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『企業の基盤①』三橋貴明 AJER2017.1.24
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明日はTOKYO MX「モーニングCROSS」に出演します。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/
ドナルド・トランプ新大統領シリーズは、今回がラストです。
「国境がない国家は国家ではない」
昨日、メキシコとの国境沿いに壁を建設しい、不法移民を保護する自治体への連邦補助金を停止する大統領令に署名したドナルド・トランプ大統領の言葉です。
『メキシコ国境に壁、トランプ氏が大統領令 新たに移民制限も
http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKBN1592SK.html
トランプ米大統領は25日、メキシコとの国境沿いに壁を建設するほか、不法移民を保護する自治体への連邦補助金を止める大統領令に署名した。
また、トランプ氏は数日中にも新たな大統領令を出す方針で、難民の入国を制限するほか、シリア、イラク、イラン、リビアなどイスラム教徒が多い中東・北アフリカ出身者へのビザ発給を停止するとみられる。
この日署名された2つの大統領令は、メキシコとの国境沿い約3200キロにわたって壁を建設をするほか、不法移民を受け入れる州や都市への補助金を停止し、入国管理職員を増員する内容。』
SAPIOに掲載されたインタビュー記事において、
【グローバル化が遅れた日本こそが世界の経済覇権を握る】
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170124-00000014-pseven-bus_all
わたくしは、
『過度にグローバル化し、移民問題などを抱える欧州諸国や米国は、急激に現状を変えることは非常に困難だ。ナショナリズムへ移行するにはグローバリズムを“正しく”終わらせる必要があるが、欧米ではもはや手遅れに近いのだ。そうした国々は政策が揺れ動き、最悪、軍事的混乱まで引き起こしかねない。』
と書きました。
逆に、日本国については、
『カネの移動を表す「対内直接投資残高GDP比率」(2013年末)という指標がある。外国からその国がどれだけ直接投資を受けているかを示すもので、日本はわずか3.7%。ヒトの移動を表す「移民人口比」(2015年)を見ても、日本は1.6%と主要国では圧倒的に低い。モノの移動を表す輸出入依存度も低く、日本はグローバル化していないことがわかる。
日本は世界から閉鎖的だと長年批判を浴び続けてきた。ところが、今や世界各国は、グローバリズムに終止符を打ち、ナショナリズムへシフトしようとしている。その中で、国民が“グローバル化疲れ”していない日本は、圧倒的なアドバンテージを持っているのだ。』
と、グローバリズムが相対的に進展しないからこそ、圧倒的なアドバンテージを持っていると解説しました。
まあ、アドバンテージを正しく使えるかどうかは別の話であり、現実の安倍政権はむしろアドバンテージから目をそらし、周回遅れのグローバリズムを全力疾走していますが、いずれにせよアメリカや欧州については、「グローバリズムを正しく終わらせる」ことは相当に困難であると考えていたのです。グローバル化を終わらせようとした際の政治的軋轢があまりにも大きくなり、それこそ、
「ポリティカルコレクトネス」
を盾に猛批判を浴び、政治家も逡巡せざるを得ないと予想しました。
特に、「ヒトの移動の自由化」については、難民を内乱国に強制送還するなど、現実には困難です。移民人口比率が高まってしまった欧米諸国(スウェーデン16.7%、アメリカとドイツが約15%、イギリスは13%、フランス12%、イタリア10%。いずれも2015年)は、もはや「後戻りできない分岐点」すなわち、ポイントオブノーリターンを過ぎているとしか見えませんでした。
驚くべきことに、トランプ大統領は、政治的軋轢も何のその、「ヒトの移動の自由化」について制限をかける方向に舵を切りました。
ヨーロッパは、果たしてどうするでしょうか。「ヒトの移動の自由」は、EUの理念の一つです。各国は簡単に、トランプ大統領に倣うことはできません(ハンガリーとポーランドはやるかも知れませんが)。
とはいえ、アメリカがヒトの移動の制限を強化する中、欧州の政府が移民・難民問題に手をこまねいているのでは、遠心力が働くことは間違いありません。各国の移民制限派政党(マスコミがいう「極右政党」)が勢いづくことは間違いないのです。
さて、我が国です。アメリカが「ヒトの移動の自由」を制限する方向に舵を切っているにも関わらず、我が国の政府は外国移民受入路線を改めようとしません。
「だって、人手不足じゃないか」
と、移民推進派は言ってくるわけですが、上記SAPIOの記事でも解説している通り、
『単純労働者の外国人移民は受け入れない。「人手不足が深刻化する」という反論もあるが、それは生産性の向上で解消する。』
のでございます。生産性向上を目的とした投資による、人手不足解消こそが、「資本主義の王道」であることを改めて強調しておきたいと思います。
同時に、
「国境がない国家は国家ではない」
というトランプ大統領の言葉を、安倍総理をはじめとする日本の政治家は、真摯に受け止めるべきなのです。
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