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『企業の基盤①』三橋貴明 AJER2017.1.24
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明日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/
なぜか視聴者数が増え続ける不思議な動画「第1回 三橋貴明氏に教わる 【お金とは何か?】 」ですが、視聴者数が2万人を突破してしまいました。
21日に「1万8千人超えました」と報告しているので、三日間で2千人増えたことになります。なぜ・・・? 理由が知りたい(今後のプロモーションの参考にしたいので)。
それはともかく、本日、「第2回 三橋貴明氏に教わる 【日本銀行とは何か?】(仮題)」を撮影する予定になっています。ご期待ください。
トランプ大統領の就任演説全文(まともになったNHK版)です。
【トランプ大統領就任演説 日本語訳全文】
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170121/k10010847631000.html
先日も書きましたが、トランプ大統領はグローバリズムを猛批判し、国家の「保護」あるいは「保護主義」を語り、最後に、
「And most importantly, we will be protected by God.(最も重要なことに、我々は神によって保護を受けている。)」
という表現で締めました。
これはなかなか、巧いかなと。
ちなみに、アメリカ合衆国という国家は、「神の下で平等」な人々が、国家と契約することで成立した国です。アメリカ独立宣言は、思いっきりジョン・ロックの社会契約説の影響を受けています。(この辺の話は、徳間書店「2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本 」に詳しいです)
『われわれは、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているということ。こうした権利を確保するために、人々の間に政府が樹立され、政府は統治される者の合意に基づいて正当な権力を得る。そして、いかなる形態の政府であれ、政府がこれらの目的に反するようになったときには、人民には政府を改造または廃止し、新たな政府を樹立し、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる原理をその基盤とし、人民の安全と幸福をもたらす可能性が最も高いと思われる形の権力を組織する権利を有するということ、である。(「アメリカ独立宣言」から抜粋)』
アメリカ人は、「創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」となっているのでございます。
神様から不可侵の権利を与えられた人々、もしくは「個人」が、国家、政府と「契約」することで成立したのがアメリカ合衆国なのです。すなわち、独立宣言にもありますが、アメリカ人は政府が「神に与えられた不可侵の権利」に反する場合、それを改造、廃止する権利を持っています。すなわち、革命権です。
アメリカ人が、これだけ世界から呆れられているにも関わらず、銃規制を強化しないのは、元々アメリカとはそういう国であるためです。何しろ、銃がなければ、革命を起こすことができません。
日本の場合、世界最古の自然国家です。何しろ、日本国がいつ生まれたのか、正確なところはもはや誰もわからないほどに古いです。
日本とアメリカは、典型的な「自然国家」と「人工国家」であるという点で、そもそもの哲学が違うのです。アメリカ人は、人間を「神に権利を与えられた個人」と位置づけ、イギリス国王の権威、権力を否定し、自由な個人と政府の契約により、国家を建国したのでございます。
すなわち、人間を「個別化」していくグローバリズムは、ある意味でアメリカの建国の精神に合っているということになります。アメリカ独立宣言によると、人間は個別化された「たった一人の人間」なのです。そういう意味で、経済学の基本である経済人と親和性が高いのです。
現実に経済人をベースにした経済学に基づき、グローバリズムを推進していくと、「国家」の中において、国民が勝ち組と負け組に綺麗に分かれていきます。とはいえ、アメリカ国民は「神により諸権利を与えられた」自由な個人のはずです。国民が、勝者と敗者に分かれたとしても、
「それは、その人の自己責任でしょ」
という話に(建国の精神に則れば)なるはずなのですが、現実にはそれでは済まない、のでございます。
国内の所得格差拡大を放置しておくと、いずれは社会を維持不可能なまでに格差が広がります。そうなると、負け組の方は法律という「国家のルール」を無視し、暴走を始めるのです。犯罪、暴動、テロの蔓延です。
犯罪やテロが頻発する社会では、勝ち組の方もきつい人生にならざるを得ません。もちろん勝ち組で、所得がある人は、「犯罪が増えたならば、警備員を雇えばいいじゃん」という話なのかも知れませんが、わたくしは「負け組が暴発するが、警備員を雇ったことで自分は安全な社会」よりも、「負け組が少なく、治安が維持され、警備員を個人で雇う必要がない社会」の方を好ましいと思います。
皆さんは、どうですか。これは、価値観の問題です。
また、当たり前の話として、勝ち組の政治力は高まり、「勝ち組に有利で、負け組に不利」な政治が行われるようになります。神の下で平等だったはずの人間が、所得や資産の多寡により、政治的パワーに差ができてしまうのです。
ウォール街から莫大な献金をするアメリカ人と、オハイオ州で農場を営むアメリカ人の一票の価値は、同じではないのです。とにかく、政治家になりさえすれば、献金者の望む方向の政治を推進する。これが、アメリカの政治の現実であり、だからこそロビイストが何万人も職を得ているのです。
これもまた、大いなるアメリカの矛盾です。
いずれにせよ、アメリカ合衆国という国家は、
「建国の理念に従えば、グローバリズムは正しいが、グローバリズム蔓延による所得・資産格差の拡大や、政治力の格差拡大は現実に耐えがたい」
という、深刻な問題を抱えた国家なのでございます。
今回、トランプ大統領は、
「最も重要なことに、我々は神によって保護を受けている。」
と、保護主義を正当化しました。これはレトリックとしては、大変優れていると思います。何しろ(しつこいですが)アメリカという国家は、「創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」人々が政府と契約することで成立した国家なのです。初めに「神ありき」なのでございます。
とはいえ、神の下で平等という理念を追求すると、「困難の際に、お互いに助け合う」という共同体としての国家観が否定されてしまいます。所詮、国家とは「契約」により成り立っているのです。(アメリカ独立宣言によると)
今回、トランプ大統領は「共同体としての国家」を再構築する際のレトリックとして、「神」を持ち出したわけです。そう考えたとき、人工国家の代表アメリカと、自然国家の代表日本との違いが、改めて理解できませんか?
アメリカ合衆国は、世界最長の自然国家「日本国」とは、別の哲学に基づき建国された国なのです。
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