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『新幹線を学ぼう①』三橋貴明 AJER2016.7.12
https://youtu.be/tGkKNbUZ0HE

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 昨日、月刊三橋・三橋経済塾合同シンポジウム「経済学者のキッチュ」にご参加頂いた皆様、お疲れ様でございました。楽しんで頂けました?
 また、年末に開催する予定でございますので、ご期待くださいませ。


 シンポジウムのパネリストを務めて頂いた青木泰樹先生、施光恒先生、ありがとうございました


 施光恒先生には、シンポジウムの前の三橋経済塾第五期第七回講義でも、ゲスト講師をお願いしました。タイミングよく(我が塾は、大抵はタイミングが良いのです)、英国のEUからの離脱の是非を問う国民投票で、離脱派が勝利した直後でございまして、施先生には「国民意識と自由民主主義 英国のEU離脱から考える」というテーマで、素晴らしい講義をして頂きました。


 施先生の講義は、近々、三橋経済塾のWEBにアップされますので、インターネット受講の方はしばらくお待ちくださいませ。
http://www.mitsuhashi-keizaijuku.jp/


仏ニースのトラック突っ込み 実行犯の身元特定
http://www.cnn.co.jp/world/35085993.html
(CNN) フランス南部ニースで大型トラックが革命記念日を祝う人々に突っ込み84人が死亡した事件で、当局は16日までに、トランクを運転していた実行犯はニス在住でチュニジア生まれのモハメド・ラフエジ・ブフレル容疑者(31)だと特定した。捜査員らは
この男の経歴に焦点をあて捜査を進めている。
 当局によると、ブフレル容疑者は14日夜、レンタルした20トンの冷凍トラックで群衆に突入。子どもや未成年者10人を含む84人が死亡、202人が負傷した。パリ検察のモラン検事によると、警察が同容疑者を射殺したことで事件は収束した。(後略)』


 フランスのニースの事件では、84名もの方々が亡くなり、今も重症の方が大勢いらっしゃいます。モハメド・ラフエジ・ブフレル容疑者はチュニジア国籍で、「フランス国民」ではありませんでした


 施先生の講義で印象に残ったのは、
自由、民主主義、平等、更にはマイノリティの保護のためには、ナショナリズムが不可欠である
 という、リベラル・ナショナリズム論です。


 例えば、国内である程度の平等を追求するためには、累進課税などで高所得者層に負担を求め、社会福祉といった分配政策を実施する必要があります。高所得者層が低所得者層への所得分配を受け入れるためには、
「同じ国民だから」
 という同胞意識、仲間意識、連帯意識が不可欠です。


 わたくしは以前から「中華人民共和国では、まともな社会保障は成り立たない」と主張していますが、それは同国にはナショナリズムがないためです。チベット、ウイグルの人々が、漢人の社会保障を負担することに納得するはずがありません。それどころか、上海人が北京人の社会保障を負担することすら拒否するでしょう。


 中国人には「同族意識」は強く存在しますが、「国民意識」はないのです。結果的に、社会保障は成立し得ません。毛沢東のように「独裁的」に相互負担を押し付けるならば別ですが。


 また、民主主義は「多数決」です。多数決で負けた方が「納得」するためには、ナショナリズムが不可欠です。多数決の敗者側が納得しない場合、最終的には国民統合が壊れます。


 わたくしが「憲法九条」の改正を国民投票にかけることは「危険」と主張しているのは、まさに日本国民の国民統合が破壊されることを懸念しているのです。改正派、改正反対派、どちらが勝っても、敗者側は納得しないでしょう、今の状況では。


 また、政治学的に「自由」とは「選択の自由」を意味します。選択の自由を高めるためには、ナショナリズムに基づき、「母国語」でビジネス、文化を繁栄させる必要があります。日本国民が比較的「職業選択の自由」を享受できているのは、我が国が曲がりなりにもナショナリズムに基づき「日本語」の文化を拡大しているためです。


 例えば、特定の職業に就くためには「英語を流暢に話さなければならない」という状況になれば、我々の「自由」は相当に制限されることになります。


 実際、イギリス領インド帝国のインド住民は、行政の領域で働きたい場合、「英語」を流暢に話す必要がありました。英語を話せない一般のインド住民は、インド庁で働くことはできなかったのです。


 そして、マイノリティの保護。


 少数派の保護のためには、現実には、
同じ国民なのだから、マイノリティの権利を守ろう
 と、多数派が認識する必要があるというのが、施先生の講義でした。


 例えば、日本の「移民問題」と言える在日朝鮮人、在日韓国人に対し、我々マジョリティの日本国民が「反感」を持ってしまうのは、彼らが外国人であるためです。厳密には、外国人でありながら、地方参政権等の「権利」を要求するためです。


 彼らが「朝鮮系日本国民」「韓国系日本国民」であれば、多数派の日本国民は、
同じ国民なのだから、マイノリティの権利を守ろう
 と思ってもおかしくないのですが、現実は違います。 


 施先生は、アメリカの公民権運動のキング牧師の演説を例に、「ナショナリズムによるマイノリティの保護」について解説してくださいました。


『わが友よ、今日私は皆さんに言っておきたい。
われわれは今日も明日も困難に直面しているが,それでもなお私には夢があると。
それはアメリカン・ドリームに深く根ざした夢なのです。
私には夢がある、つまりいつの日か、この国が立ち上がり、「我々はすべての人々は平等に作られている事を、自明の真理と信じる」というこの国の信条を真の意味で実現させることだ。
私には夢がある。いつの日かジョージアの赤土の丘の上で、かつての奴隷の子孫たちとかつての奴隷所有者の子孫が同胞として同じテーブルにつくことができるという夢です。
私には夢がある。今、差別と抑圧の炎熱に焼かれるミシシッピー州でさえ、自由と正義のオアシスに生まれ変われる日が来るという夢です。
私には夢がある。私の四人の幼い子ども達が、いつの日か肌の色ではなく人格そのものによって評価される国に住めるようになるという夢です。(キング牧師の演説から抜粋)


 キング牧師は、あくまで「アメリカ国民」として、黒人の権利向上、差別撤廃を訴えていたわけです。「外国人」としての権利を求めていたのではありません。


 マイノリティの保護が「ナショナリズム(国民意識)」によってしか実現しないとすれば(その可能性は高いと思います)、EUの「外国人であっても、寛容に受け入れよう」といった理念や、日本の在日朝鮮人・在日韓国人という移民問題の「本質的な欠陥」が理解できるのでございます。


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