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『ポストグローバリズム時代に一番有利な国①』三橋貴明 AJER2016.12.27

https://youtu.be/qCnlVHWdptU

   

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 出身大学である首都大学に頼まれ、一年に一度、ボランティア講義をしています。講義をするだけではなく、出席した学生がレポートを提出し、それに0~5点で評価し、コメントを書き込むのです。(単位と関係あるそうです)


 毎年、100人以上の学生が提出したレポートを採点しなければならないので、結構、大変でございます。


 今回のボランティア講義は、「政府と企業」というテーマで、所得、デフレーション、財政(問題の嘘)という定番に加え、資本主義の根幹(投資)、生産性、人手不足、生産年齢人口比率の下落、経済成長の黄金循環(インフレギャップ下で生産性向上により実質賃金を上昇させ、再びインフレギャップになる)と、一連の「経済の話(経済学ではない)」について講義。


 その後、
企業の生産性を向上させるために、政府はいかなる政策を推進するべきか?
 という課題を出しました。


 正直、レポートを斜め読みするだけで、「話を聞いていたか、否か」が一発で分かります。理由は、わたくしの使う用語が「定義的」であるためです。(イノベーション、といった抽象用語は絶対に使わない)


 また、「生産性向上」についての記述でも、理解度がすぐに分かります。


 大変興味深いことに、「話を聞いていなかった学生」の多くは、生産性向上の意味を理解しておらず、
「外国人労働者を増やせばいい」
 という回答をしてきます。


 ちなみに、生産性とは定義的には「1の資源から、付加価値(GDP)を産み出す際の効率」になります。すなわち、投入資源(例えば「労働者」)の1単位当たりの生産量を拡大することが、生産性の向上なのです。(生産に必要な投入資源を減らす、という考え方もありますが)


 「外国人労働者を増やせばいい」では、投入資源を増やすことになってしまうため、生産性は(企業の付加価値が一定と仮定すると)むしろ低下します


 というわけで、話を聞いていなかった学生のレポートには、容赦なく、0点、1点(精々2点)をつけていくわけですが、なぜ「人手不足を生産性向上で解決するには、どうしたらいいのか?」という問いに対し、「外国人労働者を増やせばいい」という回答が少なくないのでしょうか。


 もちろん、政府やマスコミが「人手不足解消のために外国人労働者」というキャンペーンを展開しているためです。


 人手不足⇒生産性向上のための投資⇒インフレギャップが埋まり、実質賃金が上昇する。というプロセスは、資本主義の王道であり、経済成長の黄金循環そのものです。お分かりでしょうが、わたくしは講義や講演では、「資本主義の王道」しか話しません


 ところが、現実のマスコミでは、上記の王道ではなく、
 人手不足⇒外国人労働者導入⇒実質賃金低下⇒国民の購買力低下⇒投資停滞⇒発展途上国化。というプロセスばかり、つまりは現在の日本が「最も避けなければならない邪道」ばかりが報じられます


 首都大学の学生たちも、マスコミの影響を受け、人手不足解消のソリューションを求められ、反射的に(あるいは「思考停止的」に)外国人労働者を!と、思いつくわけです。(講義をきちんと聞いていたなら、外国人云々という回答はありえないのです)


農業、特区で外国人労働者 来年法改正へ
http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/386017
 政府は12日、国家戦略特区諮問会議を開き、特区を活用して農業分野で外国人労働者を受け入れることを決めた。母国の大学で農学部を卒業するなど専門知識を持ち、日本語による意思疎通が一定程度できることを条件とする。雇用主には日本人と同等以上の報酬を支払うことを義務付ける。来年の通常国会で特区法の改正を目指す。
 日本の農業現場では今も途上国の人材育成を目的とした「外国人技能実習制度」を使って働く人がいる。今回はこれとは別に、入管難民法の特例を適用して主にアジアの国々から担い手を募り、農業分野で深刻な人手不足の解消につなげる。(後略)』


 安倍政権は、「人手不足解消」を旗印に、恐るべき勢いで外国人労働者の受け入れを拡大していっています。技能実習生(七割が中国人)制度の適用分野を、何と「介護」に拡大し、さらに高度人材(半分以上が中国人)にわずか一年で永住権を与える。


 さらには、恐らく「本命」である特区における「外国人労働者」の受け入れが、来年、法制化されるでしょう。もちろん、しばらくは特区に限定し、数年後に全国展開されることになります。


 介護サービス、高度技術者、そして農業。我が国の重要産業、安全産業分野において、安倍政権は「中国人」を多く受け入れようとしている。この現実を理解し、さらに、
「ならば、人手不足はどうするんだ!?」
 という陳腐な問いに、「生産性向上による投資で解消する。これが、資本主義の王道である」という事実を、多くの国民が共有しない限り、我が国の移民国家化は回避が困難ではないかと懸念しています。


「安倍政権の移民政策に反対する!」に、ご賛同下さる方は、このリンクをクリックを! 

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