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『若年層失業率が世界主要国最低の国①』三橋貴明 AJER2016.9.27
https://youtu.be/4EupfftcyPY
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第二次補正予算が参議院を通り、成立ました。速やかの予算執行と、さらなる補正(第三次補正予算)の一月成立を望みますが、本日は以下の記事。
『日銀の保有国債、400兆円初突破 黒田緩和で3倍超増
http://www.asahi.com/articles/ASJBC5G6XJBCULFA02D.html
日本銀行が保有する国債の残高が7日時点で初めて400兆円を突破した。2013年4月に大規模緩和を開始し、大量の国債を銀行などから買ってお金を流している。保有額は3年半で3倍超に増え、発行額の4割近くに達する。緩和で国債の低金利が続き、発行は増えている。事実上は日銀が政府の借金を引き受ける「財政ファイナンス」だとの指摘が強まっている。(中略)
日本の債務残高は先進国で最悪の水準だ。国債の発行残高は約1100兆円で、日銀保有分は4割近く。18年に5割を超えるとされる。日銀は国債を買ってお金を流し続けても「物価上昇率2%」を達成できず、政策の軸足を長期金利の操作へ移した。一方で国債保有を増やす政策も続ける。みずほ総合研究所の野口雄裕氏は「国の借金の多くを日銀が引き受けている状況で、すでに財政ファイナンスに近い」と指摘する。』
例により、朝日新聞らしい「突っ込みどころ満載」の記事でございます。
まずは、
「国債の発行残高は約1100兆円で、日銀保有分は4割近く。18年に5割を超えるとされる。」
わけですが、ならば現状で400兆円以上は「政府の実質的な負債」ではなくなってしまっているという話ではないですか。何しろ、日本銀行は日本政府の子会社です。
子会社と親会社間のお金の貸し借りは、連結決算で相殺されてしまいます。政府は日銀に負債を返済する必要もなければ、利払いをする必要もありません。
それにも関わらず、相変わらず、
「日本の債務残高は先進国で最悪の水準だ」
と、煽る。
そもそも「最悪の水準」の「最悪」とは、何を意味しているのですか。政府が実質的に返済しなければならない国債であれば、日銀保有分を除くと700兆円弱なので、「政府の負債対GDP比率」は130%程度になります。
しかも、政府の負債は100%日本円建てであるため、日本銀行が国債を買い取れいば、政府の返済負担は実質的に消えます。つまり、朝日新聞は「政府の実質負債がこんなに減った! 大変だ~っ!」と国民を煽ろうとしていることになります。
もう一つ、日銀の国債買取について「財政ファイナンス」という言葉で批判しています。日銀が国債を買い取ると、政府の実質的返済負担が消えてしまうため、朝日新聞としては止めたいのでしょう。
とはいえ、そもそも「財政ファイナンス」とは何のことですか? これは不思議な言葉で、「悪いイメージ」を与える割に、意味がよく分かりません。何しろ、「財政」の英訳は「Finance」なのです。すなわち、財政ファイナンスを直訳すると、Financ Financeになってしまいます。
そもそも、財政ファイナンスという言葉が「国の借金」同様に、国民を煽るために作られたプロパガンダ用語なのです。
例えば、国債を日本銀行が買い取れば、政府の負債は実質的に消えるため「国の借金で破綻する~っ!」などという問題は存在しないと説明すると、
「日本銀行が国債を買い取るなど、財政ファイナンスだ!」
と、批判的に、強圧的に反論されるわけです。普通の人は「財政ファイナンス」の意味など考えませんので、日銀の国債買取が「何となく悪いこと」という印象を覚えてしまうわけです。
「国の借金」が正しくは「政府の負債」であるように、「財政ファイナンス」は正しくは「国債の貨幣化」です。
繰り返しますが、日本銀行が国債を買い取ると、政府は返済負担や利払い負担から解放されます。日本銀行が国債を買い取った瞬間、自国通貨建て国債は「返済」「利払」が存在しない負債(政府にとって)ということで、「通貨」と全く同じ存在になるのです。すなわち、国債の貨幣化です。
元々は、中央銀行が政府から直接的に国債を買い取ることを「国債の貨幣化」と呼びますが、現在の日銀の量的緩和にしても国債を貨幣化していっていることに変わりはありません。確かに、朝日新聞の書く通り「財政ファイナンス 国債の貨幣化」です。
ちなみに、現金紙幣や日銀当座預金という日本円の通貨は、「返済」も「利払」が存在しない日銀の負債です。
(※現在、現在は量的緩和政策のために日銀当座預金には金利が付いており、一部は逆にマイナス金利になっていますが、本来は「当座預金」であるため、金利は存在しないのです。)
日銀保有の国債も「返済」「利払」が不要な政府の負債です。何が違うのでしょう。
負債の担い手(日本政府、日本銀行)以外に、違いはありません。というわけで、本来は政府の国債を中央銀行が買い取ることは「国債の貨幣化」なのです。
ところが、「国債の貨幣化」と呼ぶと、国債が貨幣と化す、すなわち返済不要、利払不要であることがあからさまになってしまうので、「財政ファイナンス」という意味不明な言葉で呼び、国民の危機感を煽るのに使われているわけでございます。
貨幣化が可能である以上、国債の残高が単体として問題視されること自体が「問題」なのです。貨幣化が不可能な、企業や家計の債務と混同しているとしか思えません。
というか、混同しているわけですが、この手のプロパガンダ用語でマスコミが国民を煽る限り、我が国のデフレ完全脱却の日は訪れません。というわけで、本日は「財政ファイナンス」というプロパガンダ用語について取り上げました。
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