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『世界の歴史はイギリスから動く①』三橋貴明 AJER2016.10.25
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水を被ったノートパソコン、キーボードは壊れてしまったのですが、残りの機能は生きており、何とか全てのデータを回収することができました。
お騒がせいたしました。新しいレッツノートが届くまで、会社のパソコンにお引越しです。
さて、柴山桂太先生が、何と日本経済新聞で、グローバリズムを批判される連載をされています。
『グローバリゼーションと反動(1)金融危機後、保護主義の機運 京都大学准教授 柴山桂太
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO08767100V21C16A0KE8000/
貿易や金融を通じて世界経済が統合に向かう現象をグローバリゼーションといいます。1980年代から各国経済は地球規模(グローバル)の結びつきを強めてきました。ところが世界金融危機を契機に、その潮流に変化が生じています。
85年から2007年までの間に世界貿易は世界経済の倍のぺースで増加しました。金融危機後はこの伸びが鈍化しています。世界貿易機関(WTO)の予測では今年の世界貿易の伸び率は1.7%と、世界経済の成長率を下回っています。(後略)』
『グローバリゼーションと反動(2) 保護主義台頭で崩壊の歴史 京都大学准教授 柴山桂太
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO08814370W6A021C1KE8000/
』
『グローバリゼーションと反動(3)世界経済の統合、19世紀と類似 京都大学准教授 柴山桂太
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO08859300X21C16A0KE8000/
』
『グローバリゼーションと反動(4)民主主義か国家主権が犠牲に 京都大学准教授 柴山桂太
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO08948960Z21C16A0KE8000/
』
グローバリゼーションとは、モノ、ヒト、カネという経営の三要素の国境を越えた移動を自由化するという考え方です。すなわち、政府による規制を緩和もしくは撤廃するのです。
政府の関与を減らすことで、モノ、ヒト、カネを「市場原理」に則り、自由自在に動きまわり、「経済人」の効用が最大化されるという、古典派経済学の「理想の社会」を目指すのがグローバリゼーションなのです。
同じルールで、戦う以上、負けた者は自己責任。政府による救済は「甘やかし」につながる。負けた者は努力して、勝ち組を目指すべきだ。これが、グローバリゼーションの基本の考え方の一つです。
人間のみならず、企業や国家も同じ。EU・ユーロの場合、関税はなし(モノの移動の自由化)、資本移動の制限もなし(カネの移動の自由化)、EU&シェンゲン協定でヒトの移動も自由化。サービスの制度も統一し、さらには共通通貨。
皆が同じ条件で戦った以上、負けた企業や国家は自己責任以外の何物でもない。ドイツが勝ち組なのは、ドイツが努力をしたから。ギリシャが負け組なのは、ギリシャが努力を怠ったから。
よって、金を貸し付けるならともかく、ドイツの税金でギリシャを救済するなどとんでもない!
欧州では何十年もかけ、国際的なグローバリゼーション(変な表現ですが)が推進され、EU・ユーロという国際協定により結実したわけです。
とはいえ、そもそもギリシャとドイツは同じスタートラインに立っていません。1800年代、イギリスが世界の輸出の半分を占めていた頃、ドイツは関税戦略によりイギリス製品を締め出し、保護貿易の下で自国の投資を拡大。世界屈指の工業大国にのし上がりました。
ドイツは「かつての保護貿易」のおかげで、生産性が高いのです。生産性が極端に高いドイツが、まともな製造業がないギリシャと「自由貿易」をした日には、ギリシャ側が負けるに決まっています。
それにも関わらず、ギリシャは関税や為替レート(の下落)により自国産業、自国市場を保護することはできません。
イギリスにしても、産業革命で生産性が高まった「後」になって、自由貿易を標榜し始めました。産業革命前、イギリスはインド産綿製品(キャラコ)から自国市場を「保護」するために、様々な保護主義的政策を打ったのです。最終的には、インド産綿製品の輸入を(再輸出目的以外は)禁止しました。
イギリスは保護主義により自国市場をキャラコから守り、国内で技術開発投資、設備投資を実施。産業革命により綿製品の生産性を高めた後、インドに対し「自由貿易やろうぜ」と言い出したわけでございます。
柴山先生が書かれていますが、
『各国が文化や発展段階の違いに応じて異なった社会目標を持っています(第4回から)』
のでございます。
生産性が異なる国々に対し、国際協定などで「グローバリゼーション」を押し付けると、必ず国家、企業、国民が勝ち組、負け組に分かれ、社会全体が不安定化します。しかも、国際協定で「国民主権」を制限されるため、国民は、
「グローバリゼーションの負の部分を法律制定(規制)で是正しようとしても、どうにもならない」
状況に置かれてしまうのです。EUに代表される国際協定によるグローバリゼーションは、各国国民の主権を「献上」しなければ成立しないのです。
結果的に、イギリス国民が国民主権を取り戻すことを強く望み、623ブレグジットにつながったわけでございます。
我が国はまさに、国民主権の制限を伴う国際協定によるグローバリゼーション、すなわちTPPを国会で批准しようとしています。上記の類の「本質的な議論」が一切なされぬまま、安倍政権はTPPを批准しようとしているわけです。
民主主義により、国民主権の制限が行われようとしているのが、現在の日本なのでございます。
「国民の主権を制限するTPPに反対する!」に、ご賛同下さる方は、
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