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『世界の歴史はイギリスから動く①』三橋貴明 AJER2016.10.25
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明日は6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
http://www.joqr.co.jp/tera/
昨日は米沢で講演んした。写真は米沢の上杉伯爵邸の紅葉です。
さて、2016年7-9月期のGDP速報値が発表になりました。
『実質GDP7─9月期は3四半期連続プラス成長、内需は力不足
http://jp.reuters.com/article/japan-q3-gdp-idJPKBN139005
内閣府が14日に発表した2016年7─9月期国民所得統計1次速報によると、実質国内総生産(GDP)は前期比プラス0.5%、年率換算プラス2.2%と、3四半期連続でプラス成長となった。
景気は緩やかな回復基調をたどっているが、消費や設備投資などの内需は弱々しい足取りで、外需に依存した形となった。デフレーターはマイナスで物価は下落している。
実質GDPは、ロイター事前予測調査の前期比プラス0.2%を上回る伸びだった。
内訳では、個人消費は前期比プラス0.1%。3四半期連続で伸びを確保したが、4─6月期と同じくわずかなプラスにとどまった。(後略)』
まず、「デフレ脱却」という観点から最も重要な指標といえる物価指数、すなわちGDPデフレータですが、7-9月期はついに▲0.3%と、マイナスに逆戻りしてしまいました。
2016年1-3月期は+0.2%、4-6月期は±0%だったのですが、ついにマイナス化。現在の日本が「デフレ化」していっていることが分かります。
総需要を意味する名目GDPは対前期比+0.2%と若干のプラスだったのですが、GDPデフレータがマイナス化してしまったので、実質GDPが+0.5%になりました。
実質GDPは、=名目GDP÷GDPデフレータ で計算されます。GDPデフレータがマイナス化すると、実質GDPは成長「して見える」のでございます。
過去のデフレ期に頻繁に見られたパターン、名目GDPがほとんど成長しない、もしくはマイナス化したにも関わらず、デフレで物価が下落するため、実質GDPがプラス化するという「デフレ期のプラス成長」パターンに戻ってしまったのです。
しかも、名目GDPの対前期比+0.2%の中身を見ると(数値はすべて対前期比)、
● 民間最終消費支出 ▲0.1%
● 民間住宅 +2.4%
● 民間企業設備 ▲0.4%
● 政府最終消費支出 +0.6%
● 公的固定資本形成 ▲0.6%
● 財・サービスの輸出 ▲0.5%
● 財・サービスの輸入(控除) ▲2.4%
と、民間住宅と政府消費以外が総崩れの状況になってしまいました。(内需停滞による輸入減少は、名目GDPを拡大してしまいますが)
消費や設備投資の低迷を、住宅と政府消費で何とか補い、さらに物価が下落に転じたため、実質GDPが成長したというのが今回の一時速報の結果でございました。
無論、実質GDPのプラス化が意味がないという話ではありません。とはいえ、正しい意味のデフレ脱却と経済成長は、
「実質GDP成長+GDPデフレータ上昇=名目GDP拡大」
でなければならないのです。
ところが、現在の日本は、
「名目GDP停滞+GDPデフレータ下落=実質GDP成長」
と、以前のデフレ期に頻繁に見られたパターンに舞い戻りつつあるのです。
改めて考えると、日本銀行が250兆円ものお金(主に日銀当座預金)を発行したにも関わらず、GDPデフレータがマイナス化してしまったわけです。無論、理由は2014年度以降の安倍政権の緊縮財政のせいです。
デフレは「貨幣現象」とやらではなく、「総需要の不足」であることが改めて理解できます。
今回のGDPデフレータのマイナス化について、「政府の緊縮財政が原因」と正しく認識することが、我が国のデフレ脱却という観点からは極めて重要になるのです。
「日本の再デフレ化は政府の緊縮財政が原因」に、ご賛同下さる方は、
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