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『国民経済は繋がっている①』三橋貴明 AJER2017.1.31(3)
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久々に、ゆっくり寝た~っ!!!
いやあ、最近は夜は接待、朝は早起きというスケジュールが続き、本当につらかったのです。わたくしの基本は早寝早起き。
昨日、テレビ朝日の「ビートたけしのTVタックル」の収録(放映は19日)があったのですが、予想通り酷かったです。何しろ「官民格差」がテーマなので、
「どうせ、ルサンチマンにまみれた公務員叩きになるんでしょ」
と、事前にディレクターに言っておいたわけですが、実際にそうなりました。
わたくしが、どれだけ、
「公務員給与は政府最終消費支出という需要だから、公務員給与を削る、あるいは公務員を削減することは、デフレを悪化させる」
と主張しても、誰も聞く耳持たない。また、
「公務員給与が高いのではなく、民間給与がデフレで下がってしまったのが問題。デフレから脱却し、経済成長し、民間給与を高めることが解決」
と発言しても、経済成長を全員がガン否定。というわけで、
「経済成長を否定する人たちとは、議論できないですね」
と、捨て台詞を吐いて帰ってきました。放映されるかどうかわかりませんが。
昨日のタックルに出演していた連中が経済成長を否定する理由は、まあ、ティピカルと言えばティピカルです。
「ザイセイサイケンガ~ッ!」
「ジンコウゲンショウガ~ッ!」
「センザイセイチョウリツハ1%カラ2%ダカラ」
と、お決まりのナイーブ(幼稚)なレトリックのオンパレード。
そもそも、財政再建などと言っているから、デフレから脱却するための需要創出ができず、人口減少は生産年齢人口比率の低下であり、人手不足により経済成長のチャンスになる、潜在成長率が低いのは、デフレで現実の成長率が低いため、といった成長否定論の否定をブログなどで書いてきましたが、これらをテレビで解説するのは無理なのです。
何しろ、時間が与えられませんので。
財政再建論のナンセンスさ、生産年齢人口比率の低下が経済成長のチャンスであること、潜在成長率が低い理由。それぞれ、30分の時間をもらえれば、わたくしは解説できますが、テレビでは「20秒」で説明することを求められます。すなわち、不可能なのです。
というわけで、19日のTVタックルでは、経済の「けの字」も分からない連中の中で、四面楚歌の状況でありながら孤軍奮闘するわたくしを見れると思いますが、興味がありましたらご覧ください。わたくしは観ないけど。
TVタックルの出演者、および彼ら、彼女らに影響を受ける日本国民、すなわち消極的な経済成長否定論者たちが多数派を占める限り、我が国の亡国は避けられないでしょう。ある意味で、消極的経済否定論者たちは、上野千鶴子に代表される積極的経済成長否定論者たちよりも厄介です。何しろ、もっともらしい。
とはいえ、大変興味深いことに、国民の大半が成長否定論者であったとしても、デフレによる少子高齢化、生産年齢人口比率の低下が、我が国に否応なしに経済成長のチャンスを与えようとしています。
『ヤマト値上げ、荷主各社が一定の理解 価格転嫁には消極的
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO13796240X00C17A3TI5000/
ヤマト運輸が宅配料金の引き上げをはじめとする抜本的な事業見直しの方針を示したことで、荷主となるメーカーやネット通販大手などが対応を迫られている。物流量の急増を受け、値上げに一定の理解を示すものの、自社の顧客への価格転嫁は避けたいとの声も少なくない。ヤマトの値上げ方針をきっかけに、具体的な対策を検討するところも出てきた。
自社サイトで消費者向け通販サービスを提供するネスレ日本の高岡浩三社長は7日、現時点でヤマトから値上げの要請は来ていないとする一方、「今後要請された場合には受け入れざるを得ない。ただ顧客への価格転嫁は難しいだろう」と語った。(後略)』
生産年齢人口比率の低下は、否応なしに人手不足をもたらします。人手不足になれば、ヒトを高く買わざるを得ません。すなわち、国民の実質賃金は上昇に向かいます。
ヤマト運輸の値上げに対し、荷主側が一定の理解を示しているという記事ですが、荷主も「値上げ」をしなければなりません。すなわち、価格転嫁です。
価格に転嫁し、生産性を向上し、生産者の実質賃金を引き上げつつ、人手不足を解消する。これこそが、まさにミクロ面における経済成長の「正解」なのです。そして、この種の行為の合成がマクロ的な経済成長になります。
テレビの画面で消極的経済成長否定論者たちが幅を利かせ、日本の経済成長を否定しようとも、現実は否応なしに「人手不足」「生産性向上」「実質賃金の上昇」をもたらし、あるいは要求します。
というわけで、非常に不愉快な思いでテレビ朝日を後にしたわたくしでございますが、現実の経済の動きを見ていると、
「日本というのは、本当に不思議な国だなあ・・・」
と、つくづく思ったわけです。
とりあえず、言論の世界では、経済成長否定論者を否定しなければなりません。経済成長否定論の否定こそが、日本に約束された経済成長のスピードを速めるのです。
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