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『文明とアメリカ①』三橋貴明 AJER2016.12.20

https://youtu.be/eenbzoqxyd0

   

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 当たり前と言えば、当たり前ですが、ドイツのテロの容疑者アニス・アムリが、「ミラノ」で射殺されたことを受け、シェンゲン協定に対する批判が高まりつつあります


ドイツのトラック突入容疑者射殺、シェンゲン協定に批判
http://jp.reuters.com/article/germany-truck-italy-idJPKBN14C10E
 ドイツの首都ベルリンで19日発生したクリスマスマーケットへのトラック突入事件の容疑者とみられる男が23日、イタリアのミラノ郊外で銃撃戦の末、殺害された。
 射殺されたのは独当局が行方を追っていたチュニジア人のアニス・アムリ容疑者(24)。過激派「イスラム国(IS)」系メディアのアマク通信に投稿された動画では、同容疑者がISのリーダーに忠誠を誓い、欧州のイスラム教徒に攻撃を呼びかけていた。
 ミラノ警察当局の説明によると、容疑者は身分証の提示を求められ、警官に発砲した。その後、近くの車両後方に隠れたが、警官に撃たれ死亡したとしている。
 容疑者はドイツからフランスを経由しイタリアに入った。容疑者の足取りから、移動の自由を認めた欧州連合(EU)の「シェンゲン協定」が悪用された実態が明らかとなり、仏極右政党・国民戦線のルペン党首や伊野党・五つ星運動の創設者ベッペ・グリッロ氏などのユーロ懐疑派は攻勢を強めている。(後略)』


 ヨーロッパを旅した方であればお分かりでしょうが、シェンゲン協定加盟国間では本当に「パスポートのチェック」すらなしで国境を越えられます。東京から北に車でドライブし、埼玉との県境を越えるような気軽さです。


 ギリシャに取材に行った際には、シャルル・ドゴール空港でフランス入国のチェックはありました。その後、ギリシャに飛んだのですが、今度は何のチェックもなく、ただ空港を歩くだけで入国できてしまいました。

 現在、EU加盟国のうち、イギリスなどを除く22カ国及びスイスなどの国々、計26カ国がシェンゲン協定に加盟しています。加盟国間では、パスポートのチェックなど、出入国管理が廃止されています。


 昨年のシリア難民問題を受け、一部の国は限定的に国境管理を復活させましたが、今でもローカル鉄道などではチェックがありません。


 というわけで、アニス・アムリ容疑者は、普通に鉄道に乗り、独仏間、仏伊間の国境を越え、ミラノにたどり着いた可能性が高いのです。


 もちろん、シェンゲン協定に加盟していなければ、外国人の移動を制限できるのかと言えば、そうではありません。少なくとも、EU加盟国間では不可能です。


 イギリスはシェンゲン協定に加盟していませんが、EUからの外国人労働者の受け入れ制限はできません。入国時に、パスポートのチェックが可能なだけです。


 それにしても、シェンゲン協定加盟国は、国籍に関係なく「ヒトの移動」を全面自由化しているわけです(※加盟国間で)。まさに、無防備状態になっていることが分かります


 各国の警察組織間の連携は、もちろんありますが、「国内」ほど綿密なはずがありません。犯罪者は、国境を越えてしまえば、相当に「有利」な状況に置かれることになります。


 アメリカでは、自治体警察が各地方自体の治安維持を担当し、広域犯罪に対してはFBI(連邦捜査局)が当たるなど、役割分担が決まっています。


 一応、欧州にもユーロポール(欧州刑事警察機構)がありますが、「捜査」を行うわけではありません。ユーロポールは、あくまで加盟国間の情報共有化、統合のための組織です。


 欧州全域で捜査権を持つ「欧州警察」というものは、存在しないのです。

 まあ、欧州警察があったとしても、「言葉の壁」があるため、そう簡単にFBIと同じ役割を果たせるとはとても思えませんが。


 いずれにせよ、欧州連合やシェンゲン協定という現在の欧州の仕組みは、相当に「人間の善意」に依存しているように思えてならないわけです。とはいえ、「ヒト」は「モノ」や「カネ」とは異なります。

 もちろん、モノやカネを国境を越えて動かす「ヒト」に悪意がある可能性はあります。とはいえ、モノやカネ自体が悪意を持つわけではありません。


 それに対し、ヒトには悪意が宿ります。本人は善意のつもりかも知れませんが、彼が動き回る地域の「国民」にとっては、悪意以外の何物でもないケースは多々あるわけです。


 日本も人のことを言える立場ではありませんが、欧州連合も相当に「お花畑」でした


 我々は現在、
「ヒトには悪意が宿る」
悪意を宿ったヒトから国民を守るものは、国境以外にはない
 という現実を、改めて学んでいるのかも知れません。


「国境」の重要性を改めて考えて下さった方は、

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