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『安倍政権は財政拡大に舵を切るか?(その2)①』三橋貴明 AJER2016.7.26

https://youtu.be/XIjo7tLLIzQ
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日中韓政治・経済戦争 (英和MOOK) 」に、インタビュー記事「【緊急提言】今こそ日本は第4次産業革命で世界をリードせよ!」が掲載されました。


 今から振り返ると呆れ返ってしまうのですが、数年前まで、
「外国人が国債を叩き売り、日本からお金を引き上げ、国債暴落で破綻するっ!」
 といった、物理的に起きえない「破綻論」が世間で幅をきかせていました


【日本国債所有者別内訳(総額は955兆円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_53.html#hoyu


 日本国債は、外国人保有分含めて、100%日本円建てです。つまりは、外国人(ほとんどが外国の中央銀行)が日本国債を売却したとして、手に入るのは「日本円」なのです。


 日本円を手に入れた外国人投資家らが、外貨に両替したとします。すると、「両替をした銀行」に日本円が移ります。両替により日本円を手に入れた銀行は、何らかの手段で運用しなければなりません。

 兆円単位の日本円を、デフレ継続中の国内で貸し付けることは至難の業です。結局、最後に日本円を手にした銀行は、「国債」で運用せざるを得ないでしょう


 いずれにせよ、日本銀行という最後の買い手がいる日本国債が「暴落」するなどといった事態は、あり得ませんが。

 ちなみに、日本銀行の黒田総裁は、先日の金融政策決定会合の後、
「ヨーロッパの例を見てもマイナス金利の幅を大きくしていく余地はあるし、量的緩和についても日銀は国債の3分の1を保有しているが、まだ3分の2は市場にあるということだ。」
 と、発言しました。銀行(預金取扱機関)保有分は当然の話として、生命保険会社や損保会社が保有している国債にまで「手を付ける」気なのでしょうか・・・・。


 次第に「狂気の世界」に突入しつつある印象を覚える、我が国の金融政策です。

 ところで、興味深いことに、これまで「金融政策」と「構造改革」しか言わなかった、いわゆる「エコノミスト」たちが、財政拡大という普通の(正しい)政策に言及し始めています。金融政策の限界は誰の目にも明らかですが、それにしても「構造改革」に言及しない点が、不思議です。


『コラム:ヘリマネ離陸に民主主義の壁=高島修氏
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-osamu-takashima-idJPKCN10F0A6?sp=true
(前略)ただ、それでも、そうした財政刺激策は内需を下支え、輸入を増やし、貿易収支を悪化させるため、最終的には円高から円安へのトレンド転換を促していく。その意味では、ヘリマネ政策ではないとしても、2014年の消費増税を機に緊縮型に転じた日本の財政政策が拡張型に転じ
ることの意義は大きい。年初から原油相場の緩やかな回復が始まったことも、これまでの貿易黒字改善に次第に歯止めをかけ始めるだろう。(後略)』


 ちなみに、高島氏が引用しているアデア・ターナー元英金融サービス機構(FSA)長官の提言、


『日本政府が無利子の永久国債を発行し、それを日銀が買い入れ、恒久的に保有する』


 は、まさしく青木泰樹先生が常日頃主張している、「長期のゼロクーポン債」(無期限無利子国債)と同じですね。


 日本銀行の長引く量的緩和政策は、デフレ脱却という点では不十分でしたが、
日本政府の自国通貨建ての負債の債務不履行(財政破綻)など、あり得ない
 という事実を証明したという点で、歴史的に意味があるのかも知れません。日本銀行は日本政府の子会社です。日本銀行が国債を市中銀行から買い取ってしまうと、政府は負債の返済、利払い負担から解放されます。 


 無論、名目的には「日本政府が日本銀行からお金を借りている」形が残るのですが、無利子永久国債=長期のゼロクーポン債と交換してしまえば、名目的にも「借金消滅」となります。

 日本政府の日本円建て負債(いわゆる「国の借金」)問題など、この程度の話に過ぎないのです。


 そして、冒頭の「物理的に起きえない破綻論」などが蔓延した結果、国民が「この程度の話」すら理解しなくなり、
「財政破綻だ! 国の借金を減らせ! 政府はお金を使うな!」
 と、デフレ深刻化の世論が形成されてきたのが、95年(97年ではないです)以降の我が国なのでござます。

 政府の経済対策閣議決定を受け、早速「財源論」が叫ばれ始めています。そして、日本国民の多くは、
「日本は国の借金で破綻するため、経済対策などできない」
 と、間違った認識に基づき、メディアの経済対策妨害路線を後押しするでしょう。


 95年に武村正義大蔵大臣(当時)が国会で「財政破綻宣言」をしてから、二十年が経過しました。二十年かけて蔓延した嘘の財政破綻論の払拭には、やはり二十年かかるのでしょうか。

 そうは思いません

 高島氏のコラムでも取り上げられている「ヘリコプターマネー」という言葉は、定義が不明確ですが、それでも「日本が財政破綻することはあり得ない」という真実が広まる上で、一つのツールになっていることは確かです。


 以前であれば、ヘリコプターマネー(日銀の国債買い切り宣言や、長期セロクーポン債との交換)というテーマが出てきた途端、
「そんなことをするとハイパーインフレーションになる~っ!」
 といった荒唐無稽な反論がメディアを賑わせたものです。とはいえ、現在はその手の破綻論は見ることができません。


 少しずつ、変わっていっているのは確かです。この流れを早めるためにも、「正しい情報」を「繰り返し伝える」努力を、特に「理解した人」たちが積み重ねていく必要があると思うのです。


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