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『少子高齢化が日本経済を救う(後編)①』三橋貴明 AJER2017.5.30

https://youtu.be/onEQa07GWBM
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 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。


【Front Japan 桜】デフレを深刻化させる竹中指標 / ハケンの品格 / 南モンゴルクリルタイ代表・テムチルト氏 来日記者会見[桜H29/6/2]
https://youtu.be/8SDNpMAuRV4
http://www.nicovideo.jp/watch/1496385406


 政治というのは、わたくしにとっては本当に謎の世界で、「0 か 1」という問題があったとして、0.5という回答を返されたりするわけです。

 いわゆる、玉虫色ですが


『政府、「骨太方針」案を示す 幼児教育の早期無償化 基礎的財政収支目標は維持
http://www.sankei.com/politics/news/170602/plt1706020051-n1.html
 政府は2日開いた経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)で、経済財政運営の指針「骨太方針」案を示した。全世代への教育拡充など「人材投資」を柱に据え、保育所や幼稚園の費用を早期に無償化する方針を明記した。財政健全化は、基礎的財政収支を平成32年度までに黒字化する目標を維持した上で、国内総生産(GDP)に対する債務残高比率を安定的に引き下げる目標を併記し、より重視する姿勢を示した。骨太方針は与党との調整を経て、9日にも閣議決定する。(後略)』


 改めて、財政健全化の定義は、政府の負債(債務)対GDP比率の低下になります。


 2013年のG20サンクトペテルブルク首脳宣言において、
(1) 政府の負債対GDP比率の推移を持続可能なものにすべき
(2) 経済成長と雇用を促すべき
(3) 短期的な経済状況を勘案しつつ柔軟に実施されるべき
 と、三つが謳われました。


 日本は<政府の負債対GDP比>の改善という目標を達成するために、PBを2020年までの黒字化し、及び2020年以降の政府の負債対GDP比の安定的な引き下げることになりました。すなわち、目標はあくまで「政府の負債対GDP比率の引き下げ」なのでございます。


 とはいえ、デフレから脱却していない日本国が、PBを黒字化しようとすると、
「(国債関連費以外の)歳出を拡大する際には、別の予算を削るか、増税する
 という話になってしまい、「追加的な財政出動」による需要創出ができません。結果的に、我が国はいつまでたってもデフレから脱却できず、2014年の消費増税以降は再デフレ化が始まりました。


 というわけで、財政目標として「PB黒字化」を破棄し、「政府の負債対GDP比率の引き下げ」に変更するべきなのです。

 そして今回、PB黒字化目標が残ったまま、政府の負債対GDP比率の引き下げを「併記」し、より重視する「姿勢」の骨太の方針が閣議決定されることになりました。


 まさに玉虫色でございますが、PB黒字化目標を残したまま、政府の負債対GDP比率引き下げを併記するとは、論理的に矛盾があります。ちょうど、日本銀行が「金利目標」と「国債買入額」と、相いれない目標を掲げているのと同じです。


 政府の負債対GDP比率は、PBが均衡していると仮定すると、国債金利と名目GDPの成長率で決まります。現在の日本は、国債金利が超低迷しているため、「名目GDPの拡大」を実現すれば、政府の負債対GDP比率は確実に改善します。


 というわけで、名目GDPを引き上げるために、政府が需要創出をしようとすると、PB黒字化目標とぶつかります。需要創出のために財政支出を拡大するならば、その分、他の予算を削るか、増税が必要になります。


 逆に、PB黒字化目標を貫こうとすると、追加的な財政出動は不可能です。しかも、PBは未だ赤字でございますので、デフレ下で名目GDPが成長しにくい我が国は、金利が低迷しているとはいえ、政府の負債対GDP比率は上昇(悪化)することになります。

 特に、17年1-3月期の名目GDPが▲0.0%と縮小してしまい、GDPデフレータが対前期比▲0.6%というとんでもないマイナスになっていることを考えると、PB黒字化の追求が政府の負債対GDP比率を悪化させる可能性は濃厚だと思います。


 しかも、PB黒字化目標が問題視されていることを受け、「財務省派」の執拗な反撃が続いています。

「国と地方のPBを2020年度に黒字化させる目標について、旗を降ろすことは許されない」(5月25日 財政制度等審議会)
「2020年度までにPBを黒字化させる財政健全化の目標に変わりはない」(6月2日 麻生財務大臣)
「まだ不確実性はあるが、経済活力を高めながら、歳出と歳入改革によって(PB)黒字化にできるだけ早く持っていくというのが第一」(6月1日 経済財政諮問会議の伊藤元重学習院大学教授)
「PB黒字化の旗は降ろすべきではない」(5月22日 経団連の榊原定征会長)
「PB黒字化目標を変えるのは時期尚早だ」(5月30日 経済同友会の小林代表幹事)


 こんな状況で、骨太の方針に「PB黒字化目標」を残し、本当にデフレ対策が実施できるのか。はなはだ疑問です。


 政府が本気でデフレ脱却を目指すならば、PB目標は堂々と破棄しなければならないのです。

「政府はPB目標を堂々と破棄せよ!」にご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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