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『改めてデフレを知ろう①』三橋貴明 AJER2016.11.29
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日本青年会議所の皆様、来年はよろしくお願いいたします。
【写真(左上から) 青木照護氏、池田佳隆氏、三橋、藤井聡氏、中野剛志氏】
中野先生の「富国と強兵 」が増刷になったそうです。500ページを超える書籍、しかもあの値段で、これほど短期間で増刷になるのは凄い!
おめでとうございます。
「富国と強兵」とテーマが同じなのですが、徳間書店から「2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本 」が刊行になりました。
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現在の世界は、主に二つの逃れられない問題により動かされています。
一つ目は、何度か書いていますが、グローバリズムに対する「グローバル化疲れの国民(byエマニュエル・トッド)」による民主主義による反乱です。623ブレグジット、1108アメリカ大統領選挙、1204オーストリア大統領選における自由党候補の健闘、同日のイタリア・レンツィ首相の敗北は、根っこの問題が全て同じなのです。
すなわち、グローバル化に疲れた国民が、グローバリズム的な政策に「民主主義」で対抗しようとしているわけでございます。
二つ目は、"今回のグローバリズム"における覇権国アメリカの、相対的なパワーの衰退です。興味深いことに、グローバリズムには「グローバリズムを弱体化させる機能」が組み込まれているのです。厳密には、グローバリズムの覇権国に対する挑戦国の醸成機能です。
"前回のグローバリズム"では、1873恐慌などでドイツなどが保護主義化する中、覇権国イギリスは自由貿易を貫きました。結果的に、経済成長率でイギリスはドイツの後塵を拝する状況になります。
イギリスのグローバリズムにより、ドイツという挑戦国が成長し、最終的には第一次世界大戦につながりました。
1991年末にソ連が崩壊し、アメリカを覇権国とした"今回のグローバリズム"が始まりました。アメリカは貿易収支を中心に、経常収支の赤字を大幅に拡大していきます。90年代初めと比較し、アメリカの経常収支赤字は、ピークの2006年には何と八倍にまで拡大します。アメリカが「赤字」ということは、反対側で「黒字」を拡大した国があるわけです。
もちろん、中国です。中国は、アメリカを覇権国とするグローバリズムの下で、外国からの資本を受け入れ、国内の生産力を強化していきます。アメリカをはじめ、各国は中国産の「安い製品」を輸入し、中国は世界の工場としての地位を確立したわけです。
輸出主導で経済を成長させた中国は、軍事力も強化し、かつてのドイツ同様に、覇権国に対する挑戦国と化そうとしているのが現代という時代です。相対的にパワーが低下しつつあるアメリカは、中国による南シナ海の内海化を、止めることができなくなりつつあるのはご存知の通り。
このタイミングで、対中強硬派のドナルド・トランプが米大統領職を射止めましたた。トランプは、12月2日、台湾総統の蔡英文と電話会談を行ったことを、自らのツイッターで明らかにしました。さらに、トランプは11日、フォックス・ニュースとのインタビューで、
「通商を含めて色々なことについて中国と取り引きして合意しない限り、どうして『一つの中国』政策に縛られなきゃならないのか分からない」
と発言。
中国の国是と言ってもいい「一つの中国」政策についてのトランプの発言に、中国共産党は猛反発。12月12日の環球時報に、
「トランプよ、お聞きあれ:『一つの中国』は売買できない」
というタイトルの、強烈な社説を掲載しました。
日本国民が理解する必要があるのは、確かにトランプは台湾に肩入れし、武器を輸出する可能性があり、関税や為替問題を梃に中国に圧力をかける可能性はあるものの、だからと言って、
「南シナ海を含む東アジアの問題は、【世界の警察官】たるアメリカ様に任せなさい」
とはならない、という点です。
トランプが大統領に就任すると、オバマ政権のリバランス政策(アメリカの戦略の重心をアジア・太平洋地域に移そうとする軍事・外交上の政策)は見直される可能性があります。同時に、トランプは中国に対し、「アメリカの国益に沿う政策」を推進し、中国サイドは「挑発」として受け取ることになります。
トランプの外交政策により、南シナ海を中心に東アジアに「火が付いた地域」が増えた挙句、
「じゃあ、みんな(東アジア、東南アジアの国々)、火消し、がんばれよ!!」
と、アメリカ(と言うか、トランプ)が言ってきかねない時代が、2017年に始まるという話なのでございます。
今後の世界は、グローバル化に疲れた各国国民の民主主義による反乱が始まり、さらに覇権国アメリカに対する挑戦国が現れたという点でも、不安定化していかざるを得ないのです。
というわけで、トランプのアメリカ大統領選挙就任で不安定化する世界情勢、そして日本が進むべき道を書き記した「2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本
」本日、刊行です。
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