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『世界の歴史はイギリスから動く①』三橋貴明 AJER2016.10.25
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本日から参議院特別委員会でTPPの本格的な論戦が始まります。
オバマ大統領が任期中のTPP批准についてギブアップし、トランプ次期大統領が協定からの離脱を表明している以上、このままではTPPは終わりです。
いまだに勘違いしている人がいますが、TPPは「六か国以上、GDP85%超」の国々が二年以内に批准しない限り、発効しません。つまりは、アメリカを除く国々によるTPPというのは成立しないのです。
『TPP発効極めて困難に オバマ政権が断念
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016111201001165.html
日米を中心とする12カ国が中国に対抗し、アジア太平洋地域の経済ルールの確立を目指す環太平洋連携協定(TPP)の発効が極めて困難になった。オバマ米政権が協定発効に不可欠な議会承認の年内獲得を断念したことが11日、分かったためだ。TPP脱退を主張する次期米大統領のトランプ氏が方針転換しない限り、発効は絶望的。同地域をカバーする経済圏づくりで中国の影響力が一層高まりそうだ。
米国の内向き化に伴うTPPの挫折で、貿易自由化の流れが停滞し、世界経済の成長が一段と減速する恐れがある。』
相変わらず、日本の新聞は出鱈目ばかりを書きますが、別にTPPは「中国に対抗」するために推進されたわけではありません。
「TPPは中国包囲網」
などと、中二病なことを主張し、安倍政権を庇おうとする認 知 的 不 協 和な連中が少なくないようですが、TPPとはそもそも国家のパワーを弱め、各国間のモノ、ヒト、カネの移動を自由化し、サービスの制度も統一する「小さな政府」の国際路線にすぎません。
各国の市場を共通化させることで、「勝ち組」がより勝ちやすい環境を構築するための、グローバリズムに基づく国際協定であり、それ以外の意味はありません。もちろん、対中安全保障とTPPは無関係です。
現在、各国は「主権」に基づき、様々な規制をしています。
国境や規制は、グローバル企業が市場に新規参入しようとした際の参入障壁です。とはいえ、参入障壁が作られたのには、それなりの理由があるのです。
例えば、
●安全保障(食料、医療、防衛、防災、治安、物流など)の強化
●環境維持、安全確保、混乱防止
●業界の維持発展、品質の確保(資格制度)
などになります。
国家、国境、国民を無視し、自己利益最大化を目的とするグローバル企業、グローバル投資家にとって、「国家の安全保障」ほど「どうでもいい価値観」はありません。そういう意味で、グローバリズムを国際協定で固定化しようとするTPPについて、「対中安全保障が~」などと言っている人たちは、根本から間違えているということになります。
そもそも、TPPは「関税撤廃」により、食糧安全保障を弱体化させます。さらに、投資が自由化(内国民待遇)され、規制整合性小委員会により医療、エネルギー分野の規制緩和が進めば、医療安全保障、エネルギー安全保障が崩れていきます。
日本の発電分野がすべて「外資系」という事態になり、果たして我が国はいかにしてエネルギー安全保障を維持すればいいのでしょう。
医療費、薬価が上昇していけば、やがては悪名高きアメリカの医療保険サービスが日本に雪崩れ込んでくることになります。
さらには、グローバル企業の圧力で、例えば遺伝子組み換え作物の表示義務が撤廃されたとなる等、食の安全も危機に瀕することになります。
要するに、TPPとは、
「国家、国境を意識しなければ、安全に、豊かに生きられない国民」
の利益を犠牲にし、
「国家、国境を意識せず、自己、自社の利益最大化を目的とするグローバリスト」
の利益を拡大することが目的の協定なのです。
目的は「特定企業・特定投資家の利益最大化」であり、国家の繁栄、国民の豊かさ、国民経済の成長ではないのです。
TPPにより、加盟国の経済は成長するかもしれません。しないかもしれません。とはいえ、そんなことはどうでもいいのです。
国民経済が成長しようが、衰退しようが、「自分」の利益を最大化することを目指すのがグローバリストです。
この本質を理解しない限り、TPPが終わったとしても、特定のグローバリストのみを利し、国民を衰亡させる構造改革が、我が国で継続されることになってしまうのです。
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