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『ポストグローバリズム時代に一番有利な国①』三橋貴明 AJER2016.12.27

https://youtu.be/qCnlVHWdptU

   

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 2017年が「激動の年」になるのは間違いないでしょうが、以前とは異なる環境が現出しているため、注意喚起ということで本日のエントリーを書きます。

 昨年の11月8日以降、ドナルド・トランプの大統領選挙当選を受け、厳密にはトランプが大規模な経済対策を実施するという「期待」から、ドル高が進んでいます。(すでに少し戻しましたが)


 アメリカあるいはトランプ新大統領は、ドル高を望むのでしょうか。それとも、ドル安を望むのでしょうか


 先日、フォード・モーターが(恐らく)トランプの「「恥知らず」と批判し、大統領就任後は高関税をかけると公言」を受け、メキシコへの直接投資の計画を撤回するという報道が流れました。さらに・・・。


トヨタのメキシコ工場建設 トランプ氏が批判ツイート
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170106/k10010830461000.html
 アメリカのトランプ次期大統領は5日、トヨタ自動車がメキシコに工場を建設する計画を進めていることをめぐり、ツイッターに書き込みを行い、アメリカ国内で生産しなければ、高い関税を払うよう強く求め、日本の自動車メーカーにも批判の矛先を向けました。
 トヨタ自動車はおととし4月、北米の生産体制を再編するとして2019年にメキシコに新工場を設立し、カローラを生産すると発表していました。これについて、アメリカのトランプ次期大統領は5日、「トヨタ自動車が、アメリカ向けのカローラを生産するためメキシコに新しい工場を作ると言った。とんでもないことだ。アメリカ国内に工場を作らないのならば、高い関税を払うべきだ」とツイッターに書き込みました。(後略)』


 トランプ「大統領」を誕生させたのは、最終的にはアメリカ企業の対外直接投資により打撃を受けた「ラスト・ベルト(錆び付いた地帯)」の労働者たちでした。元々、民主党の地盤だったミシガン、ペンシルベニアなどのラスト・ベルト地帯がひっくり返った結果、トランプが当選したのです。


 自らを大統領に押し上げてくれたラスト・ベルト地帯の労働者に報いたいならば、フォードやトヨタに対する批判は合理性を帯びます


 とはいえ、本気でトランプがアメリカ製造業を再興したいのであれば、為替レートはドル高ではなく、ドル安の方が望ましいのです。


 逆に、トランプがリーマンショック前のアメリカのように、外国からの「投機」で何らかのバブルを引き起こし、経済を活況に導きたいならば、ドル高が理想です。トランプの周囲を固めるウォール街の面々を見る限り、この路線の方が現実味があります。


 とはいえ、ドル高&投機中心の経済を追求する場合、ラスト・ベルト地帯の労働者の支持は、あっという間にトランプから離れることになるでしょう。


 また、トランプはメキシコに加え、中国に対しても通商政策について厳しい姿勢で挑むと言われています。


 これまでの「旧環境」であれば、人民元の為替レート上昇を為替介入で食い止める中国を「為替操作するな!」と批判していくのが常道でした。ところが・・・。


中国、資本流出阻止に躍起 短期金利一時100%超 
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H5E_V00C17A1FF2000/
 人民元の対ドル相場が中国本土外(オフショア)市場主導で急反発している。5日の香港外国為替市場の終値は1ドル=6.82元台と2日間で2%上昇。中国の通貨当局がオフショア人民元の流動性を絞り込み、翌日物金利が一時100%超に急騰した。中国本土では資本規制を企業から個人に拡大。なりふり構わぬ手法で資本の海外逃避を食い止めようとしている。(後略)』


 現在の中国を苦しめているのは、人民元高ではなく人民元安なのです。より厳密に書くと、人民元から外貨への「両替」が激増しているわけですが、これをメディアは「資本流出」といった表現をするので分かり難くなります。


 いずれにせよ、人民元の外貨への両替を放置すると、為替レートがどこまで下がるのかわからない状況に至っており、中国共産党は資本移動の規制を始めています(この時点で「人民元の国際通貨化」など、笑い話にしかならないのですが) 


 中国人民銀行は、外貨準備を取り崩し、人民元の為替レートが暴落しないように「通貨防衛」を強いられている有様です。すでに、中国の外貨準備は16年11月末時点で約3兆ドルと、14年のピークと比べて1兆ドルも近く減少しています。


 しかも、中国の場合は上記の「外貨準備」の中身が分からない、という致命的な問題を抱えています。外貨準備の規模に対し、保有する米国債が小さすぎるのです。残りの「外貨準備」は、一体何で運用されているのか? 本当に流動性があるのか? 外部からでははかり知れません。


 上記、中国の隠蔽体質が、人民元の外貨への両替を加速しているように思えますが、いずれにせよ現在の中国が通貨高ではなく「通貨安」に苦しめられているという現実を、我々は認識するべきです。


 まとめますと、
「アメリカはトランプの政策により、ドル高、ドル安、いずれの方向を志向することもあり得る」
「中国は為替レートの上昇ではなく、下落で苦しんでいる」
 という、二つの大きな「新環境」が現出しているのです。


 というわけで、我が国はどうするべきでしょうか。簡単です。


 政府の財政出動によりデフレから脱却し、内需中心の経済成長を取り戻し、少々の為替レートの変動では揺れ動かない強靭な経済を実現する。


 これ以外に道はなく(There are no alternatives!)、そして我が国は内需中心の経済成長を実現するに十分な資本、技術、人材を「まだ」持ち合わせているのでございます。


本日のエントリーを読み「なるほど!」と、思って下さった方は、 このリンクをクリックを! 

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