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『ポストグローバリズム時代に一番有利な国①』三橋貴明 AJER2016.12.27
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先日、出演した「【新春SPキャスター討論】平成29年・あなたはどう生きる?日本はどう生きる?[桜H29/1/4] 」
において、日本で「グローバル化疲れ(エマニュエル・トッド)」がそれほど見られない理由について、グラフを使い、
「対内直接投資残高、主要国最低。移民人口比率、、主要国最低。貿易(輸出入)対GDP比率、アメリカ、ブラジルに次いで低い。日本は相対的にグローバル化していないからこそ、グローバル疲れという現象が見られない」
と、解説しました。
その時に、「別の問題を抱えているのですが」と言ったわけですが、別の問題とはもちろんデフレーションです。
しかも、長期デフレーションにより国民が貧困化し、多くの国民がルサンチマンを貯めこみ、それを煽ることで農協改革、電力自由化、労働改革といった「構造改革」が進められていっているのでございます。
すなわち、日本ではデフレに基づくルサンチマンに基づき、グローバル化路線が推進されていっているわけでございますね。
このまま日本のデフレが継続し、「国内に『敵』を設定し、ルサンチマンを煽ることで政治的目的を達成する」ルサンチマン・プロパガンダが繰り返されると、いずれ我が国は「グローバル化疲れ」が確認できるほどにグローバル化されるでしょう。ついでに、国民が分断され、互いにいがみ合う国家と化します。
世界屈指の自然災害大国である日本国で、国民がいがみ合い、攻撃し合い、足を引っ張り合い、そろって貧乏になっていく。虎の子の供給能力が毀損されていく。本当に、それでいいのでしょうか?
いいわけがないのですが、それはともかく本日は成人の日です。
何だかんだと問題を抱えていますが(ほとんどが「デフレ」に起因するのですが)、我が国は素晴らしい国です。
しかも、とある事情から「若い日本国民」がどんどん有利になっていくという国なのです。何しろ、若年層失業率が世界主要国最低であり、かつ現在も低下傾向にある国なのです。
【2015年 主要国若年層失業率(%)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_55.html#Jakunen
理由はもちろん、少子高齢化による生産年齢人口比率の低下です。これからの日本は(外国移民を大々的に受け入れない限り)、人が大切にされる国になっていきます。何しろ、生産年齢人口比率の低下により、若い労働者が「貴重」な存在になっていくのです。
当たり前ですが、貴重な存在ほど「高く」買われます。
労働を安く買い叩かれ、それでも雇用が足りず、若者が祖国を捨て、ドイツやイギリスなどに「労働」を売りに行かざるを得ないギリシャやスペインと比べ、日本の若者の何と恵まれていることか! 正直、羨ましいです。
わたくしの少し下は、「氷河期世代」と呼ばれています。1998年には新規有効求人倍率が0.9まで下がり、フリーター、派遣労働といった非正規雇用で働かざるを得ない人たちが続出しました。
今の日本の若者は、我々の時期と比べてはるかに改善した雇用環境の下で、社会人となり、働き、失敗をし、怒られ、反省し、ときに成功し、ざまざまな経験、ノウハウを自らの中に蓄積し、人材に育っていくでしょう。人材とは、働かない限り創出されないのです。
そういう意味で、現在のヨーロッパ諸国の高い若年層失業率は、「将来的に人材を生み出さない」という点でも極めて危険なのです。
さらに、日本国は世界屈指の治安の良さを誇り、犯罪発生率はOECD諸国の中で最低水準。殺人事件発生率は、主要国最低です。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_55.html#satsujin
我が国をデータで他国と比べると、若年層(だけじゃないですが)の雇用があり、犯罪が少なく、ついでに「健康寿命」が首位という、恐ろしく恵まれた国なのです。
【2015年 主要国の健康寿命(歳)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_54.html#OECD2
我が国の問題は、後にも先にも「デフレーション」だけです。このデフレという宿痾により、これだけ環境が良いにも関わらず、国民の実質賃金が長期にわたり下落を続け、貧困化が続いています。
デフレから脱却するためには、将来への確信が必要です。将来、豊かになれると思うからこそ、人間は投資をするのです。あるいは、貯蓄を減らす(=消費を増やす)のです。
ところが、我が国では「日本ダメ論」が蔓延し、国民から「将来への確信」が奪い去られてしまっています。結果、投資が伸びず、貯蓄ばかりが増え、デフレが長期化しています。
挙句の果てに、国民にルサンチマンが貯まり、同じ国民を攻撃する政治手法が蔓延。政府の財政出動という正しいデフレ対策についてまで、
「国の借金で破綻する! 俺たちが節約しているのに、政府が無駄遣いすんな!」
と、自分の首を絞める論調が後を絶ちません。
まずは、将来への確信を高めましょう。上記、三つのデータを理解するだけで、相当に将来への「印象」が変わりませんか?
将来への確信を持ち、さっさとデフレという宿痾を完治し、世界が羨む日本国を再興しましょう。日本国は、それができる立ち位置にいるのです。
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