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『安倍政権は財政拡大に舵を切るか?(その1)①』三橋貴明 AJER2016.7.19

https://youtu.be/g3_rTVkKcnY
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 明日はTOKYO MX「モーニングCROSS」に出演します。
http://s.mxtv.jp/morning_cross/


 ふと気が付くと、今週は火曜日が札幌日帰り、水曜日が広島日帰り、木曜日が仙台日帰りと、無茶苦茶なスケジュールになっておりました。しかも、合間にラジオやテレビ出演があるわけで、わたくしが一般社員だったら、過重労働で労働基準監督署に駆け込みたいところです。

 まあ、経営者には労働基準法は適用されないんですけどね・・・


 それはともかく、ようやく政権及び与党が「正しい財政出動」の方向に動き出しました


事業規模20兆円超で調整 景気下支え
http://mainichi.jp/articles/20160721/k00/00m/020/185000c
 政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整していることが20日、分かった。当初は10兆円超の見込みだったが、倍増させる。追加の財政支出は3兆円超(国・地方の合計)として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げする。事業規模を膨らませ、景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられる。

 政府は今後、与党と調整を進め、来月上旬にも経済対策を閣議決定して、裏付けとなる2016年度第2次補正予算案を秋の臨時国会に提出する方針。与党内には一層の上積みを求める声もあり、規模がさらに膨らむ可能性もある。
 事業規模20兆円超の内訳は、国・地方の追加の財政支出が3兆円超▽国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度▽国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度▽財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度−−となる見込み。
 複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくする。追加の財政支出の財源は、建設国債(使途を公共事業などに限る国債)を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だ。(後略)』


デフレは貨幣現象

 という間違った認識の下、250兆円もの日本円(主に日銀当座預金)を発行したにも関わらず、インフレ率▲0.4%と、三年間以上もの長期を無駄に費やしたというのが、日本の現状です。


 繰り返しますが、インフレとは「モノやサービスの価格の上昇」のことです。そして、モノやサービスの価格が上昇するのは、「モノやサービスが買われたとき」なのです。

 モノやサービスを買うのではなく、
「日銀が量的緩和を拡大(=国債買取)すれば、インフレになる」
 などと、荒唐無稽な机上の空論が、なぜここまで影響力を持ってしまったのか


 国債はモノでもサービスでもない以上、量的緩和のみでインフレ率が上昇するわけないでしょうに・・・。

 結局、
「デフレは貨幣現象です!」
 などと、日本銀行の金融緩和に過度な期待を抱いていた連中は、財務省の「無意識的な手先」として、正しいデフレ対策である財政出動を妨害し、緊縮財政路線に貢献したわけですね。

 デフレは貨幣現象なんでしょ? ならば、日銀にお金を発行させれば、緊縮財政をしてもいいよね。というレトリックです。


 財務省の緊縮財政路線を批判しつつ、財務省の緊縮財政推進に利用された
 これが、岩田規久男教授に代表される「いわゆるリフレ派」が過去三年間、やったことなのです。少なくとも、岩田教授は責任を取り、日銀副総裁を辞するべきだと思うのです。そもそも、御本人が二年で2%達成できなければ辞める、と仰っていたのですから。


 さて、ようやく20兆円「規模」の景気対策が動き出したわけですが、次に重要になるのは「真水」分などの「中身」になります。毎日新聞もズバリ書いていますが、
「複数年度をまたがる民間事業」

 を含め、全体の規模を大きく見せかけるのはやめて欲しいです。

 リニア新幹線整備のために財政投融資で資金調達し、例えば5兆円をJR東海に貸し付けたとしても、実際には十年以上の長期間かけて「支出」されるのです。

 JR東海が5兆円を政府から借り入れて、その時点で我が国のGDPが幾ら増えるのか。より具体的に書くと、幾ら「支出」されるのか。

 ゼロです。


 GDP(=需要)は、あくまで経済主体が消費もしくは投資として「支出」しなければ創出されません。というわけで、長期のプロジェクトと同時に「短期の支出」の規模も重要になるのです。


 もちろん、土木・建設会社の供給能力を復活させるためにも、建設国債や財政投融資で資金調達し、「長期のプロジェクト」に政府(もしくは民間)が支出していくことは極めて重要です。とはいえ、長期のプロジェクトにばかり傾注し、短期のデフレギャップ(需要不足)が埋まらないのでは、これは中途半端としか言わざるを得ないのです。

 長期も、短期も大事です。

 というわけで、

「与党内には一層の上積みを求める声」
 があるのは当然で、国民は全体の事業規模「のみ」に目を奪われるのではなく、きちんと中身を検証し、
短期の需要創出と長期のプロジェクトの両方が重要である
 と、訴えていく必要があると考えるわけでございます。


「財政出動は長期も短期も大事です!」に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!
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