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『日銀総括検証を検証する①』三橋貴明 AJER2016.10.18
https://youtu.be/hZui036Rvxg

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 チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。


【Front Japan 桜】豊洲問題・財政問題・人口問題~恐怖プロパガンダ / サムスン爆発? / 靖国神社秋季例大祭[桜H28/10/19]
https://youtu.be/TgZNcMI2FCU
http://www.nicovideo.jp/watch/1476861653


 以前も取り上げましたが、資本利益率(ROE (Return On Equity))という経営指標があります。


 資本利益率は、株主の持分たる自己資本に対してどれだけのリターン(純利益)が生み出されているかを示す指標になります。つまりは「株主」を意識した指標です。


 損益計算書は、大雑把に書くと以下のような構造を持ちます。


売上-売上原価-減価償却費-人件費等-法人税=純利益


 株主への配当金は、純利益から支払われます。

 本来、資本利益率(=純利益÷資本)を高めるのであれば、「売上」を伸ばす必要があるわけです。

 ところが、現在の日本はデフレで売り上げを伸ばしにくい状況にあります。同時に、我が国は橋本政権の金融ビッグバン以降、外国人株主の割合が増えていき、グローバル株主資本主義に染まっていきます。グローバル株主は、企業の長期的繁栄や従業員の福祉に興味があるわけではありません。単に「自分の利益」を拡大することを望みます。


【日本の投資部門別株式保有比率の推移(単位:%)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_54.html#JPX


 デフレ環境下で「株主の利益」の最大化を追求すると、投資(減価償却費)や人件費を減らすことになります。投資は、GDP上の民間企業設備という需要です。人件費は、民間最終消費支出という需要の原資です。


 企業が株主の要求で、人件費や投資を圧縮したこともまた、デフレ長期化の一因であることに間違いありません。


 また、わたくしが批判する「無条件の法人税減税」を、なぜ安倍政権が推進しているのか、お分かりですね。株主に支払う配当金の原資を大きくするためです(実際には、内部留保が増えていますが)。

 上記をご理解頂いた上で、以下の記事。


自社株買い、最高の4.3兆円 経営効率を優先   1~9月
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD14H7R_Y6A011C1MM8000/?dg=1
 上場企業による自社株買いの実施額が1~9月に4兆3500億円と過去最高を記録した。企業統治強化の流れのなか、資本圧縮で経営効率を高めようとの機運が強まっているためだ。一方、新株発行による資金調達は7000億円程度と低い水準にとどまった。内外経済の成長鈍化で設備投資などの資金ニーズが鈍っているほか、金利低下が追い風となって社債で必要な資金を調達しやすくなっていることも影響している。
 今年に入って大型の自社株買いが相次ぎ、NTTドコモや新日鉄住金がそれぞれ1000億円以上の買い入れを発表している。この結果、1~9月の自社株買いは前年同期に比べて約4割増え、年間でも最高だった2015年(約4兆8000億円)を上回る可能性が強まっている。(後略)』


 突っ込みどころは二つ。まずは、自社株買いで資本利益率を引き上げることを「経営効率を優先」と表現している点。

 自社株買いを拡大すれば、資本が小さくなるため、利益が変わらなかったとしても、資本利益率は上がります。それが「経営効率の引き上げ」に該当するというわけです。意味が分かりません。


 二つ目は、日本企業は政府から設備投資を増やせ、人件費を増やせと言われても、利益を「株主」のために使う構造になってしまっているという点です。

 利益があまりにも偏重して株主に分配される「構造」も、日本経済の成長を妨げているわけでございます。日本に必要なのは、株主ではなく従業員、地域社会といった多面的なステークホルダー(利害関係者)を利する「構造改革」なのです。


「多面的な利害関係者を利する構造改革を!」に、ご賛同下さる方は、 

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