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『ヘリコプターマネー①』三橋貴明 AJER2016.8.23
https://youtu.be/1UzK-Gn-vpU
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明日は9時30分から朝日放送「正義のミカタ」に出演します。
http://www.asahi.co.jp/mikata/
さて、インフレ率が相変わらず「マイナスの領域」に低迷しています。
『7月の消費者物価指数、前年同月比0・5%下落
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160826-OYT1T50006.html
総務省が26日発表した7月の全国消費者物価指数(2015年=100)は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合で99・6と、前年同月比で0・5%下落した。
物価下落は5か月連続となる。
先行指標となる東京都区部の8月の消費者物価指数(中旬速報値)は、生鮮食品を除く総合が99・7で、前年同月比で0・4%下落した。』
消費者物価指数は、今回から基準年が2010年基準から2015年基準へと改定されましたが、大きな変化はありませんでした。
日銀のインフレ率の指標であるコアCPI(生鮮食品を除く総合)は、7月が対前年比▲0.5%。(6月が▲0.4%)。
コアコアCPI(食料・エネルギーを除く総合)は0.3%(6月が0.5%)。
ポイントは、コアCPIの上昇率のマイナス幅が拡大してきていることに加え、コアコアCPIの上昇幅が縮小してきていることでしょう。現在の日本の「デフレ化」が進行していることは疑いありません。
日本銀行は黒田東彦元財務官が総裁に就いて以降、量的緩和政策でひたすらマネタリーベースを拡大。マネタリーベースはついに400兆円を突破してしまいました。
すなわち、日本銀行は13年4月以降、252兆円(!)の日本円を新たに発行したことになります。
それにも関わらず、インフレ率はコアCPIベースで▲0.5%。
【日本のマネタリーベース(左軸)とインフレ率I(右軸)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_53.html#MBCPI1607
なぜ、日本銀行が250兆円を超す日本円を発行したにも関わらず、インフレ率がマイナスなのか。日本銀行の通貨発行は、モノやサービスを買っているわけではないためです。日本銀行が国債を中心とした債券を買い取り、市中銀行の日銀当座預金を増やした。
ただ、それだけの話です。
市中銀行からの借り入れが増え、実体経済でモノやサービスが買われない限り、日本銀行がどれだけ日銀当座預金残高を増やしても、インフレ率は上昇しない。デフレ脱却もできない。
デフレは貨幣現象ではない。
日本国は三年以上もの期間をかけ、「デフレは貨幣現象ではない」を証明したのです。これが、過去三年超の日本国の社会実験の顛末なのでございます。
ちなみに、コアCPIで▲0.5%のインフレ率は、13年3月の数値と同じです。我が国は、三年以上もかけて250兆円を超す日本円を発行し、インフレ率を三年前に「戻した」ことになります。
解決策は、今さらですが「政府がお金を借り、モノやサービスの購入に使う」以外にはありません。現状、日本銀行がマイナス金利を拡大し、銀行をしばき上げたところで、モノやサービスの購入は増えません。理由は、単に我々日本国民がお金を借りる気も、モノやサービスの購入を増やす気もないためです。
すなわち、国債発行と財政出動あるのみなのでございます。
一応、政府は「国債発行+財政出動」の方向に舵を転じつつありますが、発表されている経済対策の規模では不十分もいいところです。このままでは、近い将来、不十分な財政出動を実施したものの、デフレ脱却ができず、
「ほらみろ。やはり財政出動ではデフレ脱却できないではないか」
との声が広まる可能性は濃厚だと思います。
金融政策に偏重したデフレ対策を主張する人は、現状を受けて、
「金融政策が不十分だから、デフレ脱却できないのだ」
と主張しています。とはいえ、金融政策の場合は「幾らの金融緩和で、デフレギャップが埋まるのか?」をコミットすることはできません。
それに対し、財政政策はできるのです。現在のデフレギャップが15兆円ならば、「15兆円の真水の支出」でデフレギャップを埋めることができます。
コミットメントできない政策(金融政策)から、コミットメント可能な政策(財政政策)へ。
この、当たり前のレジームの転換ができない限り、我が国がデフレから脱却できる日は訪れないでしょう。
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