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『文明とアメリカ①』三橋貴明 AJER2016.12.20
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先日のチャンネル桜「Front Japan 桜」で解説いたしましたが、
【Front Japan 桜】国債を発行してみよう! / 間違いだらけの英語教育[桜H28/12/23]
https://youtu.be/Bue2KqIvLoo
http://www.nicovideo.jp/watch/1482474161
お金、具体的にはマネーストック(MS)は、銀行と民間もしくは政府とのお金の貸し借りで増えていきます。番組では、政府が銀行からお金を借り、政府小切手で支払い、財政出動するケースで説明しましたが、民間も同じです。本稿では、MSについてM2(現金通貨+国内銀行等に預けられた預金)と定義します。
わたくしが、木坂銀行から1000万円借りました。
その時、木坂銀行のBS(バランスシート)の借方に「貸付金1000万円」が、貸方に「銀行預金1000万円」が「出現」します。同時に、わたくしのBSの借方に「銀行預金1000万円」が、貸方に「借入金1000万円」が「出現」するのです。
この時点で、日本のMSは1000万円増えます。
ちなみに、現金を貸す場合は、木坂銀行の借方の「現金1000万円」が「貸付金1000万円」に姿を変え、わたくしのBSの借方に「現金1000万円」が、貸方に「借入金1000万円」が「出現」します。この場合は、MSは増えません。
とはいえ、わたくしが1000万円を支払いに充て、支払いを受けた企業が現金を銀行に預金すると、やはりMS(銀行預金)が1000万円増えます。
MSは、銀行と民間・政府との間のお金の貸し借り(及び支払い)により拡大していくのです。逆に言えば、民間や政府がお金を借りない限り、MSは増えません。
さて、お金が「出現する」と言われても、ピンとこないかも知れません。とはいえ、皆さんが「小切手」を発行するケースを考えてみてください。
わたくしが当座預金を担保に、1000万円の買い物の代金として、小切手を振り出しました。そのとき、わたくしのBSは、「借方 - / 貸方 小切手1000万円」となります。もちろん、借方には購入した1000万円の資産が入るのですが、ここでは金融資産のみを扱うものとします。
小切手を受け取った方(あるいは店)のBSは、「借方 小切手1000万円 / 貸方 -」です。この小切手が流通すると(流通します)、立派な「お金」でございますね。
わたくしは、借用証書(小切手)を発行するという形で、「無」から「お金」を生み出したように見えます。
とはいえ、しつこいですが、お金とは債務と債権の記録なのです。「記録」が行われれば、お金が創出されます。
この種のお金に対する無理解が、我が国において様々な情報の歪み、政策の歪みをもたらしているのは、ご存知の通り。
● 銀行は日銀当座預金を民間に貸し出せ!<<<我々が日銀当座預金を持っていないため、銀行は日銀当座預金を民間に貸し出すことはできません
● 家計の銀行預金が尽きれば、政府は財政破綻する!<<<政府が借りるのは日銀当座預金であり、家計の銀行預金ではありません
● 中央銀行が量的緩和をすれば、MSが増える<<<MB(マネタリーベース)を増やしても、民間や政府に資金需要がなければMSは増えません
● お金は財産そのものである<<<債権者である所有者にとってはそうですが、反対側に必ず債務者がいます(※硬貨のみが例外)
● 中央銀行が量的緩和をすれば、インフレ率が上昇する<<<インフレ率はモノやサービスが購入されない限り、上昇しません。MSの拡大すら、インフレ率上昇に結びつくとは限りません(※モノ・サービス以外が買われる場合、インフレ率は上がりません)
何といいますか、経済学的な間違った解決を主張する人の多くは、頭の中が「お金=現金」になっているように思えます。この世に現金紙幣というお金しかなければ(少し前のミャンマーですな)、同時に「預貯金が禁止」であれば、
「中央銀行がお金を発行すれば、インフレ率が上がる」
は成立します(※現金を発行しても、それを全て河原で燃やしてしまうと、インフレにはなりませんが)。
とはいえ、現実は違います。現実にはお金は現金以外(銀行預金)がメインですし、しかも銀行預金というお金には、現金紙幣とは異なり債務不履行(デフォルト)のリスクがあります。上記の例でいえば、わたくしが木坂銀行に1000万円を返済できないケースです。
この辺りの話は、中野剛志氏「富国と強兵
」に詳しいのですが、いわゆる不確実性でございますね。この種の不確実性を考慮してしまうと、経済学の「美しいモデル」が作れない。
という流れがあり、経済学は長い時間をかけ、現実経済から乖離していったわけでございます。結果、間違った経済政策が打たれ続け、いつまで経っても我が国はデフレから脱却できず、国民の貧困化が続いているのです。
というわけで、経済学ではなく「経済」の基礎から応用まで、幅広い知識を身に着け、「世界を正しく見る」ための日本国内(恐らく)唯一の塾、三橋経済塾第六期が2017年1月22日に開講となります。
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