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『安倍政権は財政拡大に舵を切るか?(その2)①』三橋貴明 AJER2016.7.26

https://youtu.be/XIjo7tLLIzQ
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 明日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。

http://www.joqr.co.jp/tera/


 さて、内閣府から16年4-6月期の経済成長率が発表になりました。

 実質GDP成長率は、対前期比で0%。厳密には+0.048%なので、年率換算にすると0.2%成長にはなるのですが、事実上のゼロ成長です。


『4-6月GDP 2期連続プラスも年率+0.2%にとどまる
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160815/k10010636181000.html
 ことし4月から6月までのGDP=国内総生産は、2期連続でプラスとなりましたが個人消費や輸出が振るわず前の3か月と比べた伸び率はプラス0.0%、年率に換算してプラス0.2%と、ほぼ横ばいにとどまりました。
 内閣府が発表したことし4月から6月までのGDPの伸び率の速報値は、物価の変動を除いた実質で前の3か月と比べてプラス0.048%でした。(後略)』


 正直、機械受注統計や実質消費の状況が悪いため、4-6月期はマイナス成長なのではないかと予想していましたが、ぎりぎり(本当に、ぎりぎり)プラス成長でした。

 中身を見ると(以下は全て対前期比%)、


◆民間最終消費支出 0.2%
◆民間住宅 5%
◆民間企業設備 ▲0.4
◆政府最終消費支出 0.2%
◆公的固定資本形成 2.3%
◆輸出 ▲1.5
◆輸入(控除項目) ▲0.1%


 という結果でした。

 結構、まずいと思うのは、設備投資が1-3月期の▲0.7%に続き、4-6月期も▲0.4%と、二期連続で対前期比マイナスになってしまったという点です。

 民間住宅の増加は、これは珍しく日本銀行の金融政策が需要を増やしたケースかもしれません。マイナス金利政策により、長期金利(十年債)までもがマイナスになってしまい、住宅ローン金利を押し下げ、住宅投資を増やした可能性です。

 もっとも、マイナス金利政策や長期金利のマイナス化等により銀行の経営が痛めつけられ、みずほ銀行が長期プライムレート(最優遇貸出金利)を引き上げるなど、「低金利」の限界に到達したきらいがあります。金利引き下げによる住宅投資拡大が、継続するかどうか、微妙なところです。


 また、公共事業関連予算の前倒しを受け、公的固定資本形成が対前期比で+2.3%と伸びています。1-3月期が+0.1%だったので、こちらも一応、二期連続のプラス成長です。

 すなわち、大雑把に書くと、現在の日本経済は、民間の設備投資や輸出の減少を、政府の政策(金融政策、公共事業前倒し)により何とか下支えしている状況なのでございます。


 いずれにせよ、今回の4-6月期GDP(速報値)は、我が国が「民間主導」で経済成長を遂げる「力」を喪失してしまっているという現実を、まざまざと見せつけてくれたと思います。


 一昨日のエントリー「資金過不足について学ぼう! 」で解説した通り、現在の日本企業は、絶賛貯蓄拡大中でございます。逆に言えば、安倍政権が公共事業予算の前倒しに踏み切らなかった場合、4-6月期は確実にマイナス成長だったことになります(寄与度が+0.1%であるため)。

 安倍政権は来月の臨時国会で、経済対策の補正予算を通しますが、これがどこまで2016年度にプラスの影響を与えるか。

 企業の貯蓄率が上昇し、二期連続で設備投資がマイナスに落ち込んでいる以上、安倍政権は「企業の安定的な貯蓄減少、設備投資拡大」が確実視されるまで、財政出動を継続しなければなりません。


 今後の日本政府の経済対策のポイントは、「財政の継続性」に移っていくことになります。


「デフレ脱却が確実になるまで、継続的な財政出動を!」に、ご賛同下さる方は、

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