺れる沿線…フリーゲージ「困難」
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170622-OYT1T50039.html
2022年度に開業予定の九州新幹線長崎(西九州)ルートについて、JR九州が車輪の間隔を変えられるフリーゲージトレイン(FGT)の導入は困難と判断していることが明らかになり、沿線自治体に波紋が広がっている。
FGTより所要時間が短くなる「全線フル規格化」を期待する声も上がるが、新たな財政負担への抵抗感は強く、FGT抜きでの開業を見据えた調整は難航しそうだ。
長崎市のJR長崎駅前。歩道橋に「2022年 長崎発進!」と新幹線開業をアピールする横断幕が掲げられている。
「全線フル規格化に向けた方針転換のチャンス。大規模な投資で将来的に優位なものを造るべきだ」。長崎県九州新幹線長崎ルート建設促進議連会長の八江利春県議は強調する。(後略)』
ようやくのことで、長崎新幹線のFGT導入が見送りになりそうです。JR九州は開発の遅れへの懸念に加え、複雑な車輪構造に伴う維持コスト高を、見送りの主な理由としています。
さらに、技術的な問題から、JR西日本もFGTの山陽新幹線への乗り入れを拒んでいます。
車輪を移動させるFGTは、最高速度が時速270kmに制限されてしまうのです。山陽新幹線は、最も遅い車両であっても最高速度は時速285kmです。
FGT車両を山陽新幹線に乗り入れさせると、博多-新大阪間の時短効果も薄れてしまい、ダイヤも大幅な変更を強いられることになってしまいます。
さて、記事にもありますが、FGTが実現したとして、博多-長崎間の時短効果は30分程度に過ぎません。それに対し、フル規格新幹線の場合は、博多-長崎間が55分と、一時間を切る可能性が高いです。時短効果は、56分です。
また、博多-佐賀間にしても、これまでと比較し14分間短縮され、22分程度になります。
時短効果に加え、経済効果も大きいです。博多-長崎間を全線フル規格で整備した場合の経済効果は、北陸新幹線を参考にするべきでしょう。
北陸新幹線を金沢まで延伸した際の経済効果は、日本政策投資銀行の事前試算では125億円とされていました。ところが、蓋を開けてみると678億円。事前試算の5.4倍に達したのです。
また、観光客の増加も凄まじく、同じく日本政策投資銀行の事前試算が32満人増だったのが、実際には258万人。想定の8倍を超える人々が、金沢に押し寄せました。
金沢の事例からもわかる通り、観光地として名高い都市に新幹線を接続すると、経済効果は事前予想を上回ります。長崎市の観光地としてのブランドが、金沢市に劣っているとは到底、思えません。
もっとも、フル規格での長崎新幹線整備は、佐賀県が「予算」を理由に拒否の姿勢を見せています。記事の後略部にありますが、FGT方式225億円が、フル規格の場合は800億円超と見込まれていることを受け、佐賀県は、
「関西などからの誘客が増えたとしても、道路整備予算の40年分にもなる金額を出せるわけがない」
と、反発の姿勢を見せています。
結局は、おカネ。おカネ、おカネ、おカネ。
現在の日本は、デフレという需要不足に苦しめられています。現実には、長崎新幹線に代表されるように、需要は「ある」のです。
ただ、政府がおカネを支出しようとしないからこそ、需要が「潜在需要」のままで埋もれているに過ぎません。
政府は博多-長崎間をフル規格で事業化し、工費は政府が負担することを検討するべきです。単に、佐賀県の負担が増えるだけとなると、フル規格新幹線での整備は難航せざるを得ません。
新幹線で博多を出発し、新鳥栖で特急に乗り換え、武雄温泉でまたもや新幹線に乗り換えるという、バカバカしいリレー方式を永遠に続けるわけにはいきません。
現在、日本政府は全国の新幹線整備に、わずか755億円しか国費を投入していません。
日本政府は、新幹線整備への国費投入700億円台枠を撤廃し、「必要な路線は速やかに整備する」形に方針を切り変えるべきです。何しろ、現在は全国の整備新幹線が「国費の順番待ち」をしている有様でございます。
北陸新幹線の新大阪延伸は、ようやくルートが決まりましたが、「順番待ち」のため、開通予定が何と2045年!
おカネ、おカネ、おカネ。
世界で最も財政余力を持つ日本政府が、ありもしない財政問題(おカネの問題)に足をとられ、基本インフラである新幹線の整備すらできない。日本国は、存在しない財政問題により、亡国への道を着々と進んでいっています。
とまれ、望してばかりもいられませんから、本日の講演では、とりあえず、
「九州新幹線西九州ルートをフル規格で!」
と、強く地元の皆様に訴えかけてきたいと思います。
「九州新幹線西九州ルートは全線フル規格で!」に、ご賛同下さる方は、
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