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『国民経済は繋がっている①』三橋貴明 AJER2017.1.31(3)

https://youtu.be/KARKeRtEL4Q

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 日本青年会議所2017年度経済再生グループの企画で、経済の知識を分かりやすく学んでもらうためのコミック「デフコン!」の連載始まりました。わたくしも監修として参加させて頂いており、作画は何とヒロカネプロダクション!


【デフコン! 第1話 経世済民とは?】

http://nippon-saiko.jp/archives/3014


 というわけで、三橋貴明の「新」経世済民新聞に、新たに小浜逸郎先生が執筆者として加わって下さいました!


 韓国地裁がサムスン電子副会長の李在鎔の逮捕を認めました・・・・
 李在鎔には、サムスングループ内の企業合併に韓国政府が協力する見返りとして、チェ・スンシルが主導する財団に資金提供した疑いがかけられています。
 
 さて、英王立国際問題研究所、通称「チャタムハウス」が、2月7日に発表した「What Do Europeans Think About Muslim Immigration?」の調査によると、
「イスラム圏からの、これ以上の移民流入を停止するべきか」
 という問いに対し、欧州十カ国の調査対象者(約1万人)の実に55%が停止すべきと回答し、衝撃が広がっています


 特に「停止すべき」が多かったのが、ポーランドです。ポーランドでは、調査対象者の七割以上が「停止すべき」と回答しました


 グローバリズムの限界、保護主義の到来については「予言者」と表現しても言い過ぎではない柴山桂太先生が、インタビューに答えていらっしゃいました。(ちなみに、三橋経済塾における柴山先生の講演は、10月に予定されています)


『本格化する保護主義への流れ 柴山桂太氏「トランプは前座」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/199203
 英国のEU離脱に続くトランプ米大統領誕生で決定的となったグローバリズムの限界。「保護主義」へ舵を切った米英両大国の潮流を、5年も前に見通していた気鋭の学者がいた。2012年に出版した「静かなる大恐慌」(集英社新書)で、EU崩壊やグローバル化の終焉を“予言”していたのが、京大大学院准教授の柴山桂太氏だ。世界の「保護主義」への流れはもう止まらないのか、日本はどうしたらいいのか――。
――“予言”が的中しましたね。
  こういう問題を考えるようになったのは10年ほど前からでした。当時、世間では、これから国家はなくなる。地球規模で経済、文化、政治は一体化する。国境は意義を失う。そういう考え方が支配的でした。いわゆる「グローバル化」です。日本ではEUが評価されていて、「我々が進むべき道」などと言われていました。しかし、文化が異なる欧州の国々が経済だけを一体化してうまくいくのか、コントロールできるのかと感じていました。(後略)』


 グローバリズム、すなわちモノ、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由化は、好景気の時はそれほど軋轢を生みません。とはいえ、リーマンショック後の世界では、特にグローバル化を進めていた欧州の経済が悪化。


 何しろ、ギリシャ、スペインの若年層失業率は50%弱(2015年)に達しているわけですから、半端ありません。


 しかも、「今」の若年層失業率の高止まりは、「将来」の発展途上国化を招きます。何しろ、十年後、二十年後には、社会の中核を担う人々が「働いたことがない」という事態に陥るわけです。


 生産性云々以前に、十分な生産ができない国と化します。すなわち、発展途上国化です

 EUというユーロ加盟国は、互いにモノ、ヒト、カネの移動の自由を制限することはできません。関税で国内産業を保護することも、移民制限で自国の労働者を外国人労働者との競争から守ることもできないのです。


 さらに、通貨までも統一。為替レートの下落という形で、輸入を減らし、輸出を増やすことすらできないのでございます。


 グローバリズムという思想によれば、
「同じ条件で競争した以上、負けた国は自己責任」
 という話になるのでしょうが、何しろ「国同士」でフェアな競争とやらをしているのです。負けた国の国民、すなわち数百万人、数千万人が打撃を被るにも関わらず、「自己責任」というわけですから、改めて考えるとすごい話です。

 しかも、そもそもユーロ圏の加盟国同士の競争は、フェアでも何でもないのです。


 グローバリズム的には、「製品は最も人件費が安い国で作られる。ギリシャにも自動車産業を発展させるチャンスがあるはずだ」という話なのですが、実際にはそうではありません


 何しろ、製品の質はもちろん、価格にしても「生産性」により決まってくるためです。すなわち、単位労働コストです。


 例えば、日本企業は、製品Aについて一人の労働者が一日に二十個生産することができるとしましょう。日本の人件費は、労働者一日当たり2万円と仮定します。
 中国の企業は、同じ製品Aを一人の労働者が一日五個生産可能です。中国の人件費は、労働者一日あたり7千円と、日本の三分の一水準になります。
 さて、上記の条件で、日本と中国、果たしてどちらの国際競争力、すなわちグローバル市場における価格競争力が高いでしょう。答えは、日本です


 確かに、日本の人件費は中国の三倍です。とはいえ、日本は過去の投資の影響で製品Aに関する生産性が高く、中国の四倍の生産が可能なのです。


 一製品あたりの人件費、すなわち単位労働コストを比較すると、日本は1000円(2万円÷20)。それに対し、中国は1200円(7千円÷5)。単位労働コストで見ると、実は中国の方が日本よりもコスト高というわけでございます。(実際、中国の人件費上昇の影響もあり、すでに単位労働コストは日本の方が中国よりも低いです

 すなわち、「フェアな競争」が始まった時点で、過去の投資の積み上げで生産性が高い国が「圧倒的な有利」にならざるを得ないのです。ユーロ圏でいえば、ドイツ対ギリシャというわけでございますね。


 ギリシャの生産性が、ドイツと同水準ならばともかく、実際にはそうではありません。ギリシャが負け組になることは、初めから決まっていたという話です。


 上記が現実であるにも関わらず、世界で最も進化したグローバリズムの国際協定、すなわちEUとユーロは拡大してきました。07年にアイルランドで不動産バブルが崩壊する前は、グローバル化の痛みは「目立たなかった」わけですが、すでに時代は変わりました。


 エマニュエル・トッドのいう「グローバル化疲れ」は、終わりません。柴山先生が語られている通り、
「危機の時代になると、国民は自国の政府に救済を期待する。にもかかわらず、EUは共通の仕組みをつくるために各国の主権を制限しているからです。移民を制限したいと国民が思っても、自国政府の判断ではできない。失業者対策で財政出動しようと考えても、EUのルールでは簡単にできません。EU加盟国はいずれ英国のように国民主権、国家主権を取り戻す、という方向に向かわざるを得ません。」
 が、真実なのです。


 すでにグローバリズムは「後戻りできない」形で是正へと向かっています。それにも関わらず、我が国がグローバル化路線を突き進んだ場合、日本は世界のゴミ捨て場になるでしょう。何しろ、主要先進国が次々に移民制限をかける反対側で、
「移民さん、ようこそ!」
 などとやっている以上、そうならざるを得ないのです。


 安倍政権は早急に外国移民受入政策を転換しなければなりません。

 

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