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『少子高齢化が日本経済を救う(前編)①』三橋貴明 AJER2017.5.23

https://youtu.be/qEAz82t1pRg
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 採図社から「生産性向上だけを考えれば日本経済は大復活する シンギュラリティの時代へ 」刊行となりました。



 5月24日に安倍総理が「サービス業の生産性向上」に向けた官民協議会「生産性向上国民運動推進協議会」の初会合を開いて以降、「生産性向上」がクローズアップされ始めました。理由は、もちろんサービス業の人手不足が深刻な問題になりつつあるためです。


 総理は、「生産性向上国民運動推進協議会」の冒頭で、
人手不足が経営者の最大の課題だ。乗り越えるには労働生産性の向上しかない
 と、強調しました。


 その通りではありますが、生産性向上で人手不足を解消するならば、「移民政策」は必要ありませんよね?

 ちなみに、「生産性向上だけを考えれば日本経済は大復活する 」の冒頭でも触れましたが、昨今、文明の礎たる生産性において、我が国は他国に後れを取っています。


 Wedge17年4月号に「さらば生産性後進国 解は効率化の先にある」という特集が組まれていました。もちろん、特集では日本国の労働生産性が「低い」ことを問題視しされていたわけですが、我が国の低い生産性はデフレの国における「必然」なのです

 理由は、生産性とは「労働者一人当たりの付加価値の生産量」を意味しているためです。


 付加価値の生産量とは、要するにGDPのことになります。労働生産性は、「一人の労働者が生産したGDP」によって計測されます。(※一人の労働者が一時間に生産したGDPで計算する場合もあります)

 デフレの国では、物価も確かに下がるのですが、それ以上の所得が縮小してしまうのです。GDP=付加価値=需要=所得が増えないのが、デフレ経済の特徴なのでございます。


 GDPが増えないデフレの国が、生産性を高めることなど、出来るはずがありません

 というわけで、実のところ政府によるマクロ面の生産性向上策は、「財政出動による需要創出」になるのです。つまりは、デフレ対策です。


 日本経済がデフレから脱却し、GDPが大きく拡大すれば、労働人口が増えていない以上、生産性は「向上した」と計算されることになります。


 もちろん、拡大する需要に対し、適切に供給するためには、ミクロ面の生産性向上が必須です。労働人口が増えない以上、ミクロ面の生産性向上なしで、需要を満たすことはできません

 というわけで、政府が本気でサービス業の生産性向上を望むならば、
「サービス業の生産性を向上させるインフラ投資、技術投資」
 を実施するべきなのです。インフラ投資や技術投資は、需要の拡大です。同時に、民間の生産性向上努力を助けます


 話は変わりますが、わたくしは「生産性向上だけを考えれば日本経済は大復活する 」において「文明と生産性」の話を書きたかったのでございます。


 文明の勃興には、何が必要なのか。もちろん、余剰農産物の生産です。農耕が進化し、農産物の生産量が拡大。「農耕以外に従事する人々」が増えていかなければ、文明は発展のしようがありません。つまりは、農業生産性が高いことが、文明発展に際した必須条件なのです。


 ところが、生産性向上は人口を増やし、エネルギーを枯渇させ、文明を崩壊に追い込みます

 かつて、中国の黄土高原で「中華文明」が栄えました。夏王朝時代は森林率が50%を超えていた黄土高原は、今は見渡す限りの砂漠です。


 黄土高原に、かつて森林地帯が広がっていたといわれても、信じる人はいないでしょう。とはいえ、黄河文明期の黄土高原が、今とは比較にならないほど緑豊かな地帯だったのは、考古学によって証明された事実なのです。そもそも、あれほどの砂漠地帯で、文明が勃興するはずがありません。

 黄土高原は、生産性向上により人類の文明が栄えた結果、「荒土高原」へと変わり果ててしまったわけです。


 生産性向上により文明は興隆し、生産性向上により文明は衰退する。「生産性と文明のジレンマ」と名付けました。


 生産性と文明のジレンマとは別に、文明は生産性低下と貧困化によっても衰退します。ここでいう「貧困化」とは、金銭的な話に加え、「発想」の話も含みます。


 カネ、カネ、カネ。カネにならないものは捨てられる。そんな社会において、文明が進化するはずがありません


 さて、現在の日本は未だにデフレで、生産性が向上しない、つまりは国民の実質賃金が上昇しない環境が続いています(マクロ的に、生産性向上=実質賃金上昇になります)。このままデフレーションが続くと、最終的に日本は「文明の衰退」に突入せざるを得ません


 デフレとは、国民の貧困化、財政の悪化、科学技術の衰退、インフラの崩壊、防衛力弱体化、社会保障の破綻、婚姻率の低下と少子化をもたらし、最終的に我が国を発展途上国へと導くと同時に、世界に冠たる日本文明を衰退期に追い込むのです。


 日本文明を繁栄する形で将来世代に引き継ぎたいならば、我が国は早期にデフレから脱却し、生産性向上と実質賃金の上昇、需要の拡大が循環する「成長する経済」を取り戻さなければならないのです。


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