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『移民政策のトリレンマ(前編)①』三橋貴明 AJER2017.3.21

https://youtu.be/GTYCRKe91j0                    

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 フランスの大統領選挙で、有力候補(マクロン元経済大臣、ルペン党首など)が、相次いで「徴兵制復活」について言及しています。目的は、もちろん最近の移民問題やテロを受けた、治安の強化です。

 欧州では、二十世紀末にはほとんどの国々で徴兵制が廃止されました。理由は、軍事技術が発展し、「労働集約的」な軍事力が意味をなさないと考えられたためです。


 無論、現在の軍隊は「専門家集団」であり、徴兵された兵士が貢献できるケースは少ないでしょう。とはいえ、国内の治安維持であれば、話は別になります


 「中国不要論 」でも取り上げた、スイス政府の「民間防衛ーあらゆる危険から身をまもる 」で特徴的なのは、
戦争と災害を同じ【緊急事態】として扱っている
 という点です。


 民間防衛の三分の一くらいは、緊急事態が発生した際の「負傷者の救助」「救命」「応急手当」にページが割かれています。徴兵制はともかく、自然災害大国である我が国も、
大規模自然災害が発生した際の対処法
 について、定期的に国民が訓練に参加するようにした方が良いように思えます。スイスの「民間防衛」の思想から言えば、当然の話になります。

 仮に日本が戦乱に巻き込まれることがなかったとしても、大震災は避けようがありません。そして、大震災発生時に我々がやるべきことと、戦禍に巻き込まれた際の対応は、ほぼ同じなのです。


 スイスの「民間防衛」は、この種の緊急事態から目をそらさず、現実的に、プラグマティックに受け止めている点もまた、優れていると思います。

 ちなみに、スイスと言えば、徴兵制が残る数少ない欧州の国です。2013年に男性への徴兵制を廃止するべきかどうか、国民投票が実施されたのですが、反対多数で否決されました。すなわち、国民が徴兵制を存続するべきと判断したわけです。


 また、徴兵制といえば、スウェーデンがフランスに先駆け、徴兵制復活を決めました


スウェーデン、徴兵制復活へ ロシアに対抗、女性も対象
http://www.asahi.com/articles/ASK327X8PK32UHBI02T.html
 スウェーデンのフルトクビスト国防相は2日、7年前に廃止した同国の徴兵制を2018年1月から復活させる方針を明らかにした。兵士に志願する若者が減るなか、近隣の軍事大国であるロシアの武力外交をにらみ軍事力を強化する。
 国防相の報道官によると、従来から18歳以上の国民に提出が義務づけられてきたウェブ調査票の回答に基づき、1999年以降に生まれた18歳の男女の国民約10万人からまず1万3千人を選び、適性検査を経て当面は年4千人に9~11カ月間の兵役を課す。女性の徴兵は初めてとなる。志願制度時代と異なり、徴兵を拒むと罰則がある。4千人の中には18歳以上の志願兵も含まれるという。』


 スウェーデンは、ご存知の通り、欧州で最も「移民に寛容」だった国です。すなわち、グローバリズム的な色が濃い国でした。


 それに対し、徴兵制は「国民主義」的な発想です。何しろ、自分の国を守るために、兵役に就くわけです。

 移民国家スウェーデンが徴兵制を復活させ、果たしてどうなるのか。国内に住む移民、あるいは移民系の国民は、どうするのでしょうか。注目すべきケーススタディになりそうです。


 移民や移民系国民が「徴兵されない」となると、当たり前ですが国内の分断は進み、社会の不安定化は加速すると思います。だからといって、外国人(移民)を「スウェーデンを守るため」に駆り出すのも、変な話です。


 ところで、フランスで徴兵制が復活した場合、これは「移民政策のトリレンマ」そのものになります。外国から移民を受け入れ、国内の治安が悪化した結果、国民の自由が制限される(すでに、フランスは相当に国民の自由が制限された状況にありますが)。徴兵制が「国民の自由の制限」に該当することは、言うまでもありません。


 政府としては、移民受入によって治安が悪化したとして、それを放置するという選択はなかなか採れないわけです。すると、国民の自由の制限にかかる


「移民受入」「国民の自由」「安全な国家」は、同時に二つまでしか実現できない。


 移民政策のトリレンマからは、誰も逃れられません


 昨日も書いた通り、すでに我が国は移民受入大国です。このまま移民を受け入れ続けると、我々は「安全な国家」「国民の自由」のいずれか、あるいは双方を諦めなければならない事態になるのです。


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