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『改めてデフレを知ろう①』三橋貴明 AJER2016.11.29
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国民経済の成長とは、GDPの拡大を意味します。継続的なGDP成長は、総需要(名目GDP)が供給能力を上回るインフレギャップ期に、「ギャップを埋めるための生産性向上を目的とした投資」が起きた際に発生します。
モノやサービスの供給の不足を、企業、政府、国民が設備投資、公共投資、人材投資、技術投資と、資本主義の供給サイドの三要素である「資本」「労働」「技術」を強化しようとしたとき、はじめて継続的な経済成長が実現するのです。
理由は、生産性向上は生産者の実質賃金の上昇(生産=所得となるため)であるためです。生産性向上のおかげで豊かになった国民が、消費や投資という需要を増やし、インフレギャップを拡大。再び、インフレギャップを生産性向上により埋めるための投資が起きる。
これこそが、経済成長の黄金循環です。
逆に言えば、投資~GDPの需要項目で言えば「民間企業設備」「民間住宅」「公的固定資本形成」の三つになりますが~GDPの三投資が増えていない国が、経済を成長させることなど「絶対に」不可能という話です。
【図 日本の民間住宅、民間企業設備、公的固定資本形成の推移(単位:十億円)】
出典:内閣府 http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/menu.html
※数値は年率換算
上図の通り、橋本政権期には年率換算140兆円規模だったGDPの三投資は、現在は100兆円規模で低迷しています。
民間企業設備に限れば、最近は、15年10-12月期が70.8兆円、16年1-3月期が69.9兆円、4-6月期が69.5兆円、16年7-9月期が69.3兆円と、着実に「減少」していっています。
もっとも、GDP上の設備投資が低迷しても、少なくとも「大企業」は設備投資を拡大していたというのが最近の日本なのですが、それも終わってしまったようです。
『法人企業統計、設備投資1.3%減 7~9月期、14四半期ぶりマイナス
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL01H8B_R01C16A2000000/
財務省が1日発表した7~9月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比1.3%減の10兆3521億円だった。マイナスは14四半期ぶり。製造業、非製造業ともに減った。経常利益は11.5%増と4四半期ぶりに増加。7~9月としては過去最高になった。非製造業の大幅な伸びが寄与した。
産業別の設備投資動向は製造業が1.4%減と9四半期ぶりに減少した。前年の工場新設や生産能力の増強投資の反動が情報通信機械や生産用機械で出た。非製造業は1.3%減と2四半期連続のマイナス。建設業で前年にあった自社ビル建設の反動減が響いた。情報通信業では基地局など通信設備投資が減った。(後略)』
法人企業統計は、サンプリングが大企業に偏っています。
例えば、今年の7-9月期の調査では、
〇 資本金1000万円以上1億円未満 社数:96万8784社 回答法人数:8,759社
〇 資本金1億円以上10億円未満 社数:2万4528社 回答法人数:9,174社
〇 資本金10億円以上 社数:5994社 回答法人数:5408社
と、なっています。
とういわけで、法人企業統計で「全体」の状況を判断するのは危険なのですが、少なくとも大企業の状況は的確につかめるわけです。
その法人企業統計で、設備投資が14四半期ぶり(!)に減少してしまったというのは、かなり深刻な事態です。
ちなみに、民間住宅は相続税対策の収益マンション建設で、ここ数四半期は伸びていました。もちろん、日本銀行のマイナス金利政策の影響で、銀行の貸出金利が限界まで下がったことも、住宅投資を後押ししました。
とはいえ、不動産業界の現場で話を聞くと、ついにマンションの供給過剰感が共有され、銀行も以前ほど安易には貸し出してくれなくなっているとのことです。
こうなると、我が国ではいよいよ「投資の主役」が政府以外にはいないという話になります。日本政府は、少なくとも民間企業の設備投資の継続的な回復が確認できるまで、公共投資を拡大し続ける必要があります。さもなければ、我が国の再デフレ化は決定的になるでしょう。
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